アリスと笑う猫とヘタレガール
結愛の入って行った森は不気味な程薄暗く、そして不思議な空間が広がっていた。
人の背丈程ある大きなキノコがそこら中に生えていて、お菓子のような形の花が甘い匂いを放ちながら佇み、木馬のような形の小さなハエが飛び回っている。
そんな森の中、アリスは結愛を追っていたがそれに気づいたのか、結愛は歩くスピードを速めてその結果アリスは結愛を完全に見失ってしまった。
アリスは途中で獣に襲われるが護身術を姉から叩き込まれたアリスはそれを退けながら結愛を探す。
「結愛さん獣に襲われてなければいいけど…」
しばらく藪を漕ぎながら進むとアリスは森の中にポツンとそびえている建物に辿り着く。
それには図書館と書いていた。
アリスはその中に人の気配を感じる。
(もしかして結愛さんが?そうでなくても結愛さんの行方の手がかりにはなるはず…)
アリスは図書館の中に入っていった。
元々読書心の強いアリスは本を読みたい衝動には勝てず本を手に取り読んでいく。
それはこの世界のガイドブックのようなものでそれは後にアリスを役立てることになった。
アリスはレベルがまた一つ上がった。
「チエチエチエ…」
チエチエと笑う変な笑い声が…振り向くと猫のコスプレをした女の子が半透明の姿で現れた。
「貴女は誰?」
「チエチエ…私は千恵猫や、あの鳴海結愛という女の子には関わらん方が良えで」
千恵猫はチエチエ笑いながらアリスを諭す。
それを聞いてアリスは良い心地がしなかった。
「貴女に結愛さんの何がわかるというんですか?結愛さんはミサりんとか言う子を更生させようと頑張ってたと聞いたから良い子には違いない、私は助けに行きます!」
アリスは力強く答えた。
「チエチエ…どうなっても知らへんで…」
千恵猫は姿を消すが顔だけはチエチエ笑う姿がいつまでも残って怖かった。
アリスは本を閉じて結愛を再び探す事にした。
森から出たアリス。
そこでアリスは一際異彩を放った存在を見つけてしまう。
そこは普通によくあるような「街中」だが一部の建物だけは明らかに周りとは違う。
何故なら何故か巨大化した結愛が建物にハマって出られなくなっていたからだ。
「ヘルプミー!」
結愛は一軒家の窓部分に顔を覗き込み助けを乞う。
そんな彼女に不良のような姿の女達が結愛めがけて石を投げつけていた。
「ギャハハ!引っかかったな!食べ物に釣られて罠にハマってしまうなんて結愛らしいぜ!」
「ミサりんやめてよ!ミー達フレンズでしょ!?」
巨大化して家にハマってしまった結愛はミサりんと呼んだ不良に泣きながら訴える。
「うるせえ!お前なんてこうだ!」
ミサりんと言う女とその取り巻きは結愛に笑いながら石を投げつけていた。
「酷い…」
それを見たアリスは怒りに震える。
アリスの足元にはハリセンが落ちていた。
アリスはそのハリセンを拾い上げる。
そしてアリスはハリセンを振り回しながら結愛をいじめるミサりん達に向かって行った。
「貴女達巨大化して家から出られなくなった女の子をいじめるのはやめなさい!」
「なんだこのガキ!」
ミサりん達はアリスをいじめようとするがアリスの神がかり的なすばしっこさと強さに逆に返り討ちにされた。
「お、覚えてろー!」
ミサりんとその取り巻きは雑魚らしい捨て台詞を吐いてアリスから逃げ去っていく。
「ハァハァ、結愛さんなんでこんな事に?」
アリスは巨大化して家にハマってしまった結愛に聞く。
「ミーは森から出たのは良いけどお腹が減ってたの、そこで甘い香りがこの家からして入ったらケーキが置いてあったの…」
結愛はグズりながらもいきさつをアリスに言う。
「それ…そもそも勝手に食べて良いんですか?」
アリスは少し低い声で突っ込む。
「良いはずだよ!食べてって書いてあったもん!」
結愛は反論する。
「ハァ…」とアリスは軽くため息をつく。
「それより助けてよう!ミーこのままじゃ出られないよ!」
巨大化して家にハマってしまった結愛は必死に訴える。
