転生悪役令嬢 ルイーズ3
ルイーズはとにかく王子の行動を予測し、王子を見かけたら素早く身を隠し、接触を断った。
まさかヒロインが現れないという展開はルイーズにとっては予想外で、今までやってきた王子への接し方をいきなり変えるのも変だし、どう接していいか分からなくなってしまった。
正直ルイーズにとっては、王子は自分を棄てる好きになってはならない相手であって、今更結婚して末永く暮らしなさいとか言われても困るのだ。
王子に嫌われるようにしてきたのだから、嫌われてはいるのだろうが、じゃあ自分はどうなのか?と問われるとうまく答えられない。
もちろん乙女ゲームの攻略対象なのだから見た目は申し分ない、いつも優しく穏やかで、ルイーズにもいつも変わらぬ態度で優しい。きっと理想の王子なのだと思う。だからこそ、ルイーズは自分でいいのか?という疑問を抱いてしまう。
はぁ。
ルイーズはため息を吐き出して、今やっている生徒会の書類を片付けはじめた。
慣例で王子は生徒会への参加はしないことになっているので、ルイーズにとって生徒会室は王子に絶対会わなくてすむ安心できる場所だった。
そのはずだった。
書類をチェックしていると、ドアが閉まる音がしたが他の生徒会メンバーだと思い、特に気にしなかった。
横に立ったので何か用事があるのかと思い、見上げるとそこにはいるはずのない王子が立っていた。
「え?なぜここに?」
「私がいたら、困ることでもあるのかな?」
ルイーズは動揺したものの、書類をチェックする作業を一旦やめ、いままでと同じ調子を取り戻し、平常心を装い答えた。
「ありませんが、仕事の邪魔なので手短にお願いします。」
婚約者が会いにきてくれたのに、嫌な態度だなぁと自分でも思ったが、今さら態度を変えることもできない。
王子の返事を待つが、見つめられたまま何も返事はなかった。
変な沈黙が、なんとなく居心地を悪くさせる。
「なんで避けるの?」
ルイーズは王子からの質問にどきっとした。そこまで露骨に避けたつもりはなかったし、王子は自分のことを気にかけたりはしないと思っていたから余計に驚きと、避けていた後ろめたさから、動揺するが、何とか平常心を装い口を開く。
「避けてなどいません。忙しかったので、たまたま会う機会が減ってしまっただけです。」
そう告げると王子の表情が少し曇った気がしてドキッとしたが、再び書類の方に目をやり、王子との視線を外した。
「これでも結構我慢してるんだけどな」
我慢というキーワードを聞いて、ドキッとする。そして、ちゃんと王子には嫌われていることに安堵した。
「我慢などする必要ありませんわ」
「え?そうなの?!」
そうですよ〜我慢せず婚約解消しちゃいましょうと心の中で答えると、王子が私の身体をいきなり魔法で持ち上げた。
「ふぇっ!」
急に自分の身体が浮き上がり、何が起きたか分からなくてパニックになる。
先程まで作業していた作業机から応接用のソファの上に降ろされたと思ったら、王子が顔を近づけてきて、キスされた。
「え?え?なんで?どうしたんですか?」
「我慢しなくていいっていったから」
王子は完璧な王子スマイルでそう答えると、もう一度ルイーズにキスする。
スルッと王子の手が自分の胸に伸びてきたので、すかさず立ち上がりなんとか回避して、無理やり部屋から王子を追い出して、事なきを得た。
「え?なんかヤバい地雷踏んじゃった私?」




