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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第一章 幼少期編 ー芽吹くことば ー

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46.大本命の到着です

 はい、今か今かと待ち望んでいた『レモン』が到着したとの知らせを受けて、待ってました~♪と小躍り中のマリーナです。


 食材加工の方向性が決まって、加工に動き始めてから約1ヶ月が経った今日、やっとフェレーリ家に用意して貰った『レモン』がアンカーの港に到着したとの連絡が入ったのです。


 1ヶ月という日程を考えると、お父様からのお願いの連絡が届いてからすぐに、フェレーリ家が準備して出荷してくれたのが分かって、迅速な対応が凄く嬉しいね♪


 ちなみに、バイエルン領とフェレーリ領の行き来には航路で通常なら()()()1ヶ月は掛かるのよ。


 え?計算が可笑しいって?

 ふっふっふ♪みなさん、『海の愛し子』というスキルを持った人の事を覚えていますか?


 海限定のスキルで『船で海に出れば必ず凪いで安全に航行でき、漁をすれば大漁』という素晴らしいギフトを持った人なんだけど、海以外の水辺(川や湖)とは相性が悪くて溺れてしまったりするから、海の無い王城や中央では役立たずと雇って貰えなかったのよ。


 そこをすかさず我が家で引き抜いてきて、普段は漁をしながら、必要な時はバイエルン商会の商船や、お祖父様が乗る護衛船に乗船してお手伝いをしてくれているのです。


 今回は急ぎの取引という事で、彼にバイエルン商会の船に乗船して貰ったので、本来は避けるべき海流なんかも、波と海風の運ぶままに船を進めるだけで難なく進めて、片道約2週間という驚異的な早さでフェレーリ領の港に着いたらしい。


 スキルって本当に素晴らしいよね!

 私のスキルも言語の習得には凄く役立つし、今後もたくさんの言語や文化と出会いたい私にはピッタリだもの、神様には大感謝だね♪


 さて、すぐに『レモン』を加工場に運ばなくちゃね!



◇◇◇



 そんなわけで、『レモン』の受取にバイエルン商会の商船まで来ましたが、なんとビックリそこにはフェレーリ家のパオロ様とカルロの2人が!?


「やあ、マリーナ嬢。急ぎみたいだったから、戻りのバイエルン商会の船に乗せて貰ったんだけど、めちゃくちゃ早くてビックリしたよ!海は一切荒れないし、船はほとんど揺れないし、快適すぎてもう自分のとこの船には乗れないかもしれないよ[泣]『海の愛し子』のスキル持ちの人って凄いよね~。」


「マリーナ、久しぶり。『レモン』が必要だって聞いたから届けに来たよ。『海の愛し子』のスキルってホントに凄いんだね。すぐに到着してビックリしたよ。(『海の愛し子』のスキル持ちを探すか・・・。そうしたらマリーナにもすぐに逢えるしね。)」


 と、2人が『レモン』を届けに来てくれたと分かって嬉しくなった。


「2人ともありがとう!どうしても『レモン』が必要だったから助かるわ。折角来てくれたから、『レモン』をどう使うのか知って欲しいけど、到着したばかりで疲れているでしょう?まずは我が家で休んで。」と、我が家での休息を勧めたんだけど、


「全然大丈夫だよ、マリーナ。それよりもこの『レモン』をどう使うのかが気になるな。ねえ、兄上?(マリーナと一緒に居られる時間を減らす理由は無いね。分かってるよね、兄上?)」


「え!?俺は先にやす・・・あーー、それがいつもより日程的にも早かったし、揺れもトラブルも無かったから、全く疲れていないんだよ~。『レモン』がどうなるか気になるな~。(弟の目が恐すぎる・・・断ったらネチネチと嫌な仕事させられそうだし、仕方ない付き合いますか。)」


 なんか、パオロ様の様子がちょっと変?若干棒読みな気がするけど・・・変なのは割といつも通りだから大丈夫かな?


 そりゃあ、これだけ急ぎで『レモン』を仕入れていれば、自分たちの特産品でもあるし気になるか。


「そう?大丈夫なら、これからすぐに加工場に運んで、『レモン』を加工するから一緒に行きましょう!」


 加工場は予備の倉庫を改装して作ったので、港からもそう離れておらず、『レモン』はすぐに加工する分の数箱だけ馬車に乗せて、後は荷車で運んで貰うよう頼んでから港を後にした。


 

◇◇◇



 フェレーリ家が用意してくれた『レモン』はこちらへの到着(2週間ほど)時期を目安に完熟となるもの、もう少し完熟に時間の掛かるものなど、収穫時期の異なる状態で用意してくれていた。


 パオロ様からそう説明があって、こういう配慮が出来るのは本当に凄いと思うし、尊敬出来る部分でもあるんだけど、普段のチャラい言動や行動で一気にマイナスになっちゃうのが、相変わらず勿体ない人だと思うよね。


 さて、さっそく今回の『航海病』対策の大本命である『レモン』の加工に入りましょうか。


 加工場までの移動の間に、パオロ様とカルロには以前プレゼントして貰った『ホンスー』の書物の中に『薬食同源』という考え方があり、それによって改善された病気の症状や予防についての知識があったことを説明して、状況的に類似している『航海病』への応用が出来るのではないかと考えた事を順に説明した。


