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アレンと徳島とWNIの国のアリス  作者: 海豹ノファン
アレンと徳島とWNIの国のアリス
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アリスと結愛と一匹の兎さん

夜中、アリスは目を覚ます。

隣には結愛が布団を跳ね除けて腹を出して寝ている。


「このパーフェクトユイの実力思い知ったかー!むにゃむにゃ…」


どうやらヒーローになっている夢を見ているようだ。


「もう、腹出してると風邪ひくよ!」


アリスは小声で気持ち良さそうに寝ている結愛に毛布をかけ直す。


(可愛い寝顔だなぁ…)


結愛の寝顔を見てアリスは顔を綻ばせた。


元の世界に帰れるかなあ?

みんな、何してるんだろ…。


アリスはこの異世界で色々な目に遭ってきたが故に元の世界を懐かしんだ。


そしてホロっと涙が。


いけない…しっかりしなきゃ…こんなんじゃダイナ(ペット)や皆んなに笑われちゃう!



アリスは涙を手で拭き、再び布団にくるまって横になった。


アリスは比較的裕福な家庭で育ち、三人の姉妹の次女として生まれた。


裕福な家庭ではあるが厳しくもあったので学問だけでなく護身術や格武道なども習い、教育熱心だった。


その中の癒しがダイナという猫のペットだった。


そして召使いの執事から面白い話を聞かされその話を聞くのもアリスの楽しみだった。


アリスはそんな夢を見ていた。

夢を見ている間はあぁ私元の世界に戻ったんだと安心出来た。


しかし夢から覚めるとそこは異世界。

アリスははあーとため息が出た。


「むにゃむにゃ、ハリセンちょーっぷ!」


結愛はアリスの頭にチョップをかます。


起きたのかと思った…。


全くもう…とアリスは結愛を見て年下の保護者のように微笑んだ。


結愛が本当に目覚めるのは朝の9時過ぎてからのことである。


ーーー


「ふふふ、アリスちゃんももっとしっかりしなさいよ、このパーフェクトユイみたいに!」


夢の中ではアリスは助けられる側らしい。


「うん、結愛ちゃんのおかげで色々助かってるよ」


アリスは今でこそ結愛の扱いに慣れていた。


ほぼ毎朝そんな事言われるが始めて言われた時は正直戸惑った。


なんで結愛にそんなこと言われてるんだろと。


夢の中では結愛はヒーローだ。


反論すると拗ねて口も聞いてくれなくなる。


しかし夢の中に合わせてあげるとほぼ上機嫌で接してくれる。


初めはストレスの元だったが接しているうちにこうしたスルー力がいつの間にか身についていた。


「ハートの女王様が現実世界とコネクトする方法を知ってるみたいだけど…」


アリスはこう漏らす。


「機嫌損ねるとすぐに処刑してしまうみたいだし最近恐ろしくなってるみたいだからなぁ…」


「大丈夫だよ!ミー達無敵のフレンズだもん!」


自信の無いアリスに対して自信満々の結愛。


その自信だけは正直分けて欲しい。


「とりあえずはハートの城のとこまで行かなくちゃだね!」


アリスと結愛は旅の支度をすます。


次の街へ行くには広大なyoshino川に面する吉野川橋を渡る必要がある。


そこで、アリス達はとある人物と出会うことになるのだ。


そのyoshino川橋の手すりに体を預けて一人の青年は一種の暗い雰囲気をまとっていた。


頭には可愛らしいウサギの耳がついているが彼の表情は暗い、これから身投げしようと言う風な雰囲気をまとっている。


「俺はもうダメだ、これからどう三人のウサギ達を食べさせていけば良いんだ…ハートの女王がまた税金を上げた…ただでさえ徳島は貧しいというのに…」


独りごちてブツブツと独り言を漏らしている。



その今にも身投げしそうな雰囲気は今yoshino川橋を渡っているアリス達にも伝わってきた。



「あ、あのお兄さんこれから身投げしようとしてる!止めないと!!」


「え?まさか…」




結愛は自分の出番が来たと言わんばかりに猛るがアリスは確かに雰囲気は暗いがそんな大げさなと言った感じ。


そしてその青年めがけて走っていく結愛とただ行方を見守るアリス。


「死んでしまおう!」


うさ耳の青年は本当に身投げしようとしていた。


それを見たアリスも止めなきゃとようやく動き出す。


その前に動き出している少女が一人。


「Youー!早まっちゃ駄目ー!!」


猪の突進の如く走る結愛。

そして結愛は身投げしようとしている青年を止めようとジャンプした。



(間に合って!!)


