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恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第1部

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第14話 突然の連絡

バーベキューパーティーが終わり、使用人達の後片付けを手伝って自室に戻ってきた。


今日は両親が家にいるので、俺は自分の家の自室へと戻ることにした。


ここ数日はずっと白峰家にいたので、なんだか旅行から帰ってきた時のように懐かしさを感じる。

アレだ。「やっぱり家が一番だねー」って奴と似た感じの感覚。


ベッドに腰を下ろし、ため息をついた瞬間、ふとスマホのランプが点滅していることに気がついた。


三姉妹がメールでも送ってくれたのかと思い、タップして画面を開いた。


……次の瞬間、俺の血の気がザワッと引いていくのが分かった。


「げっ……」


『悠真、ごめんなさい。あの時は酷いこと言っちゃったけど、実は瑛斗に脅されて仕方なくだったの。あれは私の本心じゃない。そのことで謝りたいから、放課後、時間を取ってくれないかな』


送信:浮島凪沙


「え、ナニコレ……気持ち悪……っ」


今更なんなんだ。

あれだけゲラゲラと嘲笑っておいて、よくもいけしゃあしゃあと彼女面ができたものだ。


こいつの面の皮の厚さは想像以上だった。アフリカ象の皮膚でデキてるんじゃないだろうな。


いや、逆に考えれば、この程度の事でコロッと騙せる程度の相手だと思われているんだ。


俺はスマホを握ったまま、ベッドに深くもたれかかった。

胸の奥に、冷たいものが広がっていく。


凪沙の顔が脳裏に浮かぶ。

あの歪んだ笑顔。

俺をサイフ呼ばわりで嘲笑って捨てたセリフを言い放った時の、楽しげな目。

あれが本心だったことは、俺が一番よく知っている。


なのに、今更「脅されてた」だなんて……。


それならフッたその夜にでも連絡してきて然るべきだろう。


今更こんなバレバレの嘘で俺を騙そうするなんて……。


「はあ……本当に、なんなんだよ」


俺はため息を吐き、スマホを枕元に放り投げた。


正直、もう関わりたくない。

三姉妹と過ごすこの数日で、凪沙のことは本当にどうでもよくなっていた。


あの時の痛みは、ほとんど残っていない。

残っているのは、ただの「面倒くさい」という感情だけだ。


でも、放っておくとまた何かしつこく連絡してきそうで、それも嫌だった。


俺はスマホをもう一度手に取り、短く返信を打った。


『もういいよ。終わったことだ。連絡しないでくれ。』


送信してすぐにブロックした。


画面が暗くなった瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった気がした。


「……もう、いいんだ」


俺はベッドに横になり、天井を見つめた。


三姉妹の笑顔が浮かぶ。

葵の優しい声、澪の静かな温もり、雛の元気な甘え。

彼女たちと過ごす時間の方が、ずっと心地いい。


凪沙のことは、もう過去だ。


俺は目を閉じながら、静かにそう思った。


◇◇◇


次の日、自室のベッドで目を覚ました。


「はぁ……目覚めは最悪だ……」


夕べは胸クソ悪いメールのおかげで寝付きが悪かった。

すっかり未練がなくなったとは言っても、いや、そうであるが故に騙されていたことに気がつかなかった自分の情けなさに悶絶が止まらなくなってしまったのである。


「あいつらに救われてたんだなぁ……」


数日ぶりに1人で寝たことによって、自分が全然トラウマを克服できていないことが分かってしまった。


まだベッドから起き上がれない。

気分が悪くて二度寝してしまいたい気分だった。


「悠真くん♡ お・は・よ♡」


突然耳元でする甘い囁き声に、俺はビックリして跳ね起きた。


「うわーーーっ!」


気がつくと、制服姿の葵が色っぽい笑顔で俺のベッドに寝そべっていた。

蜂蜜色のゆるふわロングヘアがシーツに広がり、朝の光の中で優しく輝いている。


そういえば、昨夜の壮絶なるじゃんけんバトルは結局決着が付かなくて、白峰母さんの鶴の一声でくじ引きで決めることになった。


流石のワガママ3人娘も、お母さんの言うことには一瞬で従う素直さだ。

白峰家の首領(ドン)は母親かもしれない。


話を戻すと、トップバッターは葵に決まった。


今日は彼女を自分の恋人として扱い、一日を過ごすことになっている。


「ど、どげんしたとですか葵さん。人のベッドに潜り込むなんてハレンチざますよ!」


俺が慌てて体を起こしながら言うと、葵はうふふと可愛らしく笑った。


「うふふ♡ だって、彼氏を起こしにくるのが彼女の役目だもん♡」


その笑顔と甘い声に、俺の心臓がドクンと跳ねた。

朝からいきなりこんな距離で微笑まれると、頭が真っ白になる。


葵はベッドに片肘をついたまま、俺の顔を覗き込んでくる。


「朝から顔色が悪いよ……?

