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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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17.変化の兆し

 ハウスでの出来事から一ヶ月が経った。

 すっかり、リモーネでの生活にも慣れてきて、第二の実家のように過ごしているマリーナです。


 こんなにリラックスして過ごせるのは、フェレーリ家の皆さんが本当の娘・妹のように接してくれることはもちろん、使用人や領民までが好意的に接してくれるお陰だと思う。


 入港の際のフェレーリ家の出迎えを見ていた彼らは、領主家が大歓迎で迎えている私のことを同じように歓迎してくれているのだ。


 フェレーリ家が領民に慕われている証拠よね!

 カルロとあちこちを視察と称して巡ったけれど、何処へ行っても好意的に話しかけてくれて、カルロの婚約者なら家族も同然!って身内扱いして貰えて凄く嬉しかったわ。


 だけど、私的にはちょっとだけ困ったこともある…。


 ここに来てからの身内扱いで、『カルロとリモーネで生活するのも楽しそうだな~』って、自然と思っちゃったのよね。


 これまでアンカーを離れることを考えた事もなかった私がよ?

 これには、私が一番驚いてしまった…。


 カルロとはいつも手を繋いでいるし、挨拶の度にハグをしている。

 だから、次第にスキンシップに慣れてきたのか、最初の頃の恥ずかしさは無くなってきたんだけど…。


『あれ?カルロってこんなに背が高かった?』

『あ、意外と身体鍛えてるんだ』


 って、これまで感じたことのない変化に気付いてしまって、別な恥ずかしさが顔を出すようになってしまったの。


 カルロは正式な婚約者だし、私に好意的に接してくれていることも分かっている。

 でも、このままカルロの選択肢を奪った状態でいることが、カルロにとって良いことなのか…。

 

 その事が最近は良く頭を過ぎるようになった。

 近いうちにカルロとは、ちゃんと話をした方が良いかもしれない。


 だって、カルロが学園に通うようになったら、同い年の素敵な令嬢がたくさん居るはずだもの…。


 その時に、私の存在や婚約の事実が疎まれるくらいなら、早めに離れた方がお互いのためなのでは無いか、でもそうなるとは限らないし…と、そんな負の思考ループに囚われて抜け出せなくなってしまっていた。



 後から考えれば、こんなことを考えてる時点で、『カルロが大好き』だって言っているようなものよね。

 でも、この時の私にはまだちゃんと自覚できていなかった。


 言い訳をさせて貰うと…前世でも25歳まで生きた私だけど、残念ながら言語関係に全振りしていて、恋愛方面にはまるっきり縁が無かったのよ。

(友人達曰く、私が気付いてなかっただけらしいんだけどね…いや、分からんて!)

 

 前世も合わせると中身は35歳のお姉さん(おばさんでは断じて無い!)だけど、恋愛偏差値はほぼ0という残念スペック。


 そういうところも、ハイスペックで絶対にモテるであろうカルロとは、釣り合いが取れていないんじゃ無いかと心配になるポイントだったのだけどね…。


 だけどこの後、今回のリモーネ滞在中に、このモダモダの関係が少し進展する切っ掛けになる出来事が起こることになる。



◇◇◇



 今回のリモーネ滞在は、約四ヶ月と多くの時間を取ることになっている。


 その理由は、カルロの婚約者としての社交活動をリモーネを中心に行うためだ。


 婚約の公表は私が5歳、カルロが7歳の時に両国ともに行っている。

 しかし、二人が幼かったことや物理的な距離があったことで、顔を合わせての交流は、年に一回くらいのペースで、カルロがメーア王国に来る程度にとどまっていた。


 それでも婚約者がいるという事実だけで、当面の厄介な横槍は防げていた。


 しかし、現在はマリーナが10歳、カルロも12歳となり、それぞれが優秀であることが他家に知られ始めると、自家に取り込みたいと思うのか、様々な思惑を含んだお茶会やお誘いが増えてきていた。


 それらを一蹴する意味も含めて、しばらくはムリーノ王国に留まって、カルロの婚約者としての社交活動を行うことになったのだ。


 ちなみに、母と約束した年に二回の帰国の約束もあるため、ムリーノ王国での滞在終了後には、一度カルロと一緒にメーア王国に戻って、今度はそちらでの社交活動を一ヶ月ほど行う予定になっている。


 メーア王国での活動期間が短いのは、今後の活動拠点が何処になるのかという問題が大きく関わっている。


 カルロは侯爵家の次男だし、私は伯爵家の長女とはいえ兄が二人居るので、本来ならどちらも家を継ぐ事はない。


 ただ、フェレーリ家の方に少し特殊な事情がある。


 フェレーリ家は元々、港町リモーネを中心とした沿岸交易を担う『()()()』だった。

 しかし、海運と商会運営による国への多大な貢献によって『()()』へ陞爵となった。


 ムリーノ王国の制度では陞爵した場合、旧来の伯爵位はそのまま従属爵位として保持され、新しく侯爵位を名乗ることになる。


 そのため、『フェレーリ()()家』でありながら、『フェレーリ()()位』も同時に保持していることになる。


 アレッシ小父様にはご兄弟がいないので、現在はどちらも小父様が管理しているけれど、次代では嫡男であるパオロ様がフェレーリ侯爵家を継承し、次男であるカルロが従属爵位を継承することになる。


 その際、同じフェレーリ家では紛らわしいので、カルロの継承に合わせて『コスタ伯爵家』と名を改める予定となっている。


 コスタ伯爵家は陞爵による従属爵位なので、領地などがあるわけではないが、主家であるフェレーリ侯爵家から『フェレーリ商会の対外交易部門』を任される予定らしい。


 そのため、リモーネを拠点に各国を巡り、商材・技術・文化の交流を担うこととなるので、今後のためにもリモーネでの人脈作りが優先されているのである。


 そう、何を隠そうカルロは侯爵家の次男ではあるが、将来の『コスタ伯爵』となることが決定しているという超優良物件なのだ。


 しかも領地が無いから、領地経営のような面倒ごとは少ないうえに、主家であるフェレーリ侯爵家の後ろ盾により、経済的な心配は皆無。

 

 となると、貴族夫人として楽をしたい令嬢達からすれば、カルロは垂涎の的なのだとか。

 

 でも、カルロと結婚することになってコスタ伯爵夫人になるなら、常に一緒に世界を飛び回ることになると思うんだけど、それって楽なのかしら???


 令嬢には結構厳しいような気もするんだけど…。


 え?カルロが外国に行っている間は、自分は残って遊び回っている予定なの!?

 嘘でしょう!?


 不思議そうにしていた私にメイが恐らく…という推測を教えてくれたんだけど。

 それにしても酷くない?


 そりゃあ、前世でも『亭主元気で留守が良い』なんて聞いた事はあるけれど…。

 うーん、そんな令嬢達にカルロは勿体ないって、思っちゃうよね。


 私ならいつでもどこまでも一緒に行くのにな…。

  

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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