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# 第五話 ## 「王都祭とそれぞれの想い」

# 第五話


## 「王都祭とそれぞれの想い」


王都は祭り一色だった。


色とりどりの旗。


屋台から漂う甘い香り。


大道芸人たちの賑やかな声。


異世界に来てから初めて見る大きな祭りに、悠真たちは目を輝かせていた。


「すげぇぇぇ!」


悠真は子供のようにはしゃぐ。


「田舎者か」


翔が呆れる。


「実際、田舎育ちだろ」


陸が笑った。


そんな三人を見て、アイリスたちも笑顔になる。


---


「せっかくだから別行動にしない?」


アイリスが提案した。


その瞬間。


なぜか六人の視線が交差した。


そして――


自然な流れで。


悠真とアイリス。


翔とセシル。


陸とフィーナ。


三組に分かれることになった。


---


## 悠真とアイリス


「見て見て!」


アイリスは屋台を回っていた。


焼き肉。


果物飴。


串焼き。


何でも興味津々だ。


「食い過ぎじゃないか?」


「祭りは食べる日なの!」


胸を張るアイリス。


悠真は笑った。


そんな時。


広場で子供たちが遊んでいた。


その姿を見たアイリスの表情が少し曇る。


「どうした?」


「……昔ね」


アイリスは静かに言う。


「家族と祭りに来たことがあったの」


悠真は黙って聞いた。


「父も母も、もういないけど」


風が吹く。


少し寂しそうな横顔。


その時。


悠真は自然に言った。


「じゃあさ」


「え?」


「来年も一緒に祭りに来よう」


アイリスは目を丸くした。


「再来年も、その次も」


「帰るんじゃなかったの?」


「帰るよ」


悠真は笑う。


「でも帰るまで何回来れるかわからないだろ?」


アイリスは吹き出した。


「本当にバカ」


でも。


その笑顔は今までで一番綺麗だった。


---


## 翔とセシル


一方。


翔とセシルは広場の隅で本を見ていた。


祭りなのに本。


二人らしい。


「変な奴だな」


翔が言う。


「あなたに言われたくないわ」


セシルも笑う。


気付けば何時間も話していた。


魔法の理論。


世界の歴史。


将来の夢。


不思議なほど話が尽きない。


そして。


セシルはぽつりと呟いた。


「私ね」


「ん?」


「こんなに楽しいと思ったの初めて」


翔は少しだけ照れた。


「そうか」


短い返事。


だがセシルには十分だった。


---


## 陸とフィーナ


夜。


川辺。


灯籠が流れていた。


幻想的な光景だった。


「綺麗ですね」


フィーナが微笑む。


「そうだな」


陸も見惚れていた。


その時。


フィーナが躓く。


「あっ」


陸は咄嗟に手を掴んだ。


柔らかい手。


二人とも固まる。


離そうと思った。


でも。


どちらも離せなかった。


フィーナの頬が赤く染まる。


「……ありがとうございます」


「う、うん」


二人は手を繋いだまま歩いた。


言葉は少ない。


でも。


それだけで幸せだった。


---


祭りも終わりに近付いた頃。


突然。


空に巨大な光が現れた。


「なんだ!?」


人々が騒ぎ始める。


その光の中から、


一人の少女が降り立った。


白銀の髪。


紅い瞳。


不思議な雰囲気を纏っている。


少女は真っ直ぐ三人を見る。


悠真。


翔。


陸。


そして静かに言った。


「やっと見つけた」


全員が息を呑む。


少女の瞳には涙が浮かんでいた。


「お願い」


震える声。


「どうか世界を救って」


その瞬間。


少女の体が崩れ始める。


まるで砂のように。


「えっ!?」


「待て!」


悠真たちが駆け寄る。


だが。


少女は最後に微笑んだ。


「秘宝を手に入れる前に……」


「真実の塔へ行って……」


そう言い残し、


光となって消えた。


---


残されたのは、


一枚の銀色の羽だけ。


誰も言葉を発せなかった。


祭りの歓声も止んでいた。


そして。


三人は知らない。


この少女が、


百年前に滅んだはずの伝説の王女であることを。


そして――


彼女こそが、


秘宝へと続く運命の鍵であることを。


---


## 次回予告


### 第六話


**「真実の塔」**


伝説の王女が残した言葉。


真実の塔へ向かう悠真たち。


しかしその道中、


魔王軍四天王がついに動き出す!


そして塔の最上階で明かされる、


三人が異世界に召喚された本当の理由とは――。


友情と運命が大きく揺れ始める!

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