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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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18.ピンクゴールドとルビーレッド

 ちょっと乙女チックな自分の思考に戸惑っているマリーナです。


 結局、カルロと今後のことについてちゃんと話そうと思いつつ、話せないまま数日が経ってしまっている。


 どうもこの手の話は、私の苦手分野らしい…。

 前世から色々な国の人と話をしてきたので、自分の考えを相手に伝えるのは割と得意だと思っていたんだけど、そうでも無かったみたいね。


 最近は、自分でもよく分からない気持ちに振り回されている気がするわ。

 

 カルロともいつも通りに接しようと思っているのに、異性としてのカルロを意識してしまう気恥ずかしさや、カルロの可能性を狭めてしまっているかもしれない後ろめたさ、そんなぐちゃぐちゃとした気持ちが混ざり合って、どういう態度を取ったら良いかがすっかり分からなくなってしまったみたい…。


 カルロも私の様子が可笑しいことには気がついていて、王女様の件もあったし、嫌な気持ちにさせたのでは無いかと謝ってきた。

 

 その件に関しては、悪いお手本を残していったお姫様には怒りを感じたけど、カルロはハッキリと断っていることだし、本当に気にしていないと何度も伝えたことで納得して貰えた。


 そんな私の中での感情が膠着状態の中、ステフ小母様からフェレーリ家が主催するお披露目会の正式なお話があった。


 

◇◇◇



 お披露目会のお話自体は、こちらに着いてすぐの頃には小母様から聞いていた。


 リモーネに到着したのが5月12日。

 こちらでの滞在期間約四ヶ月の中で、ちょうど中頃となる7月15日の開催で準備するので、そのつもりでお願いね、と。


 これまで一ヶ月半に亘って、加工場やハウス、市場などカルロと共に視察と称してあちこち巡ったのも、領民や各所の責任者への顔見せの意味もあったのだ。


 それらの合間を縫って、ムリーノ王国での流行や気候に適したドレス、装飾品の準備が行われていた。


 私も伯爵家の娘であり、商船の主でもあるので、品位を保つためにもある程度のドレスや装飾品はメーア王国から持ってきている。


 しかし、割と四季がハッキリしていて日本に近い気候のメーア王国とは違って、年間を通じて割と温暖で、夏は乾燥が強く暑さが厳しい気候のムリーノ王国では、必要となるドレスが違う。


 こちらでの流行もあるので、今回はステフ小母様とフェレーリ家の御用達デザイナーの方に全面的にお任せすることにした。

 

(実は採寸が終わって、後をデザイナーとステファニアに任せたマリーナが退室した時、デザインを決める場にカルロが乱入し、母親と激論を交わしていたことをマリーナは知らない…)


 

 本当は、お披露目会の準備もお手伝いしたかったんだけど、ステフ小母様がかなり張り切って準備して下さっていて、お手伝いする余地がなかったので、今回のお披露目会の内容に関しては完全にノータッチなのよね。


 ステフ小母様はとてもセンスが良いし、こちらでの流行を知ることも出来るので、勉強させてもらう意味でもかなり楽しみにしている。


 近隣領地の令息や令嬢も参加するらしいから、お友達が出来るかもしれないしね!


 こちらでのお友達が出来たらいいな~と浮かれていたマリーナ。


 そんなマリーナの様子を見ていたカルロが、決意を込めた表情でこちらを見ていたことには、全く気付いていなかったのだった。


(そろそろ、マリーナに僕の本気を伝えておかないと逃げてしまいそうだね…。でも、もう逃がしてあげられないよ。マリーナはまだ虫除けのつもりかもしれないけど、着々と外堀は埋めているからね。リモーネで僕の相手をマリーナ以外だと疑うものは、もう誰もいないだろう…。それに、マリーナも最近は少し僕を意識してくれているみたいだしね。でも、本当の意味での婚約者として一緒に旅に出るためには、もう一押しさせて貰うとしようかな。)



◇◇◇



 お披露目会を明日に控え、慌ただしい空気が漂っているフェレーリ家。


 この日は特に予定も無かったので、準備の邪魔にならないように、ハウスの様子でも見に行こうかと考えながら朝食を頂いていたが、カルロから連れて行きたい所があるとお誘いを受けた。


 決まった予定も無かったので、すぐに喜んでと返答した。

 

 朝食後、外出着に着替えるために部屋に戻ったが、メイが見慣れないワンピースを出してきた。


「あら?素敵だけど…こんなワンピースあったかしら?」


「カルロ様からの贈り物です。今日はぜひこちらを着て欲しいとの仰せでした。」


「まあ、カルロが!?」


 さっきは何も言ってなかったのに…。

 滑らかな肌触りの淡いピンクの生地に、繊細な金糸の刺繍が施されている素敵なワンピース。


 シルクのような光沢のあるピンク地にゴールドの刺繍なので、角度によってピンクゴールドに見える…カルロの髪色だわ…。

 なんだか…すごく恥ずかしい気がする!!

 

 顔を赤くして悶々と考えている間に、優秀な双子は私にワンピースを着せて、髪型からアクセサリーまで整えてしまっていた。


「マリーナ様、整いました。」


 メイのその言葉にハッとなり、慌てて鏡を見てみると、そこにはピンクゴールドに見える上品なワンピースを纏い、小さいけれど輝きの強いルビーのネックレスとピアスを身に着けた少女が映っていた。


 全体的にいつもより少しだけ大人っぽい印象に纏まっているようだ。


 ピンクゴールド(カルロの髪色)のワンピースに、ルビー(カルロの瞳の色)のネックレスとピアス…。


 完成した私のコーディネートを見て、双子が「「独占欲丸出しですね…」」と呆れた口調で言った。


 …や、やっぱりそう見える!?


 このアクセサリーにも見覚えはないから、これもカルロからの贈り物なのよね。


 最近はカルロを異性としてすこし意識してしまっているせいか、この色使いはすごく恥ずかしい!

 

 しかも、ワンピースもアクセサリーも私の趣味にドンピシャなのよ…。

 どうして私の好みが分かったのかしら?


 どうも前世の記憶があるせいか、子供っぽい色やデザインが苦手で、いつも大人しめのデザインが多くなってしまう。


 お母様はもっと可愛いのを着せたいみたいなんだけど、前世で成人だった記憶が邪魔をして、フリフリひらひらした服にはどうも抵抗があるのよね。


 年齢的には着ていても全く問題はないはずだから、完全に気持ち的な問題ね。


 カルロの色を全身に纏っていること。

 自分好みのコーディネートをカルロが完全に把握していること。


 なんだか色んな意味で恥ずかしすぎて、カルロと顔を合わせるられるのか心配になってきた…。



 恥ずかしそうにモジモジとしながらも、嬉しそうな様子を隠せていないマリーナの様子に、


【レイ。カルロ様は一気に攻めてきたね。】

【そうね。外堀を埋め終えたんでしょうね。】

【【カルロ様、お手柔らかにしてあげてくださいよ…】】


 感応で会話しつつ、とうとう始まったカルロの猛攻に、恋愛耐性の低いマリーナが耐えられるのか心配になる双子だった。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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