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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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10.フェレーリ侯爵家の歓迎

主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。

 はい、問題なく臨検が終了して、リモーネへの上陸を待つばかりのマリーナです!


 停泊3日目となる昨日、臨検のためにリモーネの検疫官と入港審査官が乗船したんだけど、モントリヒトの船内にいちいち驚くのが面白かったわ。


 まあ、水の浄化循環装置がある船は見たことが無いだろうし、驚くのは無理もないんだけど…。

 臨検の間ずーっと、『臭くない…』『綺麗だ…』『病人がいない…』って、ブツブツ言いながら歩くんだもの、ちゃんと仕事出来ているのか心配になっちゃったわよ。

 

 質問に答えるために同行していた船長(ノーラン)も、何とも言えない笑みを浮かべていたわね。


 まあ、でも問題なんてある訳もなく、無事に臨検が終了して、本日の上陸許可が出たのです!



 港には、フェレーリ侯爵家が出迎えに来てくれているみたい。


 この2年間は、両親に課されたノルマを達成するための鍛錬や勉強、事業関連の引き継ぎで忙しくしていたから、手紙でのやり取りのみだったし、久しぶりにカルロやパオロ様に会えるのも楽しみだわ!


 

◇◇◇



 タラップが降ろされ、固定された。


 船員達の下船に関しての取り纏めをノーランに任せて、私は一足先にメイとレイを伴って下船することになった。


 陸上での護衛も担当する海兵隊の隊員が数名先に降りて、安全性を確保した後、メイとレイに前後を挟まれる形でタラップを降りる。


 タラップを降りた先には、フェレーリ侯爵家の当主アレッシオ様と、奥様のステファニア様、嫡男のパオロ様と、私の婚約者でもあるカルロが待っていた。



<マリーナ嬢、久しぶりだね。あんなに小さかったのに、すっかり素敵なレディになったな!>


 久しぶりに会った親戚のおじさんのような気安さで挨拶をしてくれたのが、アレッシ小父様(おじさま)

(アレッシオ様って呼ぶと返事をしてくれないのよね…。)

 

<ご無沙汰しております、アレッシ小父様。この旅の権利を獲得するために、厳しい淑女教育を頑張りましたわ。>


 そう言いながら、先生やお母様からもお墨付きを頂いたカーテシーを披露する。



<まあ、マリーナ嬢!素敵なカーテシーだわ!我が家には息子しかいないし、やっぱり女の子は可愛いわね~!早くお嫁さんに来て欲しいわ!>


 いやいや、可愛いのはステファニア様の方ですって!お母様といい、ステファニア様といい、いくつになっても可愛いなんて羨ましい限りです…。


<ステファニア様もご無沙汰しております。ステファニア様も相変わらずお綺麗ですね!!わざわざお迎えに来て下さってありがとうございます!>


<まあ、ステファニア様なんて他人行儀で寂しいわ…。ステフ小母様(おばさま)(後々はお義母様…だけどね)と呼んで欲しいわ。もう娘も同然ですもの、私もマリーナちゃんと呼ぶわね!>


 お、おう…ぐいぐい来ますな。

 まあ、アレッシオ様をアレッシ小父様って呼んでる時点で、手遅れな気もするよね…。

 ここは素直に受け入れちゃいましょう!


<はい、ステフ小母様。私の事は好きに呼んでくださって大丈夫です!>


 小父様と小母様への挨拶が終わった頃合いを見計らって、パオロ様が声を掛けてくれた。



<マリーナ嬢、久しぶり!大きくな <マリーナ!久しぶり、会いたかったよ!!> カルロ…兄にも挨拶ぐらいさせてよ…。>


 パオロ様の挨拶を途中で遮って、カルロが思いっきりハグをしながら挨拶をしてきた。


 どうもムリーノ王国は、前世で言うイタリアっぽい文化の国で、挨拶でのハグは家族や親しい人と普通にするらしい。

 メーア王国では握手が多いから、ちょっと恥ずかしいわ…。

 

 耳を赤らめて、恥ずかしそうにしつつもちゃんとハグを返してくれるマリーナに、カルロは笑みを隠しきれなかった。

(ハグしてるからマリーナに顔を見られなくて良かった…。かなりだらしない顔をしているだろうしね。相手の文化や慣習を尊重するマリーナらしく、恥ずかしがりながらもムリーノ王国の慣習だと受け入れてくれるところが可愛いよね!!)