アリスは願ったがそれはあらぬ方向に向かってしまった。



「オーマイガーーー!!?」



勢いが強過ぎたのか、結愛の方が橋の手すりを飛び越えて川底に落下していってしまった。



「なーーーー!!!?」



アリスは予想外の展開に顎が外れる。


次いでその青年もついに身投げしてしまう。



「あ、あれじゃみんな助からないよ!!」


アリスは慌てて駆け出すがもう遅し、その青年も川底に落下してしまった。



アリスはただ橋から川を見下ろし、様子を見守ることしか出来ない。


「へ、ヘルプミー!!」


カナヅチの結愛は手足をジタバタさせているが地上に向かう事すら出来ない。



「た、助けに行かないと!」


アリスは手すりから手を離し、結愛だけでも助けようと河川敷に向かう。


その前に結愛に向かって泳いでいる存在が一人。


「えっ!?」


その存在が気になったアリスはもう一度手すりに体を預け下を覗き込む。


なんと先程身投げしたはずのうさ耳の青年が結愛を助けに泳いでいたのだ。


彼の泳ぎは結愛とは違って確実に対象に向かって泳いでいる。


泳ぎ方上手いなあとつい見とれてしまうアリス。



「あ、私も行かなきゃ!」


我にかえったアリスは橋の手すりから体を離して河川敷に向かって走って行った。


「ハァハァ…」


アリスが河川敷まで向かった頃には既に二人は地上に上がっていた。


結愛もうさ耳の青年も全身びしょ濡れである。


「大丈夫ですかー!?」


二人に駆け寄るアリス。


「あ、うん、ありがとう…」


うさ耳の青年は答える。


見た感じ真面目な好青年と言った感じの青年だ。


「ゲホッ…die(死)するかと思った…」


結愛は息を荒げて命の終わりが見えたような表情で下を俯いていた。


服を乾かし三人は話を始める。


「私はアリス、実は異世界の人間なの、元の世界に戻るのにハートの女王が唯一手がかりを知ってるみたいなんだけど…」



アリスは軽く自己紹介と目的を語る。


「僕は春兎はると、しがないサラリーマンだけどさっきリストラされて就活始めた所なんだ」



みんな訳ありのようだ。


話を聞かず蝶々を目で追いかけている結愛は別の意味で訳ありだが…。


そしてちょうどいい頃合いかなと思った春兎と結愛は火を消して服を着てみた。


服は半乾きと言った感じだ。


「うーん着心地悪いー」


「確かに…ちょっと違和感あるね」


結愛と春兎は賛同し合う。

その時結愛はいい提案を思いついた。


「そうだ!三人でかけっこしようよ!終わる頃には服も乾いてるかも!」


「面白そう!やろうやろう!」


とアリス。


「かけっこかぁ…リストラされたばっかだからなぁ…」


反面あまり気乗りしない春兎。


「いいじゃないですか!たまには仕事の事とか忘れて遊んでも、思い出作りの一環に、ね!」


アリスは春兎に笑顔で説得する。


「そうだね、たまには仕事の事は切り離しても良いかも…」


「そうと決まれば決定だね!泳ぎではカッコ悪いとこ見せちゃったけどかけっこなら負けないんだから!」


結愛はどうやらかけっこで汚名返上したかったようだ。



「泳ぎじゃカナヅチだけどかけっこなら負けないぞー!」


「結愛ちゃん、それ、何度も言ってる…」


「かけっこなんていつぶりかなぁ?」


それぞれの思いを口に出す三人。

そして結愛が合図をした。


「いちについて、よーいドン!」


そして三人は全力で目的地まで駆けだした。


春兎も学生時代は足は速かった方だが社会人になって落ちたなーと感慨に耽りながら走った。


それでもアリスとは良い勝負。


「ハァハァ、春兎さん結構速いですね!」


アリスは真剣な表情を含んだ笑顔で春兎に関心の言葉をかける。


「ハァハァ、昔はもっと速かったけどね、仕事ばっかしてて随分と落ちたよ」


「ハァハァ、でも真剣勝負、女の子だからと手加減しないでくださいね!私も本気なんですから!」


「ハァハァ、そう言われると本気出さざるを得なくなる、じゃあ本気で行くよ!!」



アリスと春兎は互角の戦いを繰り広げた。


一方で遠く距離を離されてるのは先程大口を叩いていた少女。


「ハァハァ、クレイジ…夢の中ではパーフェクトガールのミーがなんで…!?」


結愛である。


結愛は全身汗まみれになりながら全力で走っているがアリスや春兎とは遠く距離を離される一方。


体力的にもバテて顔が薬でラリったような顔になっている。


かけっこの結果は…。



一位:アリス

二位:春兎

三位:結愛


だった。

アリスと春兎は良い勝負だったが結愛はもはや勝負以前の問題だった。


「ゼーハー…アリスちゃん結構速いね…久々に本気出したけど勝てなかった」


「ゼーゼー、でも良い勝負でした!私ももっと精進しないと…」


互いに励ましあいながら息を整えるアリスと春兎。


結愛はあまりの疲れで顔の原型が留められておらず、ヨダレと涙は垂れ流したまま地面に項垂れていた。


「あの…結愛ちゃん大丈夫…?」


疲れが引いたアリスは地面に這いつくばったままの結愛に遠慮がちに声をかける。


「ミー夢の中では最強なんだよ…ホントだよ…」


結愛は魂が抜けたかのような表情で呪うような口調で漏らす。


「結愛ちゃん…夢と現実は違うから…」


「それはどうかな?」


アリスは半ば呆れ顔で結愛に言い聞かせようとしたが春兎の第一声が入り制止された。


「若いうちは、夢を追うことは大事だと思う、僕も今になってそれがよくわかった、夢を諦めるか、諦めずに突き進むかで将来が大きく変わると言っても過言では無いと思うな」


「流石春兎さん!話がわかる!」


結愛はいつものテンションに戻り、目をキラキラさせて春兎の手を力強く握った。


(それはそうなんだけど…結愛ちゃんの場合はその意味を履き違えているような気がする…)


アリスは苦笑いしながら心の中で突っ込んでいた。

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