転生ヒロイン マリー3
マリーは認識阻害魔法により、快適な学園生活を送っていた。難点としては友達ができないことと、歩いてると人とよくぶつかりそうになる事だ。
「命にはかえられないもんね。がんばろ。」
マリーは、今の引き取ってもらったランシング家を継ぎ、家を発展させて、引き取ってくれた両親に快適な老後を送ってもらうことを目標に、毎日地道に勉強を続けていた。
図書室で、認識阻害魔法に代わる魔法として、自分の容姿を思いっきりモブにできないかと考えていた。そうすれば友達も作れるし、人ともぶつからないし良い案だと思ったからだ。
マリーは本棚にある、魔術書を取ろうとしたが、マリーの背丈ではほんの少し届かず、背伸びして頑張って手を伸ばした。
すると自分よりも背の高い誰かがその本を取り、マリーに手渡ししてきた。
「はい。どうぞ。」
ブルネットのサラサラヘアー、メガネをかけてもイケメンオーラを放つその人は、紛れもなく攻略対象の一人、公爵家長男3年生のローレンス・スペンサーだった。
マリーは予想もしない出来事に、一瞬フリーズした。恐怖心から自分の心臓の鼓動が、図書室全体に響いているように感じるくらいうるさい。
「アリガトウゴサイマス。」
恐怖のせいで単純なお礼の言葉でさえも、なんとか絞り出すように発声した。
なんで認識されたか分からないけど、とりあえずこの場から逃げることが優先されると判断し、マリーはすぐにその場から離れようとするがなぜか壁ドンならぬ本棚ドンの状態になり、腕に退路を断たれた。
目を合わせるのも怖いよぉ〜泣
「名前聞いてもいい?」
喋らないで欲しいと、マリーは思ってしまった。
なぜならその声は、前世好きだった声優さんの声で低音のバリトンボイスが、なんというか子宮に届くというか、とにかくマリーにとっての媚薬と一緒だったからだ。
「ナノルヨウナモノデハアリマセンノデ」
なんとか拒否の言葉を発したが、許してもらえなさそうな間が流れた。
「マリー・ランシングさん」
なんで一度も出会っていないはずの、攻略対象の男が自分の名前を知っているのか分からなかった。
驚いた表情でローレンスを見つめた。
ローレンス・スペンサーはマリーに近づきそっと耳に囁いた。
その魔法、私には効かないよ。
またね。
マリーは恐怖と大好きな声へのトキメキとで、その場にへたり込んだ。




