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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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28.お披露目会⑤

 言葉が通じない非常識な大声親子に、カルロが一つずつ貴方たち親子とは何の関係もないと伝えていたが、これがまぁ…驚くほど伝わらない。


 そして、とうとう面倒になったカルロは直球を投げることにしたらしい。


<第三に。僕はベルトリーニ嬢が好きではありません。僅か二度の事を覚えているのも、嫌悪感が強かったからです。それに、僕は三歳頃には貴族名鑑を覚えるのを趣味にしていましたから、それ以降に会った方は名前や特徴、会話内容も含めてちゃんと覚えておりますよ。彼女は一回目の時に『あなたと結婚したらお菓子が食べ放題だとお父様が言ってたから、結婚してあげるわ。』、2回目の時は『この前と同じお菓子は嫌よ。全部違う種類で持ってきて。お土産もたくさん用意してちょうだい。』そう言って援助を求めに来たはずなのに、我が家の使用人を扱き使って、お菓子をマナーも無く、汚く食べ散らかしていましたから。>


<な!?……タチアナがそんなこと言うはずがありません!捏造も甚だしい!!>


 顔を真っ赤にしたダミアーノが大声で怒鳴る。


 しかし、カルロは一切動じず、ある給仕係を手招いた。


<君は、彼らが座るテーブルを給仕していたね。君達の職務上、本来は職務中に見聞きしたことを話す事は禁じているが、今回の件に限り発言を許可する。彼らの様子に報告すべき事はあったかな?>


 給仕係の男性は、落ち着いた様子で話し始めた。


<はい。ベルトリーニ子爵様は、『カルロ殿は次男だが、伯爵になる予定だから捕まえておいて良かった!』『料理はなかなかだな。シェフを我が家にも派遣させるようカルロ殿に言わないとな』『カルロ殿が海外に行っている間は、儂が伯爵家に泊まり込んで色々と手伝ってやろう』などと、伯爵家の乗っ取りともとれる発言をされておりました。>


<な!?使用人が見聞きしたことを話すなどありえませんぞ!それこそマナー違反ではありませんか!!>

 

 ダミアーノが顔を真っ赤にしてマナー違反だと主張するが、


<ベルトリーニ子爵、我が家の使用人は無闇に見聞きしたことを話すことは無い。会話の内容に問題がなければ、詳細は告げずに『一般的なお話のみでした』と報告をするはず。そうでは無い場合は、仕えている家に不利益がある内容を見聞きした場合のみです。いま聞かなかったとしても、パーティーが終わった後で報告が上がっていたはずだから、聞くタイミングが早まっただけですよ。>


 カルロがきっぱりとそう言うと、ダミアーノも会話の内容に身に覚えがあったのか黙ってしまった。



<では、ベルトリーニ嬢の方はどうだった?> 


<はい。ベルトリーニのご令嬢は、『お菓子を全種類持ってきなさい』『全部お土産にするから多めに詰めなさい』『味は良いけど飾りが地味だから、私が伯爵家に入ったらもっと華やかなスイーツに変えさせるわ』『カルロ様がいない時は、お友達をたくさん呼んで毎日パーティーがしたいわ』『ねえお父様、カルロ様はほとんど海外に行っていて家にはいないから、ボーイフレンド達とは別れなくても良いのよね?』などと、仰っていました。>


 給仕係が淡々と報告する内容に、大声親子の顔色がどんどん青ざめていった。


 彼らは、使用人を置物や、換えのきく消耗品のように扱うタイプの貴族ね。

 使用人達にも目と耳があり、表情や動きには一切出さなくても、目や耳で『見て』『聞いて』いるのだ。


 当然、仕える家に不利益があれば報告する。

 あの親子はそんな当たり前のことも考えずに、他家の使用人の前で不用意な発言をしたのね…。


 本当に、彼らがこれまでどうやって貴族として生きてきたのか不思議でならない。


<なるほど…。他にも気になることはあったかい?>


 カルロがそう聞くと、先ほどまでは淡々と見聞きした内容を話していた給仕の男性が、少し言うの躊躇するような素振りを見せた。

 少し悩んで、それでも意を決したのか、しっかりと顔を上げて話し始めた内容は、衝撃的だった…。


<……はい。こういったパーティーでご招待される貴族の方々、平民でも貴族の方と交流を持たれるような方達は、テーブルマナーもきちんとされています。ですが、ベルトリーニ子爵様とご令嬢は…何かを食べる度にソースや食べかすを溢し、カトラリーはガチャガチャ・キーキーと音をたてていました。さらに咀嚼をしながら会話をするので色々と周囲に飛び散っていて、とてもではありませんが子爵家のご当主とご令嬢には見えませんでした。>