 小さな頃から商船に乗っているパオロ様やカルロも、当然『航海病』については知っており、実際に発症した人を見たこともあって、これまで原因不明で治療方法が無いとされている『航海病』が食事療法で改善したり、予防出来るかもしれないなど信じられない・・・と言った表情をしている。


「信じられない気持ちは分かるわ。まだ実証も出来てないから、私もこれで合っているのかは不安ではあるのだけど、新しい薬を開発する訳でもなく、船の上でバランス良く食事が取れるように考えるだけで、改善出来る可能性があるのなら、試さない訳にはいかないでしょう?」



 実は、今回フェレーリ領の港まで『レモン』を仕入れに行ってくれた商船とは別な船が、いま南大陸までの取引で航海に出ているの。

 

 そちらはスキル持ちの居ない通常の航海になるため、片道1ヶ月半~2ヶ月掛かり、こちらに戻るまでは最大で4ヶ月ほどを見込む長期間の移動となるのだけど、試験的にこの船に載せる食材として加工場で加工した食材達を通常の保存食と一緒に載せている。


 南大陸は山と岩に囲まれた鉱山都市が多く、金属や宝飾品の加工に長けているが、大陸の半分は砂漠という過酷な地でもあるため、寄港地でも新鮮な食材の入手がなかなか難しいという特徴があるわ。


 そのため『航海病』のリスクが高い航路でもあったので、真っ先に検証するための航路として候補に上がっていたの。


 ここで予防効果が確認されたり、発症者が出ても新たな保存食を中心に与える事で対処が出来れば、長期間の航海での船員達の安全性が格段に上がる事になるわ。


 『レモン』については、フェレーリ家からのものが間に合わないのが分かっていたので、我が家がお土産に貰ったものと市場に出回っていたものが少しあったので、全部ドライレモンにして持たせている。


 ドライレモンにしておけば、飲み水に入れてレモン水にしたり、細かく刻んで料理に使ったりも出来るしね。(飲み水は基本的にレモン水にするように指導済。)


 たくさんは無かったから、他の加工方法は試せてなかったんだけど、今回フェレーリ家からたくさん送って貰えたから、色々と試せるわ~♪



 と、すでに検証段階に入っていることをパオロ様とカルロに伝えると、


「真剣に取り組んで居るんだね・・・。分かった!もし、南大陸に行っている船で一定の効果が見込めたのであれば、是非我が家の商船でも検証をさせて欲しい。」


 いつものおちゃらけたパオロ様ではなく、次期フェレーリ家当主として、商会を率いる者として『航海病』が本当に予防・治療出来るのであれば何でも試そう!と、真剣に受け入れてくれたようであった。


「マリーナ、君は本当に凄いね。プレゼントした『ホンスー』の本からそんな知識を得て、さらに似たような状況に応用しようと思いつくなんて!僕達のほうが『ホンスー』には近いし、取引だってしているのに・・・マリーナの友達として情けないな⤵」


 そう言ってカルロが落ち込んでしまったので、


「何を言ってるの!カルロがくれた本が無ければ、この話自体が無かったのよ?動いたのは確かに私だけど、あなたが切っ掛けであることは変わらないし、そこは絶対に否定して欲しくないわ!まだ検証段階だけど、私に新しい知識を与えてくれたカルロに感謝しているわ。本当にありがとう♪」


 実際、前世の知識で『壊血病』を知っていて、ビタミンCの補給で比較的簡単に治ってしまうことが分かっていても、どうやってその知識を伝えて信じて貰うか・・・という問題に直面していたので、カルロがくれた『ホンスー』の本が無かったら、この問題が解決出来るまでに何年掛かったか予想も付かないわ。


 だから、カルロが自分を卑下すること何て一切無いし、そんなことは絶対にして欲しくも無いので、本当に感謝しているという気持ちと共に、伝わるまで何度でも言葉にしたいと思っている。


「マリーナ・・・。分かったよ。出来なかった事を数えるのはやめて、悔やむ気持ちはこれから出来る事を増やすための原動力にしていくよ!マリーナの友達として頑張るね!!(マリーナの素晴らしさに追いつくにはどれだけ努力すればいいか分からないけど、絶対に置いて行かれることだけは無いように頑張らないと!)」


「うん。カルロはすでに素晴らしい友達だけど、きっともっと凄くて格好いい人になると思うわ。応援してるね♪」


 うんうん、なんかやる気に満ちてるね。

カルロはポテンシャルが高いから、もっと努力したら凄い人になるに違いないよね、楽しみだね~♪


 そんな2人の会話を黙って聞いていたパオロは、

(え~、なんかカルロのやる気が凄いんだけど。いまはマリーナ嬢に良いところを見せたくて、プロジェクト関連で張り切ってるのに、これ以上頑張られたらお兄ちゃんしんどいわぁ。ただでさえ、兄として頼りないって見られてるのにぃ[泣]でも、弟に簡単に負ける訳にはいかないじゃない?出来の良い弟を持つ兄の辛さよ・・・。)と、心の中で多いに嘆いていたのであった。


最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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