えきべんサーカス3人目!
ゼロリアさんと一緒に次の街へ向かうことになった。
始まりの町から南へ歩いていくと谷が見えてくる。この谷を越えていけば次の街なのだが。
「どうやって渡る?」
「どうやって渡りましょうか」
深い深い谷。
吊り橋のようなものもかかっておらず、奥へ向かう術がない。
他のプレイヤーはどうやってこの谷を越えていったのだろうか。
考えていると。
「いたぁーーー! アクターーー!」
ピエロのシュカさんが抱きついてきた。
「なんで私を誘ってくれないの!!! ギルメンでしょ!!」
「…………」
「んで、こっちの人誰?」
「えぇと、VTuberの……」
「リゼロア・アムネディアと言います!」
「これはこれはご丁寧にどーもどーも。シュカでーす! あ、カメラ? もしかして配信ちう?」
「そうですよ」
「やだぁ! ならメイクを整えなきゃね!」
「ツッコミませんよ」
「えぇー?」
一人でなんか楽しそうだ。
シュカさんはカメラに向かって手を振っている。リゼロアさんは苦笑いだった。
コメントでもなんだコイツとか言われている。まぁ……不審者ではあるよね。
「すいません、私の所属してるギルドのリーダーです」
「そうなんだね」
「そうでぇーす」
ピースサイン。
「少し待ってね。ちょっといい?」
「はい?」
リゼロアさんが小声で。
「ねぇ、あの人めっちゃハイテンションだけど……。そういう人?」
「そういう人っては分かりませんが割とハイテンションですよ」
「そうなんだ……。やりづらい……」
「はは……」
やりづらいよね。
多分みんなシュカさんの正体知ったら驚くだろう。ギャップも含めて。
多分アレが素なんだよな……。
「悪い人ではないので……」
「それはまあわかるけど……」
「まぁ、楽しい方なんで大丈夫だと……」
「そ、そうだね。うん。じゃ、気を取り直していこうね」
ミュートを解いたらしく、また配信に私たちの音声が流れていく。
「チミたちはこの谷を越える方法が知りたいあんんそういうわけだね?」
「そうなの。何か知ってる?」
「始まりの街にあるクエストをクリアすると渡るための道具がもらえるんだぞよ」
「え、そうなの?」
「うん。私は知らなくて一回強引に渡ったけど」
強引に行けるんだこれ。
「じゃ、しょうがない。戻りますか」
「その必要はござやぁせん」
シュカさんはアイテムを取り出した。
「私のギルドに入ってくれたら譲渡できまっせ」
「えぇ!?」
「ここで勧誘するんですか?」
「うん。お得だよ!」
「それはちょっと……」
「私有名人だから! 入っていたら有名人のギルドに入ってるって言えるよ?」
「……ちなみにどこ界隈で?」
「芸能人ですこの人」
「え!?」
今一度驚いていたらしい。
シュカさんは手鏡を取りだしてメイクを取る。するとシュカさんの素顔が現れる。
あ、それメイク取ること出来るんですね。
「え……朱歌……さん?」
「その通りであーーーる!」
「え、マジ!? マジでこの人がアイアカ!?」
「あ、アイアカって略されてるんだ」
「入ります」
「いいんですかそれが理由で」
「だってファンですから! 誘ってくれたから入るんです! 皆さん良いですよね?」
リスナーの人もものすごく驚いているのかコメントが止まっていた。
シュカさんの顔パワーすごいな。
「でもなんでピエロに?」
「遊び人は賢者になれるから……」
「そうなんですか!?」
「多分嘘ですよ」
リゼロアさんは少し嬉しそうな笑顔を浮かべている。
コメント欄の人も「すごい」とか「テレビと性格が違う」とか言っている。
「というかピエロメイクないと普通に話すんですね」
「そりゃピエロは役だもん」
「役者すっご……」
「んじゃ、ピエロに戻……」
「戻らないでくださいお願いします」
「……わかった!」
戻らないんだ……。
「あのー……ちなみにアクタさんも芸能仲間です?」
「いや、普通に私は一般人です」
「あ、そうなんですね……」
「でもアクタも有名人ではあるよね」
「え?」
「えぇと、漫画家です」
「そうなんだ! ちなみにどんな漫画を?」
「都市伝説おいてけ……」
「え!?」
また言葉を失っていた。
『すごい二人で草』
『この人たちと知り合いになるってすごい』
『ちょうど昨日雑談で都市おい終わっちゃうとか話しててこれか』
「一生分の運使い果たした可能性ある? え、マジで?」
あまりこういうアピールはしたくないんだけどな。
まぁ、シュカさんがギルドに入れたいなら従うけど。
「いよし! えきべんサーカス三人目ゲットーー!」
「……ありがとうございますありがとうございます」




