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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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22.カルロの独占欲

 お披露目会当日。

 朝から侍女達にこねくり回されているマリーナです。


 パーティーは夕方からだけど、今回はカルロと私が主役なので、朝から念入りな準備を!と張り切る侍女達。

 お手柔らかにお願いね…と、ついつい遠い目をしてしまう。


 侍女達から全身マッサージや、丁寧なお肌・髪の手入れを受けながら、昨日のことを思い出していた。


 

◇◇◇



 ひまわりの丘での告白を受け、両思いの婚約者となった私たち。


 ここ最近は当たり前となっていた手を繋いでの帰宅。

 だけど、二人の関係が変化したことはすぐに察せられたらしく、出迎えてくれた邸の使用人達も嬉しそうな表情をしていた。


 それぞれが部屋で室内着に着替えたところで、小母様からサロンでお茶しましょうとお誘いを頂いた。


 きっと、どうなったのか気になっているのね。

 お披露目会の準備に忙しいなか、心配をお掛けしたのだから、ちゃんとお話しておかないとね。


 身支度が整った頃に、カルロが部屋まで迎えに来てくれたので、手を繋いでサロンまで移動する。



 カルロと一緒にサロンにいくと、小父様と小母様がお茶をしているところだった。


<父上、母上、ただいま戻りました。>

<小父様、小母様、ただいま帰りました。>


<<二人ともお帰り[なさい]。>>


 カルロと二人で帰宅の挨拶をすると、お二人も寛いだ様子で迎えてくれた。


<それで、二人の悩みは解決出来たのか?>


 アレッシ小父様がそう聞いてきた。

 ああ…やっぱり私とカルロがすれ違って、悩んでいたことに気付いていたのね。


 ステフ小母様が何も言わないところを見ると、小母様もきっと分かっていたんだわ。

 それでも、今日まで何も言わずに見守ってくれたことに感謝しかない。


 自分で気付かないと意味が無い…って分かっていたのね。


 やっと自覚できたカルロへの思い。

 悩んで、迷って、自分と向き合って出した答え。


 だからこそ、自分の気持ちだと自覚出来れば、心の中心に置くことが出来たし、この先がどんな結末になろうとも、この決断を後悔することは無い。


 そんな決意を込めてカルロを見ると、カルロがこちらを迷いのないまなざしで見ていた。

 

 そうね。もう迷いは無いわ。

 先のことは分からないけど、まだ起きてもいない事を恐れて、今の気持ちを蔑ろにすることはしたくない。


 それは、カルロも同じ気持ちだと思う。

 そんな気持ちを込めて、お互いを見つめたまま深く頷く。


<はい。ご心配をお掛けしましたが、マリーナに正式にプロポーズをして、受け入れて貰いました。お互いに将来の伴侶として、立場に驕ることなく努力を続けていきたいと思います。>


<小父様、小母様。お披露目会の準備で忙しいなか、ご心配をお掛けしてすみませんでした…。私が未熟で自分の気持ちにも気付かずにいたせいで、周囲を振り回してしまいました。カルロの真摯な言葉と行動で、やっと自分の気持ちにちゃんと向き合うことが出来ました。これまで温かく見守って下さってありがとうございます。>


 カルロと二人で感謝を込めて、深く頭を下げた。

 

<そうか。ちゃんと話が出来たなら良かった。まあ、あまり心配はしていなかったがな。とりあえず、『学園の卒業までに友達以上に思えなければ解消出来る』っていう婚約時の条件については破棄で良いか?>


<< はい。 >>


<もし、別な理由で解消が必要になった場合は、両家の話し合いによって解決するってことでライナーにも連絡しておくよ。(そんなことはカルロがさせないだろうけどな…)あいつ、きっとマリーナをカルロに取られたー!!って悔しがるぞ~。>


<もう、あなたったら…。カルロ、マリーナちゃん、二人がしっかり気持ちを確かめあえて良かったわ。明日の準備はほとんど終わっているし、今日はゆっくり家族で過ごしましょうね。>


 それからは、美味しいお菓子を食べながらのティータイムとなった。


 途中で、帰ってきたパオロ様がカルロをからかったり、小父様と小母様のプロポーズのお話を聞かせて貰ったり、お二人を『お義父様(とうさま)・お義母様(かあさま)』と呼ぶことになったり…すごく楽しく幸せな時間となった。


 ああ、幸せだな~って思って、ふとカルロを見ると、カルロもこちらをすごく優しい目で見ていた。


 『幸せだね』って二人で微笑み合った。



◇◇◇



 そんな幸せな時間を過ごしたことを思い出している内に、身支度がほとんど終わっていた。


 鏡に映る自分を見て驚いた。

 いつもより少し大人っぽい印象の私がいたのだ。


 元々、10歳という年齢の割には発育が良い方だとは思う。

 まあ、前世日本人の感覚から見てだから、欧米基準では普通なのかもしれないけど…。

 

 この日のために仕立てて貰ったドレスは、カルロの意見がほぼ全て取り入れられたというドレス。

 仮縫いの段階で一度着ていたので、素敵なドレスなのは分かっていたのだけど…。


 完成したドレスがこれほど美しいとは!!

 双子の他にもドレスの着付けを手伝ってくれている侍女達が、ドレスの美しさに感嘆のため息を吐く気持ちがすごく理解出来る。


(侍女達はドレスの美しさだけではなく、それを完璧に着こなしているマリーナの美しさにも感嘆しているのだが、『うんうん、ドレス綺麗だよね~』と一人納得しているマリーナだけが気付いていないのだった…)


 上半身はスッキリしたデザインで、ウエストから裾にかけて美しく広がるAラインのドレス。

 薄紅ピンクから、裾に向かって鮮やかな赤になっていくグラデーションが美しい。


 上質なシルクの光沢が美しく、十分に華やかだが、そのほっそりとしたウエスト部分に、ピンクゴールドのオーガンジーで作られた大きめなリボンがあり、全体的に大人っぽいドレスに少女らしさをプラスしている。


 まさに、いまの少女から女性へと成長しようとしているマリーナのために、作られたドレスだと言えるだろう。


 これは…また、全身カルロの色ね。


 昨日のワンピースは、カルロが自分の色を纏って欲しいっていう独占欲的な意味だけだったけど、フォーマルな席での服装にエスコート相手の色を使うというのは、少し違った意味を持つ。


 独占欲の顕示という意味ももちろんあるけれど、それ以上に他者へ向けて『この人は私のパートナーだから手出し無用』と宣言するに等しい行為なのだ。


 エスコート相手が家族や友人、仲が良くない婚約者同士だった場合は、お互いの色は使わずに邪魔しない程度に整えることがほとんどらしい。


 だから私の3歳のお披露目の時に、家族でリンクコーデをしたら驚かれたんだよね。

 あれから、メーア王国では家族や友人などでも、一部だけ相手の色味を取り入れたりするのが流行ったみたいだけど、ムリーノ王国ではその流れはまだない。


 だから、ここまでガッツリとカルロの色だと、『彼女は僕のパートナーだから、()()()手を出すな!』くらいの意味に取られること間違いなしね。


 まあ、お披露目会を行う趣旨とも合ってるし、私としてもそれを嬉しく思ってしまっているんだから問題ないけど…ちょっと恥ずかしいわね。

 

 そんな風にうっすらと頬を染めてモジモジしている私を、侍女達が微笑ましげに見ていたのには全く気付いていなかった。

  

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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