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不気味な街

「じゃあこれ、谷を越えるための道具。たららったら~ん! 飛び越え翼~」


 シュカさんがアイテムを取り出した。

 背中につけると短い間空を飛ぶことができるものらしい。本当に短い時間らしいのであまり戦闘では活躍できないかもということ。

 ただ出した数は。


「2つしかないですけど」

「うん。だから誰か往復するしかないよね!」

「あ、私はいりませんよ。自分で飛べるので」


 私は竜変身を使い、背中に翼をはやした。


「「なにそれずるい!!」」


 二人の声がハモる。

 

「そんなこともできたの!? 竜人すごい!」

「わ、私もいつしか空を飛べる種族になってやるぅ……」


 二人はそう言いながら装備を装着し、空を飛び始めた。

 谷の向こう岸へ跳んで向かっていく。谷の地面に降り立ったと同時に、二人の装備から生えていた光の翼が消える。

 本当に岸を行ったり来たりするための道具らしくあまり実用性はないな……。

 

「次の街ってどんなとこなんですか?」

「次の街? うーーん……。不思議な街?」

「不思議……とは?」

「なんていうか、ものすごく怖い……」


 ものすごく怖い街……。少し興味があるな。

 私はマップを見てみる。谷は一つの町を囲むように出来ている。だが橋のマークも何もない。

 立地からして不思議……ではあるな。まるでこれは……。


 いや、下衆の勘繰りだろう。

 私たちは次の街に辿り着いた。のだが……。


「とても寂れてるね……」

「ですね。人はいるようですが」

「これが怖いの?」


 私は周囲を見渡してみる。

 すると、看板のようなものが建てられていた。看板には『祈りを捧げ』とだけ書かれている。

 何に祈りを捧げるのだろうか。


「わっ!?」


 リゼロアさんが驚いていた。

 リゼロアさんの視線の先にあったのは、民衆の列。人々が列をなしてどこかへ向かっている姿。

 どこへ向かっているのだろうか。列を作っている人間の顔には生気がなく、目がどこか虚であった。


「行ってみましょう」

「え、マジ? 明らかに関わっちゃダメな類の人間だけど……」

「そういうのがくすぐられるんじゃないですか」

「そうだったこの人ホラー漫画描いてた人だ……」


 私は列を追ってみると、ひらけた場所に辿り着いた。

 そこで民衆は何かを囲うように輪になっている。私は中心を覗き込んでみると、木 神父服の姿の人が立っている。


「皆さん、本日もお集まりいただき誠にありがとうございます! 今日もまたアスタロ神に祈りを捧げましょう!」

「アスタロ神……?」

「アスタロ神は皆さまをお救いいたしましょう。遥か高みにある極楽へ」


 民衆は深々と頭を下げる。

 神父の人に頭を下げる姿はとても異様だ。


 ここにいる人たちは身なりが綺麗な人ではない。むしろ汚い人の方が多く見える。

 ボロボロの服を着た人たちがアスタロ神に祈りを捧げる。


「やだよ俺! こんな訳の分からない神になんかお祈りしたくねぇよ!!!」

「……今なんと言った」


 男の子が喚く。

 周りの信徒がその言葉に怒りを覚えて怒りの目で男の子を見ていた。

 一人の信徒が殴りかかる。それに続いて、また一人と男の子を殴っていた。

 流石に見てられないな。私は信徒を殴り飛ばし、気絶していた男の子を抱えた。


「じゃ、そゆことで」


 逃げます。











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