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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー

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1.季節を越えた先で

お待たせ致しました!

第二章 邂逅編 ーひらかれる世界 ー が始まりました。


これから、マリーナが出会う様々な世界を一緒に巡りましょう♪

 皆様、お久しぶりです。

 明日で10歳を迎えるマリーナです。


 8歳で世界への旅立ちを決めた私でしたが、いや~この二年間は大変でした…。


 旅立ちに際して、両親から出された条件を10歳までにクリアすることが必要だったので、そりゃあもう頑張りましたとも!



 お父様からの条件は、元伯爵で現在はバイエルン海兵隊長を務めるお祖父様の監修のもとで、「基礎体力の向上」と「護身術の会得」。


 さらに、一度船で外洋に出てしまうと、長期間帰国が出来ない。

 だから、勉学が疎かにならないように、出発までに「学園入学前までの貴族教育」を完全に習得すること。


 前世では、一度社会人まで経験しているので、「学園入学前までの貴族教育」に関しては、割と楽勝だったんだけど…。


(数学は入学前のレベルは算数程度だったし、言葉は読み書き問題なし、歴史とかを一から覚えたくらいだしね)


 問題は、「基礎体力の向上」と「護身術の会得」。

 こちらに関しては、一般的な貴族令嬢として8歳まで育っていた私には、とにかくキツかった…。


 最初のうちは、筋肉痛でまともに動くことも出来ない状態が続いたし、体力が無いからすぐにへばってしまう。


(みんながすぐに抱っこして移動しようするのも問題だったのよ。お陰ですっかり体力の無い令嬢だったもの…。普通の令嬢ならそのままでも支障無かったんだろうけどね)


 それでも、絶対に自分の足で外国に行くことを諦められなくて、何とか食らいついて課されたノルマを一つずつこなしていった。


 お祖父様やお父様だって、私に海兵並みの動きで敵を撃退することを期待したわけじゃない。


 あくまでも、いざという時に自分で回避と避難が出来る体力や術を身に着けて欲しかっただけなので、私も無理に強くなろうとするのではなく、目的を絞って鍛錬のメニューを組んで貰った。


 お陰で、何とか10歳までにお祖父様基準をクリアする事が出来たわ。


(いや、ほんと…。よく頑張ったわよ私。たまに来るカルロやフラン従姉様の手紙が癒やしだったわ~)



 そして、お母様からの条件は、「淑女教育の基礎」の完全習得と、年に2回は戻ってきて必ずお茶会などで淑女教育の実践を学ぶこと、旅をするのは14歳の誕生日前日まで。


「淑女教育の基礎」は専属の教師がついて座学と実践を繰り返しながら、約1年で完全習得のお墨付きを頂けた。

(ここでの実践とは、食事やお茶を飲むときのマナー、歩く姿勢などの個人的なマナーが中心)


 ここが出来ていないと、ちゃんとした淑女教育も出来ない家だと、家全体の恥になると言われたのでかなり真剣に学んで、今では私も立派な淑女ですわ~おほほほほ。


 でも、まだ他家の令息令嬢との社交には触れていないので、本格的な実践は10歳~14歳までの学園入学前の子息令嬢を対象にしたお茶会で、ということになる。

(こっちは、対人マナーの実践が中心ね。お茶会での話題の選び方とか、嫌みの受け流し方とか…ね)


 そのため私の誕生日(四月)の他に、秋から冬にかけてある社交シーズンには一度戻ってきて、お茶会に参加しなくてはならない。


 中央で行われる大人の社交会とは違って、子どものお茶会は領地近隣の10~14歳の子供が居る家が、持ち回りで主催するんですって。


 学園の入学前にご近所さんと仲良くなっておけば、学園でぼっちは避けられるよねってことらしい。

 そりゃあ、みんな積極的に参加する訳だわ。


 しかも14歳の参加は、学園入学を控えてるからその準備段階として必須らしい…。


 友達作りなんて、学園入ってからで良いじゃ無い…って私なんかは思うんだけどね。

 こうやって事前にいくつかコミュニティが出来上がっているから、後から入るのは相当大変らしいわ。



 そんな訳で、両親からの条件をしっかりクリアし、同時に進めていた旅の準備もほぼ終わっている。


 後は、明日『誕生日 兼 船出を祝うパーティー』を家族が開いてくれるので、明日は家族と思いっきり楽しんで、明後日は出港の予定。



 ◇◇◇



 さて、家族が私のために開いてくれたパーティー。


 参加しているのは、うちの家族とお母様の実家であるアイヒベルク侯爵家から伯父様夫婦とフラン従姉様、あとは我が家の使用人達だ。


 年に2回は返ってくるし、あまり大げさにしたくなかったので、完全に内輪でのお祝いにとどめて貰った。


 うちの両親もクリス伯父様達もとっても寛容な人達だ。


 今回は、我が家の使用人達の他にも、船で一緒に行ってくれることになっているバイエルン商会の熟練船員達や、護衛も兼ねている海兵隊員とその家族達も招待して貰ったのだ。


(仕事とはいえ、長期で旦那さんや息子さんをお借りすることを思えば、出発前に楽しい思い出を作ってほしいしね)