何かあったの?」


俺は一瞬言葉に詰まった。

凪沙からのメールのことは、まだ誰にも言っていない。

胸の奥に残る嫌な気持ちを、葵にまで伝えたくなかった。


「……なんでもないよ。ただ、ちょっと寝不足だっただけ」


葵は少し心配そうに眉を寄せたが、それ以上は追及せずに、優しく微笑んだ。


「そう……ならいいけど。

今日は私だけの悠真くんだから……いっぱい甘やかしてあげるね♡ 早速だけど、結婚する?」

「気が早い!!」


「あ、じゃあオッパイ吸う?」

「彼女ってそういうものだっけ!?」


朝っぱらから心臓と色んな所に毒のある誘惑が凄い。


葵が体を寄せてきて、俺の肩に頭を乗せてくる。

柔らかい髪と温もりが伝わってきて、俺は思わず息を飲んだ。


昨夜の嫌なメールの記憶が、みるみるうちに薄れていくのを感じた。


この朝は、予想以上に甘く、そして優しいものになりそうだった。

別の意味では優しくない事は置いておこう。



リビングに降りると、葵が準備してくれたと思われる朝食がテーブルに並んでいた。


ふわふわのオムレツ、焼きたてのトースト、サラダ、そして温かいスープ。

シンプルだけど、丁寧に作られた朝ごはんのいい匂いが部屋中に広がっている。


完全完璧な朝食。まるで葵の性格をそのまま反映させているかのようだ。


葵は料理が上手い。雛もかなり上手だけど、その種類は大分違う。


雛の料理はすごく家庭的で、奥深い味わいがある。


逆に葵のそれは、言わば一流シェフの作る芸術品のようだ。


いわばお店の味と家庭の味の違いのようなもの。

結果としてどちらも素晴らしいのだ。


「おじさんとおばさん、もう出かけたよ。悠真によろしくだって」


葵がエプロン姿でキッチンから出てきて、優しく微笑んだ。


「もしかして葵が朝食準備してくれたの?」


俺が少し驚いて聞くと、葵は頰を少し赤らめながら答えた。


いつもはメイドさんがやってくれるのに、有り難いことだ。


「うん。将来のお嫁さんだもん。未来のお義父さんとお義母さんにご奉仕しなくっちゃ」


その言葉に、俺は思わず苦笑いした。


「ははは、気が早いって。でもありがとう」


葵の笑顔が本当に優しくて、昨夜の嫌なメールの記憶がまた少し薄れていくのを感じた。

胸の奥がじんわりと温かくなる。


「あ、そうそう。お二人から伝言預かってるよ」

「父さんと母さんから? どうしたの?」


「《《悠真くんのアイデア、また商品化した》》って」

「そっか。よかった」


「ふふふ、凄いよね。これで何件目?」

「どうだったかな。いちいち覚えて無いよ」


「私、知ってるよ。もう57件目の商品化。小学生の頃からのを合わせると、もっと行ってるね」


「はは。父さんの会社の人達が優秀だからだよ。俺だけの力じゃないさ」


俺が席に着くと、葵は俺の隣に座り、紅茶を注いでくれた。


「ねえ悠真くん」

「ん?」


「追求するつもりはないけど、昨日、浮島凪沙から何か言われたんじゃない?」


「えっ……」


「やっぱり。多分、メールか何か来て、嫌な思いをしたんでしょ?

……顔色が悪いから、なんとなくわかっちゃった」


俺はフォークを止めた。

葵はメールの内容を知らないはずなのに、俺の様子だけで察してくれている。


やっぱり葵はエスパーなのかもしれない。


「……まあ、ちょっとね。でも、もう大丈夫だよ」


葵は優しく俺の手を握ってきた。


「無理しなくていいよ。

今日は私だけの悠真くんだから、ゆっくり甘やかしてあげるね♡」


その言葉と温かい手に、俺の胸が少しだけ軽くなった。


朝食を食べながら、葵が穏やかな声で話しかけてくる。


「今日の予定は、どうしようか?

学校が終わったら、二人でゆっくりお茶でもする?」


俺はオムレツを一口食べながら、ふと思った。


凪沙のメールで感じた胸クソ悪さが、まだ少し胸の奥に残っているのに、

葵の優しい声と笑顔が、それをじわじわと溶かしてくれている。


「うん……それがいいかも」


葵の目が嬉しそうに細められた。


「よかった。

悠真くんが笑顔になってくれて、私も嬉しいよ」


朝食を終えた後、俺たちは一緒に登校の準備を始めた。


葵が俺のネクタイを直してくれながら、耳元で囁いた。


「今日は月曜だから、私が悠真くんの恋人だよね。

一日中、悠真くんのことをいーっぱい甘やかしてあげるから、覚悟しててね♡」


俺は胸の奥が温かくなるのを感じた。


葵の優しい笑顔と丁寧に作られた朝食を見ていると、微かに残っていた嫌な気持ちすらゆっくりと溶けていくような気がした。


「本当に……ありがとう、葵」


俺が素直に言うと、葵はエプロンを外しながら俺の隣に座った。


「ううん。悠真くんが笑顔になってくれるなら、それだけで嬉しいよ」


朝食を食べながら、俺はふと思った。


(本当の恋人って、こういう感じなのかな……)


思えば凪沙との過ごし方って、本当に恋人って言える過ごし方だったのか疑問だ。


「悠真くん」

「え?」


「今、他の女の子のこと考えてたでしょ」

「え、いや、その」


「ふふ、冗談。1回言ってみたかったんだ。彼女っぽいでしょ?」

「それはヤンデレって言うんだぜ?」


葵がヤンデレ化したら、誰にも止められないから勘弁してほしい。

命がいくつあっても足りなくなる。



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