アリスの奔走
「シーツ濡らしやがって今すぐ洗ってこい!!」
「すみませんでしたご主人様…!」
アリスは奉仕していたが悪戯されて思わず意識を飛ばしてしまう。
その結果、更に詰られ汚したシーツを洗い、ヘトヘトになるまで掃除をし、ようやく部屋に戻った頃には就寝時刻だった。
ーーー一方メアリアン。
「おおメアリアン相変わらずの腕前ですな!」
メアリアン、ミサ、結愛はUFOキャッチャーをしていたがメアリアンはなんとWNIの桜人形や小山人形を当ててしまう。
「ミー、ユー達に付いて正解だったよ!アリスよりずっと良い!」
結愛もメアリアンとミサを慕う。
「褒めても何も出ないわよ、でもあの子も哀れねえ、笑えるけど」
「あんな女同情する価値ありゃしませんぜ!アタイを無理矢理更正させようとしてアタイも散々な目に遭ってきましたからな!」
グルルルル!
その時結愛のお腹が激しく鳴る。
「ミーハングリーになってきたよ、そろそろ何か食べようよ!」
「良いわよパチンコでいっぱい稼いできたし、サービスで奢るわよ!」
「さっすがメイド長!」
「メイドはやめてよ、聞くのも嫌になってくるから」
「すみません…」
そんなやり取りの中結愛は思っていた。
(駄目だミーいけない方向に行っちゃってる…)
罪悪感を覚えるがメアリアン達には強く出れずズルズルと心が闇に覆われていく。
ーーー
頑張り過ぎた可哀想なアリスはついに熱を出してしまった。
「メアリアン!何をやってるんだ!早くメシを持って来い!!」
熱を出しているにもかかわらず主は容赦の無い欲求をつける。
(メアリアンもずっとこんな生活を続けていたはず…例え具合が悪くても頑張らなきゃ…)
アリスは何とか立ち上がるがその途端血がのぼせたような感覚が襲い、目の前が暗くなる。
備えつけの机にもたれかかるアリス。
(立て!立つんだアリス!)
眼帯をつけた鬼コーチがアリスに叫ぶ。
ここは正方形のリング、アリスとメアリアンの戦いは続いていた。
アリスはまだ戦える!
目の前にはメアリアンが不敵な笑みを浮かべている。
私は何としてでもメアリアンをノックアウトさせないといけない!
アリスは再び立ち上がった。
そんな時、主とは別の若い男性の声が。
「メアリアンは熱を出しています!今日は寝かせてあげても良いのではありませんか??」
主と若い男性の口論がはじまる。
「しかしハン・ソック氏、こうやってメアリアンを甘やかすからメアリアンは堕落していくんですぞ!」
「とは言えこのままでは彼女は壊れてしまいます!ここは私にお任せください!」
主とハンの議論の結果主が根負けして階段を降りていった。
アリスはハンと言う青年の優しさに涙が出そうになった。
こうして優しくされたのは何やら久しぶりな気がする。
「メアリアン!ベッドに寝ていないと駄目じゃないか!」
ハンが立っているアリスを見るや慌ててベッドに寝かせる。
「ありがとうございます…でも私はメアリアンじゃ…」
「知ってるよ」
「え…?」
ハンの予想外の言葉にアリスは半ば戸惑う。
「メアリアンに利用されたんだろ?酷い奴だな、あいつは自分にそっくりな奴を見るといつもああなんだ!」
ハンはアリスの不満を代わりにぶつけてくれるかのように放った。
「でも安心をし、僕が君を守ってあげるから…」
守ってあげるから…こう言われた途端アリスの涙線は崩壊してしまい涙の滝が流れ出た。
「ハン君…ぐすっ」
「もう、こんなに泣くと部屋中水浸しになるよ♪」
ハンはアリスの涙に溺れるが満面とした笑みを浮かべてくれた。
こういうスマイルに少女は弱い。
ハンは一日アリスの看病をしてくれた。
お粥を食べさせてあげたり布団を替えてくれたり身の周りの世話を焼いてくれてアリスはこんなに良くしてもらって良いのだろうかとも思った。
ーーー
春兎達は徳島の電車が来るのを待っていた。
捕らわれたアリスを救うにはまずは徳島の電車に乗らないといけない。
何故ならアリスは地獄にて捕らわれているから。
徳島に無いはずの電車があるという事はこの電車は地獄に繋がっているという事になる。
やがて向こうから周りの「汽車」とは一風変わった汽車がやって来る。
「電車だっ!」
そう、徳島の駅に電車がやって来たのだ!
その時のこと、リナは見覚えのある気配を何処かで見た気がした。
(あれ?今のは結愛とミサ…?)
結愛とミサを何処かで見た感じを覚えるリナだが、振り向いた頃には行方を失っていた。
「リナ、急がないと乗り遅れてしまいますよ!」
リナの手を引く春兎、それにつられてリナも電車に乗り込む。
そして地獄行きの電車は春兎達や霊達を乗せて長い線路を渡った。
ーーーそしてレイチル家
一つの豪邸、そこではいつまでも帰ってこない娘のアリスを心配している家族がいた。
アリスとその家族は血は繋がっていないものの正に本当の家族のように育てられた。
それ故に姉のディジーには嫉妬を向けられていたが…。
「どうした事だ娘もずっと帰って来ない連絡もよこして来ない…」
「アリスどこに行ったの…うぅ!」
心配する両親、姉のデイジーもずっと帰って来ないとなるとアリスが心配になってきた。
(こんなことになるならもっとあの子に優しくしてあげれば良かったかな?)
後悔がつきまとうその時、ピンポーンとインターホンが鳴り出した。
鍵を開ける父親、目前に現れたのは心配していた張本人。
「アリス!どこ行ってたんだ!??」
そう、アリスだった。
「心配かけてごめんね?帰るの遅くなっちゃった♪」
しかしその少女はアリスではなくメアリアン。
メアリアンはアリスとなって家を乗っ取ろうとしていた。