<<<<< !!!! >>>>>


 私たちだけでは無く、周囲で聞いていた人々も、あまりにも酷い状況に絶句してしまった。

 そして、衝撃から戻ってくると今度は、男性も女性も年齢すらも超えて、全ての人が嫌悪感を隠さない表情で親子を見つめていました。


 そりゃあ、そうよね…。

 食事のマナーって、一緒に食べている人を不快にしないためのものなんだから。

 うん、考えただけで気持ち悪くなるわ…。

 

 まあでも、これであの親子をお茶会やパーティー、晩餐の席に呼ぶ人は居なくなりそうね。

 

 カルロも給仕係からの思わぬ報告に一瞬固まっていたけれど、いまは嫌悪感いっぱいの表情を隠しもせずに、大声親子に向けている。


<子は親を映す鏡…とは、昔の人はよく言ったものですね。ベルトリーニ嬢の気質は、四歳でお会いした時と変わっていないようです。…いや、さらに酷くなったと言えるかもしれません。そもそも、縁を結びたいと思える要素が何も無いのに、どうして自分が選ばれるなどという勝手な妄想が出来たのか。近隣の領地の誼での今回の招待でしたが、勝手な妄想と言動で僕の最愛を傷つけた貴方たちとは、今後のお付き合いは全面的にお断りしますので、そのおつもりで。>


<<そんな!?>>


 カルロの宣言に顔面蒼白となった大声親子。

 ここまで言われてやっと、自分たちの状況を理解したようだ。



 そこに、恐らく近くで様子を見ていたのだろう、お義父様とお義母様、パオロ義兄様がいらした


<ベルトリーニ子爵。これはどういうことかね。>


 お義父様がダミアーノに向かって聞くと、お義父様がこれまでの経緯を知らないと思ったのか、急に水を得た魚のように嘘を並べ立て始めた。


(いやいや、知らないはずないでしょう…。カルロの邪魔をしないように、近くである程度聞いてただろうし、それまでの経緯だって、間違いなく他の使用人から報告されているわよ。)


<フェレーリ侯爵、聞いて下さい!私も娘も少し勘違いしてしまっただけなのです!!若いお二人が大げさに捉えてしまったようです…。悲しいことですが、年長者としては主役を立てて、これ以上騒ぎが大きくならぬように、こちらが引こうと思います。ちなみに、パオロ殿はまだ婚約者がおられないようですが、うちの自慢の娘タチアナは如何ですかな?>


<パオロ様、タチアナですわ。お小さい頃に一緒に遊んだことを覚えておられて?その時からお慕いしておりましたわ!>


(うわぁ…。カルロがダメなら今度はパオロ義兄様に狙いを変えるって、とんでもない親子だな。あ、パオロ義兄様の顔が引き攣ってるよ…。こんなに嬉しくない告白もそうそうないもんね。)

 

 はあ…もう、お声親子はお腹いっぱいだよ…。

 どんだけ強メンタルなんだ。

 きっと、これまでもこの強メンタルで、色々と常識外れな事を堂々とやってきたんだろうね。

 

 フェレーリ家の家族が勢揃いしてしまったので、会場中の視線と耳がこちらに集中してしまっているわね。


 カルロと視線を交わして、お互いに大きくため息を吐く。

 親子のあまりの強メンタルぶりに騒ぎが大きくなってしまったので、ここはお義父様を頼らせて貰う事にしましょう。


 きっとお義父様達も、そのつもりで来てくれたんだと思うしね。

 お義父様、後はお願いします!!

  

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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