ジャングルの妖精とサンタさんー2ー
翌日ーー
アリスの顔や色んな箇所にヌメヌメした感触が伝わる。
「な、なに?雨でも降ってたのかな…?」
アリスは目覚める。
「お目覚めさんですかあ?」
メルの声。
アリスはメルに顔を向け「おはよう御座います」と挨拶しようとするが「おはようござ…」のところで言葉がストップしてしまう。
「め…メメメルさん!身体に!身体に!」
メルにあるものが大量に付いているのを見たアリスはパニック状態になりメルに指差し言葉を紡ごうとするがあまりのパニックで言葉にならない。
「あぁ、これですかあ?これはナメックさんですよぉ♪ひんやりした感触が気持ちいいですう♪」
メルは何故かナメックと戯れ喜んでいる。
「あとアリスさんにもナメックさんつけてあげたですう♪」
「ひえっ!?」
メルの言う通りアリスの腹回りや手首、足に至るまでナメックが蠢いていた。
「嫌あぁ、取ってええぇ!!?」
「どうしてですかぁ?可愛いじゃないですかぁ♪」
アリスの悲鳴はメルには届かなかった。
メルは可愛い見た目に反してかなりのサバイバル少女だった。
幼虫を可愛がっていたと思ったら食べてみたり、蛇をも手懐けたり、このジャングルにはメルに右に出るものはいないと言った感じだった。
それだけならまだ良い。
厄介なのはそれをアリスにも勧めてきたりおしつけたりする事だ。
「ケムシさんとほうれん草炒めたの食べるですぅ♪」
「バレンタインにはクモさんですぅ♪」
「蛇さんアリスさんに巻いてあげるですぅ♪」
こんな状態が何日も何日も続いた。
「今…なんと言ったですか?」
いつものメルの間延びした口調がなくなる。
そしてその表情はやや殺気が含まれ、体からはヒュオォッと黒い気が沸いて出ていた。
「すみませんが私これから行かなきゃいけない所があるので…」
勇者で無くなった今ここにいる理由は無く家に帰っていつもの生活に戻りたい。
家族にも心配かけたくない、今頃ディアナも心配しているだろう。
勿論、友達も…。
「メルの親切がそんなに気に入らないですか?」
メルは更に凄むようにアリスに問いかける。
アリスはあまりのメルの豹変にガクガクとし冷や汗が自然と垂れる。
「ち、違います…家のみんなが…心配…してるから…」
アリスは泣きそうになりながらもメルに一生懸命説得する。
「心配いりませぇん♪どのみち人はいつか親離れするですぅ♪それは早ければ早い程良いんですぅ♪」
メルは逆に説得し返す。
「で、でも私勉強しなくちゃだし…単位も…」
「そんなにメルから離れたいんですか?」
メルはジト目となり、顔半分が闇に覆われ、声にはドスが効いてくる。
そして大地なのか植物なのかわからないその地形から大きな蔓が生きているかのごとく蠢き、その蔓は獲物を射るようにアリスめがけて飛ばされる。
「いっ!?」
アリスはその植物の蔓に締め付けられる。
「これだけ優しくしてあげたのに!親切にしてあげたのになんで貴女はメルの愛を受け入れてくれないんですかあぁ!??」
その蔓はメルの放ったもので、ある程度成長して丈夫にしなやかになったもの。
締め付ければ締め付ける程簡単に致命傷をあたえてしまう殺人兵器にもなり得る。
「もうサンタさんとかどうでも良いですぅ!お前はメルが殺してメルも死ぬですううぅ!!!」
メルのその表情はもはや正気の沙汰ではなく、殺気に満ちてギラギラと殺人を喜ぶようなキラーの目、血に飢えた狼のように涎を垂らし、血が噴き出んとばかりに血管が浮き出ていた。
(私…この人に殺されるっ!)
アリスは締め付けようとする首元を両手で掴んで広げようとするが、メルの蔓を締め付ける強度がそれに勝り、アリスは絶対絶命の危機に立たされる。
こんな時、アリスを締め付けていた蔓にかまいたちが飛んできてその蔓はパックリと空いてボトリと下に落ちる。
アリスは地に手と膝を落とし「ゲホゲホ」と咳き込む。
「誰ですかあ!??」
「愛が強いのは結構だがストーカーになるのは良くないぜ!!」
そこに現れたのは薄い茶髪のハンサム。
「大山結城!邪魔するなですぅ!!」
怒りで目を充血させたメルが吼える。
「メルの可愛い植物ちゃん!アリスと共にあのキザ野郎も締め殺してやるですぅ!!!」
「そう簡単にいくかな?ウィングブレード!!」
ユウはメルから放たれた蔓を次々と斬り裂く。
その後ユウは大きな鷲の姿となった。
ユウは文字通りアリスを鷲掴みにして空を羽ばたく。
「アリスちゃんを返すですうぅ!!」
「こいつは今晩のおかずだ!お前には渡さねぇ!!」
(え?え?おかずって何!?私どうなっちゃうの!??)
アリスは焦りと混乱を隠せないままユウにどこかに連れ去られた。




