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# 第四話 ## 「逃げるか、戦うか」

# 第四話


## 「逃げるか、戦うか」


巨人の咆哮が森を揺らした。


「グオオオオオオオオ!!」


木々が吹き飛ぶ。


地面が震える。


ただ立っているだけで恐怖を感じるほどの存在感だった。


「無理だ……」


フィーナの顔が青くなる。


「勝てる相手じゃない」


セシルも杖を握る手が震えていた。


アイリスですら表情が硬い。


その時。


巨人が腕を振り上げた。


狙いは――フィーナ。


「危ない!!」


陸が飛び出した。


ドォォォン!!


巨大な腕が地面を砕く。


間一髪。


陸はフィーナを抱きかかえて転がった。


「り、陸さん!」


「大丈夫か!?」


「はい……でも……」


フィーナの目には涙が浮かんでいた。


自分のせいで危険な目に遭わせてしまったと思ったのだ。


しかし陸は笑った。


「無事ならそれでいい」


その言葉にフィーナの胸が熱くなる。


---


一方。


悠真は巨人を睨んでいた。


怖い。


逃げたい。


足が震える。


でも。


仲間たちはもっと怖いはずだ。


だから。


「みんな!」


悠真が叫ぶ。


「逃げてもいい!」


全員が振り向く。


「でも、誰か一人でも置いていくのは嫌だ!」


その言葉に仲間たちは目を見開いた。


「俺たちは六人でここに来た!」


「だったら六人で帰ろう!」


その声は震えていた。


それでも。


誰より真っ直ぐだった。


アイリスが笑う。


「本当にバカね」


「よく言われる!」


「でも嫌いじゃない」


---


その瞬間。


巨人が再び襲いかかる。


「来るぞ!」


翔が叫んだ。


その時だった。


翔の頭にある作戦が浮かぶ。


「セシル!」


「え?」


「奴の右足を狙えるか!」


セシルは頷いた。


「できる!」


「アイリスは左足!」


「了解!」


「悠真と陸は正面で注意を引け!」


「おう!」


全員が動き出した。


---


「フレイムランス!」


セシルの炎が炸裂する。


ドォン!


巨人がよろめく。


同時にアイリスが飛び上がった。


「はあああああ!!」


渾身の一撃。


ズガァァァン!!


左足を斬り裂く。


巨人が膝をついた。


「今だ!」


翔が叫ぶ。


悠真は剣を握り締める。


心臓がうるさい。


怖い。


でも。


守りたい。


仲間を。


そして――


アイリスの笑顔を。


「うおおおおおお!!」


悠真は全力で駆けた。


巨人の胸へ飛び上がる。


そして剣を突き刺した。


ドォォォォン!!


巨人が絶叫する。


「グオオオオオ!!」


しかし――


まだ倒れない。


むしろ怒り狂った。


「まずい!」


翔が叫ぶ。


その時だった。


巨人の体が突然黒い霧に包まれる。


「なに!?」


セシルが驚く。


次の瞬間。


巨人は苦しみながら崩れ落ちた。


そして消滅した。


跡形もなく。


---


静寂。


誰も動けなかった。


「勝った……のか?」


悠真が呟く。


しかしセシルは首を振った。


「違う」


「え?」


「誰かが魔法で消したの」


全員が息を飲む。


誰が。


何のために。


その時。


森の奥から声が聞こえた。


「面白いものを見せてもらった」


男の声だった。


姿は見えない。


だが圧倒的な威圧感があった。


「誰だ!」


悠真が叫ぶ。


返事はない。


ただ最後に一言だけ残された。


「秘宝を求めるなら、いずれ会うことになる」


声は消えた。


森には不気味な静けさだけが残った。


---


帰り道。


フィーナは陸の隣を歩いていた。


「今日はありがとうございました」


「気にするな」


「でも……」


フィーナは立ち止まる。


そして小さく言った。


「陸さんが助けてくれた時……すごく嬉しかったです」


陸は少し照れた。


フィーナも顔を赤くする。


二人の距離が少しだけ近付いた瞬間だった。


---


その夜。


王都から遥か北。


闇に包まれた城。


玉座に座る男がいた。


魔王軍四天王――ゼルガード。


その前には黒いローブの人物。


「どうでしたか?」


ゼルガードが問う。


ローブの人物は笑った。


「予想以上ですよ」


そして。


その人物の瞳は――金色だった。


「特にあの三人は」


「世界を変える可能性を持っています」


闇の中で。


運命の歯車が静かに回り始めていた――。


---


## 次回予告


### 第五話


**「王都祭とそれぞれの想い」**


初依頼を終えた悠真たち。


王都では年に一度の大祭が始まる!


アイリスと悠真の二人きりの時間。


翔とセシルの静かな夜。


そして陸とフィーナの初めての手つなぎ――。


恋が少しずつ動き始める。


しかし祭りの夜、


謎の少女が三人の前に現れる――。


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