VS女王
「片付いたな…」
ユイが後ろを振り向くとその瞬間、ユイの表情が強張り出した。
「ゆ…ユーは!??」
目の前には不気味な笑みを浮かべたハートの女王が立っていたからだ。
そして彼女の片手には気絶させられているアリスの姿が。
「この娘は預かっていくわ!」
「待て…!」
ユイはハリセンで応戦しようとするが女王は透明となって消えていってしまった。
「くっ、ミーが目を離したばっかりに…アリス…絶対にミーが助け出してみせる!」
ユイはアリスを奪還に向かった。
ーーーハートの城。
「ふふふ、いつ見ても美しい…勇者にしておくにはもったいないわ…」
ハートの女王は見惚れるように少女を眺める。
目前にはアリスがいる。
アリスは緑の蔓で拘束されて、目覚めた時も逃げられないようにされていた。
少女を捕らえてこのように女王の部屋にコレクションのように飾るのは女王の趣味だった。
「相変わらず悪趣味ですな女王様…」
そこにある存在が現れる。
その存在は少なからず結愛やアリスと面識のある人物達。
ミサりんとその取り巻きだった。
(ふふふ、こやつらに遊んでもらうのも悪くあるまい…)
女王は思った。
「ふふふ、この小娘はお前達にあげよう、存分に可愛がっておやり♪」
女王は魔法でアリスの拘束を解いたかと思うと彼女の体を乱暴に投げる形でミサりん達に渡した。
「うひょ♪気前が良いですな女王様!ひひひ、こいつよく見たらアリスじゃねえか!」
アリスを見定めるやこの時を待ってたとばかりに笑みを浮かべるミサりん達。
「おや、お前達はこの小娘と面識があるのかえ?」
女王は会ったことありげなミサりん達に聞く。
「あるもなにも、こいつには積もりに積もる恨みがあるんでさぁ」
ミサりんがニヤニヤしながら答える。
「そうと来れば話は早い、その小娘の勇気と純粋な心をとことん削ぎ落とし、二度と勇者として覚醒出来ないようにしてやりなさい!」
女王は自身に立ち向かえる力を持つ少女アリスを勇者として覚醒出来ないようにし、自身のコレクションとして飾る事を目論んでいた。
「ふふふ、あの子が目覚めた時が見ものだわ…」
女王は不気味な笑みを浮かべてミサりんに連れ出されるアリスを見守っていた。
ーーー
トランプ兵共と戦っているうちに見放してしまったユイ・ルミナーレはアリスを奪還しに向かう。
多くのトランプ兵達がユイを抹殺するように差し向けられたのか、剣や槍、その他諸々の武器を持ってユイを足止めしにくる。
「ユー達なんてただのトランプじゃない!!」
ユイはハリセン武術で多くのトランプ兵達と渡り合う。
「くそっ、この女は化け物か!?」
「相手は勇者だ!殺すつもりでかからないと俺たちがやられちまう!」
トランプ兵達は抹殺するつもりでユイ・ルミナーレを足止めを続けた。
しかしただのトランプの為ユイのハリセンによってぶっ飛ばされていった。
(アリス…セーフティでいてくれよ!特にミサりんみたいなのに出会ったら最悪だ!)
ユイはただのトランプを次々と薙ぎ払いアリスを取り戻しに向かった。
「んう…はっ!」
アリスは目覚める。
しかし目の前には見覚えのある人物達が。
「ひひひ、目覚めたな可愛い子猫ちゃん」
ミサりんと取り巻きは黒い目つきでアリスをジトジト舐め回す。
「あんた達はミサりん…!」
アリスは後ずさる。
「そう逃げるなよ、アタイらフレンズだろ?」
ミサりん達はアリスに近寄ってくる。
「いつアンタ達とフレンズになったの!?私は…」
ドカッ!
アリスが口答えを続けると突然ミサりんはアリスの腹を足蹴した。
「ケホッケホッ!」
腹を抑えて咳き込むアリス。
痛みで足は地面に崩れる。
「生意気な口聞いてんじゃねえよ子豚!」
ミサりんはアリスの髪をぐいっと引っ張り、ドスの効いた声で脅す。
周りの取り巻きはニヤニヤと笑っている。
アリスは目の前の存在に恐怖と抵抗出来ない事による悔しさを覚えた。
「ひひひ、いいもん持って来ましたぜ女王様♪」
取り巻きの一人が食べかすの入ったゴミ箱を持ってきた。
「ひひひ、残飯だ、残さず食べろよ!」
「やめて!何でもするからっ!」
アリスは懇願するが間に合わず、残飯がアリスの頭に降りかかる。
「うわーきったねー!」
笑うミサりんと取り巻き達。
「キレイキレイしてやるよ♪」
と言い今度は洗剤の入った水をアリスにぶっかけ、皆でブラシでごしごしした。
(ひひひ、こいつの勇気も、純粋な心も粉砕して二度と勇者になれないようにしてやる!)
