表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第2話『ショタになるとか聞いてないんだけど!?』


「……で?」


桃華は机を叩いた。


「説明して」


向かい側では、

昨日まで二メートル近かった犬飼冬真が、

小さな身体で団子を食べている。


今の見た目は完全に美少年。


黒髪。

眠たそうな切れ長の目。

不機嫌そうな顔。


なのにサイズ感だけが小さい。


意味が分からない。


「なんで縮んでるの」


「燃費」


「雑!!」


冬真は面倒そうにスマホを操作した。


画面には昨日の通知。


《適合者:桃華》

《鬼ヶ島鎮圧権限を付与》

《桃印解放済》


「……桃印?」


「お前、まだ理解してないのか」


「何も説明されてないからね!?」


冬真はため息をつく。


「昔、人間と鬼が戦争してた」


「急に世界観デカくなったな」


「その時、鬼を従えたのが“桃太郎”」


「……え?」


「お前、その系譜」


桃華は固まる。


「待って。

 じゃあ私、桃太郎の子孫ってこと?」


「多分」


「“多分”で済ませるな」


桃華は昨日のことを思い出す。


祖母に連れられて、

台所で団子を作っていた。


『桃華は手先が器用だねぇ』


『そう?』


『昔から“桃の子”は、手作りすると力が宿るんだよ』


『何そのファンタジー設定』


笑いながら、

一緒に丸めた団子。


妙に綺麗な薄桃色だった。


その時は、

ただの田舎の思い出だと思っていた。


「……まさか、あれ?」


冬真は頷く。


「お前が作ったから意味がある」


「え?」


「桃印持ちの手作りは特別」


「急に設定が重い」


冬真は団子を持ち上げる。


「鬼とか半妖にとっては、

 魔力の塊みたいなもん」


「怖」


「普通の団子じゃ契約にならない」


桃華は昨日を思い出す。


鬼に襲われ、

パニックで団子を押し付けた。


そのあとから、

冬真は勝手に護衛面している。


「……じゃあ、

 私が手作り団子食べさせたから?」


「契約成立」


「重っ!!!」


その時。


「へぇ〜」


軽い声。


振り返る。


そこにいたのは、

金髪の少年だった。


年齢は高校生くらい。


金茶の髪。

ピアス。

人懐っこい笑顔。


しかし妙に胡散臭い。


「珍しい匂いすると思ったら、

 “桃印”じゃん」


「また匂い判定!?」


少年は自然な動きで桃華の肩へ腕を回す。


距離が近い。


「はじめまして、お姉さん」


「近い近い近い」


「雉野藍。

 情報屋やってまーす」


冬真が無言で藍の腕を掴んだ。


「触るな」


「あ、嫉妬?」


「殺すぞ」


「ショタが物騒」


藍は桃華のリュックを見る。


「わ、桃華の手作り?」


「え?」


「その団子」


藍の目が細くなる。


「めちゃくちゃ“効く”匂いする」


「言い方!!」


藍は笑った。


「ね、俺にも一個ちょうだい」


「いや軽く言うけど、

 契約になるんでしょ!?」


「うん」


「うんじゃない!!」


藍は桃華をじっと見る。


「でもさ」


「?」


「“手作り”って特別じゃん?」


「…………」


不意に真顔で言われ、

桃華の心臓が少し跳ねた。


「だから欲しい」


「その言い方ズルくない!?」


藍はニコッと笑う。


「顔がいい男の特権」


「自覚あるんだ……」


結局。


押し切られる形で、

桃華は団子を渡してしまう。


ぱくっ。


次の瞬間。


ブワッ。


風が吹き荒れる。


藍の身体が一気に成長する。


小柄な少年だった姿は消え、

長身の美青年へ。


金髪が揺れる。


背中には巨大な青い翼。


「……は?」


「契約完了」


「軽く人生巻き込まれてるんだけど!?」


冬真は不機嫌そうに言った。


「だから言っただろ」


「説明が遅いんだよ!!!」


最後。


藍は桃華へ笑いかける。


「これで俺、

 正式に桃華のものね?」


冬真「殺すぞ」


桃華「待って契約の意味怖いんだけど!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