<パオロ様、カルロ、お久しぶり。会えて嬉しいわ!この二年はお互いに忙しくて会えなかったけど、ラオ便で近況のやり取りはしてたから、お互いの状況は分かってるし不思議な感じね。旅の準備で結構大変だった時も、カルロからの手紙で凄く励まされてたわ。ありがとう!>


 急なハグに照れつつも、忙しい中でもたくさん送ってくれていた手紙のお礼を言うと、


<こちらこそ、マリーナからの手紙だけを励みに、この二年間は頑張ったんだ。滞在中には、こっちの『言の葉の家(ハウス)』やレモンの加工場なんかも案内するよ。他にもマリーナに見せたい物や場所がたくさんあるんだ!楽しみにしててね!!(マリーナがお嫁に来てくれる場所だからね。マリーナの好きそうな物や場所はリサーチしてあるし、全力でアピールしていかないとね…。それにしてもマリーナ、凄く綺麗になったな…余計な虫が付かないようにしないと!!)>


<あー、うん。カルロが張り切って案内のプランを考えていたから、楽しみにしててよ…。(案内というよりマリーナ嬢の囲い込みプランと呼んだ方がいい内容だったけどね…)>


 おー!!カルロが頑張った成果を見せてくれるみたいね。

 こっちの『言の葉の家(ハウス)』も気になるし、レモンの加工場も気になる!!

 カルロのお勧めの物や場所も楽しみだな~と目を輝かせて、何度も頷いた。



 フェレーリ侯爵家との挨拶が一通り済んだ所で、一緒に行動することになる私の専属侍女であるメイとレイを紹介した。


 通常外国では、ホテルなどよりも安全性が高いという理由で、船室で寝泊まりすることが多くなるが、ここでは婚約者の実家であり、安全性も問題ないのでフェレーリ侯爵家に滞在させて貰う事となっている。


 メイとレイは護衛も兼ねているので、一緒に滞在させて貰えるように事前伝えて、ちゃんと了承も貰っている。


 メイとレイのあまりにもそっくりな様子に驚いているようだが、特に双子についての忌避感は無さそうで少しほっとした。


 リモーネは西大陸のホンスーとは距離が近いので、かなり昔から取引が続いているみたい。

 ホンスーから入ってきている文化も多いと聞いたので、少しだけ心配だったのだけど、大丈夫みたいね…。


 メイとレイの故郷であるホンスーでは、どうも双子という存在が良く思われていないみたいだから…。


 本人達から詳しく聞いたわけじゃないからハッキリとは分からないけど、どうも故郷を出た理由はその辺りにありそうなのよね…。


 後で、カルロにこっそりホンスーの文化について聞いてみましょう。


 そんなことを考えながら、カルロに案内されるままにフェレーリ家が用意した馬車に乗り込んで移動したのだった。


(『パオロ心の声』おいおい、マリーナ嬢が何か考えごとをしながら歩いているのを良いことに、カルロが自然に手を繋いで歩いてるよ…。普段は女の子に言い寄られても、冷たい態度で断って泣かせるようなヤツなのに…マリーナ嬢にはアピールが凄いな!!なんかこのまま『婚約者なら手を繋いで歩くのが普通だ』とか言いくるめそうだよな…。まあ、マリーナ嬢が我が家にお嫁に来てくれるのは大賛成だし、余程の事が無い限りは、何も言わないでおこうかな…。うん、決して邪魔したときのカルロが怖いからじゃないぞ!! )

 

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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