ミサりん達はアリスをとことんいじめ抜いた。
一方アリスは(負けちゃ駄目!耐えるのよアリス!)と自分に言い聞かせる。
「さあ綺麗になったところで散歩の時間だ」
と言いミサりんは首輪を持ってきた。
「私は犬じゃ…」
「てめえは犬だろうが」
「わ…わん…」
ミサりんはアリスを四つん這いにして歩かせる。
従者達はそんな様子を見るが誰一人止めたりするものはいない。
同情の目を向けるか或いは面白がっている者が大半。
「可哀想になあ、女王様に目をつけられたばっかりに…」
「悪い事したから当然だよ、因果応報ってやつさ」
「悪い事したらそれなりの償いはつけて貰わねばな」
ありもしない噂を流され悪い者と決めつけられるアリス。
…と言うより女王に立ち向かう事こそ悪い事というのがこの城のルールである、善悪はリーダーの判断で何でも都合よく作られてしまう。
「ほほほ、ミサりんさん人間のクズを更生させるなんて立派だわ♪」
「やーねおばさまのシチュー美味しくて更生も捗ってるに過ぎないことよ♪」
アリスをクズ呼ばわりして親しげに語らう婦人とミサりん。
子供もアリスを見るや「悪いやつだー!」と言って逃げたりやっつけようとしたりする。
一方ミサりんは「ミサりんさん頑張ってね♪」と労われ、慕われる。
こんな普通じゃない状況でもアリスは諦めなかった。
ーーー。
ミサりん達にいじめられる最中、アリスの前に自分に瓜二つの少女が現れた。
「貴女は?」
アリスが問う。
「私は闇アリス、貴女の中にいる闇の存在…」
闇アリスは黒い髪に黒いドレスを羽織っていて、アリスと顔立ちは似ているが目は死んでいて一筋の光も見えなかった。
闇アリスはアリスをたしなめてくる。
「アリスよ、自分だけの正義に囚われず女王様に屈服しなさい」
アリスは首を横に振る。
「そう言うわけにはいかない!私は誓ったの、好きな徳島やWNIを救う為に女王の曲がった心を正すと!」
アリスの信念は曲げない、しかし闇アリスは言う。
「貴女もいじめから解放されたいのでしょう?こうして頑なにしていると自分が辛いだけよ」
「私は、みんなを守りたい、助けたい!自分のしてきた事を否定したくない!」
アリスは怒鳴る。
「私は貴女を助けたいだけなのに…貴女は何もわかってくれないのね…」
闇アリスは同情を貰うようにすすり泣く。
「私は涙なんかに惑わされない!消えて頂戴!」
アリスは闇アリスに強く言い放つ。
「この分からず屋…お前なんかこうしてやる!」
闇アリスは泣き真似も通用しないと見るや低い声で放ち、アリスに襲いかかる。
闇アリスの鉄拳がアリスに飛ぶ。
アリスはそれを受け止める。
「やるわねっ!」
闇アリスは後方に飛んで構えを取る
「私は自分には負けない!」
アリスも同じく構えを取る。
相手は自分自身、だから強さは互角、ならばどちらが精神的に強いかで勝負は決まる。
アリスと自身の心の闇との戦いの火蓋が切って落とされた。
闇アリスは地面を蹴りあげて空高くジャンプする。
そして身軽に身体を回旋させてアリスに蹴りを放つ。
アリスはそれを避けて闇アリスに拳を放つ。
闇アリスはそれを避けて次の攻撃を放つ。
アリスは文武両道の淑女として鍛えられた万能少女。
ありとあらゆる世界の武道をマスターし、どんな強敵とも渡りあえる戦闘能力を持っている。
そして闇アリスもアリス自身のもう一人の分身なのでそんなアリスに負けじと拳を振るう。
「アリス!今まで貴女が信じた事が正解でない事を知りなさい!世の中にはルールに従わねばならない事もあるのよ!」
闇アリスはアリスと戦いながら説得をする。
「弱い一人の人間をよってたかっていじめる事が正しいとは私は思わない!そして義人さん、唯さん、千恵猫さん、そして結愛ちゃんの信じ続けた事を私は否定したくない!!」
アリスもまた、闇アリスと戦いながら説得し返す。
互いはボロボロの状態で精神的にも極限の状態。
アリスも闇アリスもハァハァと息を荒げ傷だらけ汗まみれ衣服も所々が破けている。
アリスと闇アリスは両者離れる。
そしてアリスと闇アリスは相手を消滅させようとエネルギーを溜める。
「正義はリーダーによって作られ、偏向される!郷に入れば郷に従うのが世の中の掟よ!!」
「しかし譲れないものもある、人を傷つけず和解をし、協力しあわなければ平和は実現しない!!」
アリスと闇アリスはエネルギー波を作りながら主張をぶつける。
そして両手にエネルギー波を作り、それを相手にぶつける。
「「喰らいなさい!!」」
エネルギー波とは生命力と精神力を具現化させてつくった衝撃波の事で、それを極めた者は遠くの対象を攻撃出来るだけでなく物理攻撃より殺傷力の強い威力を出す事が出来る。
「わ、私が間違っていると言うの!?がギャアアアァ!!」
闇アリスはアリスの波動に飲み込まれ、消滅した。
アリスと闇アリスの戦いはアリスの勝利に終わった。
そしてアリスは現実世界に戻る。
ーーー
「な、いい加減認めろよ?お前は人間のクズだってな?わかりまちたか?」
ミサりんはアリスの目前に座り、ほおをペシペシと叩きながら罵る。
「何とか言えよグズ!」
取り巻きもアリスに罵詈雑言を浴びせ、足で踏みつけたりしてくる。
「…ない…!」
アリスは振り絞って言葉をだす。
「なんだってぇ?聞こえねえなあ?」
ミサりんが馬鹿にするように耳を傾けてみせる。
そしてアリスは勇気と覚悟を決めて主張をした。
「私はあんた達の思い通りにはならないっ!!」