「わかりました、今助けるからここでじっとしててくださいね!」
アリスはちょうど助ける方法を知っていたので結愛をその場に置いてアリスは再び森の奥に入っていった。
「確かヘナヘナ茸ってキノコを食べたら小さくなれるはず!」
アリスは森の中のどこかに生えているらしいヘナヘナ茸を探すがいくら探しても見つからない。
そんな時再び「チエチエチエ…」と言う笑い声がまた聴こえてきた。
振り向くと顔だけ残した千恵猫が。
「あの、顔だけでなく体全体で現れてくれませんか?」
アリスは千恵猫に突っ込む。
「チエチエ、ナイスツッコミや!」
そう言いながら千恵猫は体全体で現れた。
「アリスはんとやら、結愛ちゃん助けるんやろ?ヘナヘナ茸言うんはイモムシはんが管理しとるで」
千恵猫は説明をする。
「そうですけど…結愛さんには関わるなと言ったはずじゃ…」
「いやほうなんやけどな、あんさん強いからあんさんなら助けられる思うたんや、実は結愛はん助けてえらい目遭うた子知っとるけんな」
千恵猫は今度は不気味な笑い方でなく人間らしい笑い方でアリスに言う。
「ほな頑張りよ、結愛はんはある意味一筋縄ではいかん子やけどあんさんなら何とか出来そうやわ!」
そう言うと千恵猫はイモムシのいる方角へアリスを導いていった。
アリスは千恵猫の導き通りの道に進むとそこで巨大なイモムシに出会う。
いやイモムシの着ぐるみを着た女の人だ。
黒髪のショートボブに少し切れ長の目、スッとした鼻に肌の綺麗な美女だった。
名前は唯、結愛と呼び名は被るが別の人間である。
その唯はタバコを吸っていた。
「なんの用?」
唯はぶっきらぼうな口調でアリスに聞く。
「実は私の知り合いが巨大化して家にハマって出られなくなってるんです、だから体の縮むキノコを分けてもらえませんか?」
「馬鹿にしてるの?」
その話を簡単に信じない唯は邪険な口調でアリスに返す。
「馬鹿にしてないわ!本当の話よ!」
アリスは反論する。
「人の体が巨大化するなんてそんな話あるはずないじゃない!嘘をつくならもっとマシな嘘をつきなさい!」
そう吐き捨てると唯はタバコの煙をアリスの顔に吹きかける。
ケホケホと咳き込むアリス。
「さあ帰った帰った!私はキノコの見張りで忙しいの!」
唯はしっしとアリスを追い払う。
「何よ!貴女だって幼虫からサナギになって姿が変わるじゃない!それはどう説明がつくのよ!」
アリスは今度は強気に言い返してみせた。
「それに知ってるのよ!体のサイズが変わる食べ物とかそれが悪用される事もあるとか!図書館でしっかり本を読んだんだから!」
アリスの強い思いを秘めた声と言葉を聞いた唯は表情を変えた。
アリスの強い言葉に熱いものを感じ取ったのだ。
アリスと言う少女は不純な動機でキノコを狙いに来たのでは無いと。
「実は貴女を試していたの、キノコを有効に使えるかどうかをね、貴女なら何とか出来そうだわ、これがヘナヘナ茸よ、持って行きなさい!」
そう言って唯はヘナヘナ茸をアリスに手渡す。
「ありがとうございます、あと、さっきは言い過ぎてごめんなさい…!」
アリスは唯に謝る。
「良いのよ、しっかりやりなさい!」
そしてアリスは唯に見守られながら結愛を助けに行った。
「結愛さん!ヘナヘナ茸持って来たよ!口を開けて!」
結愛は口を大きく開ける。
アリスは大きく開けた結愛の口にヘナヘナ茸を投げ込む。
それを食べると結愛の体はみるみると縮んでいき元の体型に戻った。
「ブラボー!これでミーも自由に動ける!アリスちゃんサンキュー!、ユーはミーのベストフレンズだよ!」
結愛は喜びアリスに抱きついたり一緒に踊ったりしてアリスを振り回した。
「ありがとう!わかったから目が回るから振り回さないで!」
アリスが訴えようやく結愛は踊るのをやめた。
「そうだ!お礼に親切なおばさんのところに連れてってあげるよ!きっと喜んでくれるよ♪」
お礼し足りない結愛は親切なおばさんの元にアリスを招待する事にした。