 服装もドレスの様なものでは無く、キレイめなワンピースとか、スーツ、隊服などで問題なしと伝えてあるので、気兼ねなく参加して貰えているようで良かった~。



 みんなが楽しんでいる様子を眺めていたら、クリス伯父様達が近づいてきた。


 私自身もパーティーの準備と、明日の出発の準備でバタバタしていたので、今朝到着したクリス伯父様達にはまだちゃんとご挨拶出来ていなかった。


「マリーナ!すっかり大きくなって。」


「クリス伯父様!ご無沙汰しております。」


 ちゃんと習った淑女の礼をしてご挨拶をする。



「マリーナが船で飛び出していくと聞いて本当にビックリしたが、しっかりと準備も出来ているようだね…。とても良い顔つきをしている。それでも、きっと海や外国では予想外のこともあるだろう。困ったら迷わずに、ライナーや私を頼りなさい。良いね。」


「はい。慢心せずに困ったときは、頼らせていただきますね。」


 私の頼らせてもらう宣言に満足そうに、うんうんと頷いている伯父様を微笑ましく見守っていたヘレーネ伯母様が声を掛けて下さった。


「マリーナ。すっかり淑女になりましたね。カーテシーもとても美しいわ。身に着けた淑女としてのスキルは、護身術とは違った貴方の武器となるはずです。他国で高貴な方とお話する機会もあるかもしれません。しっかりと武器として使いこなしてご覧なさい。」


「ヘレーネ伯母様。ありがとうございます。より一層、武器を磨いて参ります!」

 これまでに学んだ淑女としての最大限のマナーで、伯母様に敬意を示した。


 伯母様の隣に、少しツンとした表情で立っていらしたフラン従姉様(ねえさま)


「マリーナ、お久しぶりね。確かにカーテシーは綺麗だったわ。でも、貴方が他国で淑女としての武器を磨くなら、私はその間に国内で社交を頑張って、さらに素敵な淑女になるわ!だから、ちゃんと年に2回返ってきて確かめなくてはダメよ!戻ってこなかったら許さないんだから…。」と言って、フイッと視線を逸らした。


 うふふ。お従姉様ったら、相変わらずのツンデレさんだわ、と口元が緩んでしまう。

『貴方が居ない間にこちらも頑張るから、成果を確認しにちゃんと無事に帰ってきなさい。でも心配だわ…。』ってことよね。


 も~う!お従姉様が可愛いわ~。

 伯父様と伯母様も、ちゃんと分かってるからニコニコと見守っているし、ちょっと離れたところから婚約者であるヴォルフ兄様まで、微笑ましそうに見ているもの。


「はい、フラン従姉様。私の淑女としての目標はフラン従姉様ですから、楽しみに帰ってきますね!」

 フラン従姉様の心配が嬉しくて、堪えきれない笑みと共にハグをして感謝を伝えた。


 突然のハグに「淑女らしくない!」と怒りながらも、少し照れた様子のフラン従姉様にキュンキュンしてしまった。



 今回のパーティーには、残念ながら学園の寮にいるギル兄様と、すでに昨年で学園を卒業してクリス伯父様の代わりに次期当主として忙しくしているエル従兄様は参加出来なかった。


 王都の学園まで、馬車で8日・騎乗でも5日掛かるので仕方ないよね。

 本来は、フラン従姉様もギル兄様と同い年なので学園にいるはずなんだけど、いまは丁度長期休みに入ったところで、わざわざ戻ってきてくれたのだ。


(ギル兄様とエル従兄様からのプレゼントも持ってきてくれたの!やっぱりフラン従姉様は優しいわね)


 フラン従姉様は、今年学園に入学予定のヴォルフ兄様と一緒に王都に戻ることになるらしい。

 これからは近くに居られるって、二人ともすごく嬉しそうなので、私もなんだか頬が緩んでしまうわ。


 ギル兄様とエル従兄様も戻ってこられたらよかったんだけど…。

 婚約者がいるフラン従姉様とは違って、二人とも婚約者が決まっていないので、社交活動を頑張らなくてはいけないらしい。


 とくにエル従兄様は、次期当主としての社交も兼ねて、王都での活動のほとんどを任されているうえに、学園の在学中に婚約者が見つからなかったので、そちらも大変らしい…。


 エル従兄様自体はまだ19歳だし、結婚については全く焦っていないみたい。

 でもパーティーに参加すれば、エル従兄様を狙う令嬢達が群がって凄いらしい。

(フラン従姉様情報よ、ふふふ)


 ギル兄様も凄いらしいけど、まだ仮成人で学園在学中なので、少しはマシみたいね。



 うわぁ…それなら、パオロ様とかカルロも学園に入ったら、もの凄い人気なんだろうな~。


 そうそう、フェレーリ侯爵家も、今回のパーティーには来ていないんだ。

 理由は、私が出発して最初に向かうのがムリーノ王国だから。


 フェレーリ家のみなさんからも、お祝いの言葉はラオ便で届いたけど、プレゼントとかは向こうで準備してくれているんですって。


 カルロを迎えに行くのが目的だけど、初めての他国だし、私が初めて覚えた外国語の国っていうこともあって、思い入れがある国なのよね。


 メーア王国とは同じ大陸とはいえ、ほぼ東端と最西端でかなり離れているので、いまからどんな出会いが待っているのか、とてもとてもワクワクしています!

 

最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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