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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第一章 幼少期編 ー芽吹くことば ー

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34.しばしの別れと幸運の象徴

主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。


主人公が幼いことを表現するために、主人公の発言を全て「ひらがな」で表記しています。長い台詞などは読みづらいことを考慮し、本来は区切らない部分にも句読点をいれて細かく文章を区切っています。主人公が成長するまで、どうかお付き合い下さいませ。

 お披露目パーティーから慌ただしくも賑やかな毎日を送っていた私ですが、とうとうフェレーリ侯爵家とアイヒベルク侯爵家が帰領する日になってしまいました・・・。


 昨日は現状までのプロジェクトの進み具合や、それぞれが自領でやるべき事の確認をした後は、3家で晩餐会をして、またしばらくの別れとなることをお互いに惜しみつつ、楽しい思い出話をして過ごしたのだけど、この一週間は毎日顔を合わせていたので、明日から会えないと思うと凄く寂しい⤵


 カルロも寂しがってくれたので、2人でしんみりしてしまったんだけど、お互いにまだまだやることもあるし、次に会うときまでに成長できるように頑張ろうね!って約束したんだ。


 さ、しんみりしたままのお見送りは悲しいから、笑顔でご挨拶しなきゃね♪



◇◇◇



 朝食の後、次の町までの移動時間の都合で、まずはアイヒベルク侯爵家が馬車で出立することになった。


 大人達が挨拶している間、ギル兄様に抱っこされた私は、泣きそうになるのを堪えながら、エル従兄様とフラン従姉様にお別れの挨拶をしていた。


「エル従兄、フラン、色々と手伝ってくれたありがとう。そっちの領地での展開は手伝えないけど、2人なら問題ないと思う。何かあれば手紙で知らせてくれ。」


「エル従兄、鍛錬の相手をしてくれてありがとう。次は勝てるようにもっと鍛錬しておくよ!フラン、我慢しすぎるなよ。何かあれば必ず知らせろ!手紙は苦手だけど、ちゃんと返事するからな!」


「エルにいさま、フランねえさま、きをつけてかえってね[涙目]」


 うぅぅ・・・、3歳児だから、涙が堪えきれないぃ・・・。

笑顔で見送ろうと思っていたのに、勝手に涙が出てくるよぅ。


「ギル、色々と勉強させて貰ったよ。一度こちらで見せて貰ったからね。うちの領地での展開はしっかりやってみせるよ。ヴォルフ、こちらこそ一緒に鍛錬出来たのは楽しかったのよ。でも次もまだ負けてはあげられないよ。(僕に勝てるまではフランはあげられないからね!)マリーナ、泣かないで。毎日笑顔で過ごしていたら、すぐにまた会えるからね。みんなも元気で。」


 もうエル従兄様ってば、さり気なくヴォルフ兄様を牽制しないでよ~。

(まあ、ヴォルフ兄様はフラン従姉様ばかり気にしていて、気付いてないけどね。)


 そして相変わらずの色気だし、「泣かないで」ってハンカチで涙を拭く仕草に色気が凄い!

3歳児にもダダ漏れの色気を持つエル従兄様が心配になって、涙も引っ込みましたよ。


「ギル、お兄様の補佐は任せて、うちの領地の方が上手くやってみせるわ!ヴォルフ(///)、きっとそんな事にはもうならないわよ!(・・・でも、手紙は書くかもしれないわ。[小声])そ、そして、マリーナ!泣いてる暇は無いわよ!どちらが上手に補佐出来たか、次に会うときまで競争よ!」


 うふふ~、フラン従姉様は勝ち気な性格と照れるとツンが出ちゃうのはそのままだけど、良い感じにヴォルフ兄様を意識してくれてるみたいです♪


 しかも、私みたいなちびっ子じゃ、フラン従姉様の競争相手にならないは分かってるのに、競争だって言うことで私を元気づけようとしてくれてるのが分かって、やっぱり優しいんだよね~。


 我々の挨拶が一段落したところで、大人達の挨拶も終わったようで、またの再開を約束して、それぞれが馬車に乗り込んで行った。


 私は馬車が走り出して姿が見えなくなるまで、ずっと手を振り続けていました。


 前世の様にすぐに連絡が取れたり、TV電話で顔を見て話が出来たりする訳じゃ無いから、また会えると分かっていても凄く寂しいな・・・。


 でも、そのぶん次に会えたときの嬉しさは、きっと凄く大きく感じるんだよね。



◇◇◇



 さて、本日2回目のお別れを経験しているマリーナです。


 フェレーリ侯爵家は、積み荷の準備の都合でお昼前の出立になりました。

いまは港までお見送りに来ています。


 フェレーリ家の商船に乗り込むためのタラップの前で、お別れの挨拶をします。


<パオロ、そっちの領地の展開はしっかり頼むぞ。あまりカルロに負担を掛けるなよ。カルロ、パオロが変なことしたりサボろうとしたら、叱ってくれよ。困った事があれば手紙で知らせてくれ。>


<パオロ兄、カルロに迷惑掛けんなよ!カルロも我慢しすぎないで、親父さん達をちゃんと頼るんだぞ。>


<パオロさま、おにいさまとして、カルロをたすけてあげてね。カルロ、むりしないで、ちゃんといきぬきで、あそばないとだめよ。>


 パオロ様には、みんなからカルロに迷惑掛けるなっていう激励?の言葉が掛けられ、カルロにはみんなから無理しないで!って言葉が集まっているのが面白い。


<いやいや、みんな可笑しいでしょう!!なんで兄の僕のことを弟のカルロに頼むのさ!僕は何だってちゃんと出来るんだよ?もうちょっと信用してよ~[泣]>


 うん、出来るのは分かってるけど気分屋だから、ついつい真面目でしっかりしているカルロに頼んじゃうんだよね。


 ギル兄様も<お前はやれば出来るのに、やらない事が多いから信用が無いんだ。言われたくなかったら、次に来るまでにカルロに迷惑掛けずにちゃんとやれ。>って言ってし、ヴォルフ兄様もうんうんって同意してる。


兄たちのそんな様子を苦笑しながら見ていたカルロは、

<ギル兄、ヴォルフ兄、パオロ兄上はやれば出来るので大丈夫です。今回のプロジェクトでのギル兄様達の動きに刺激を受けていたようですから、きっと領地に戻ったらやろうと思っている事があるはずです。兄弟で力を合わせて、バイエルン領に負けない成果を上げて見せますので、次に会うときまで期待していて下さい!>と言い切っていた。


 お~!!パーティーで初めて見た時も、1人でも対応出来てしっかりした子だと思ったけど、何か更に急成長してない!?5歳児のポテンシャル凄いな!!


 そんな風に感心してカルロをみていたマリーナの正面に立って、マリーナの両手を下からすくい上げるようにソッと掴むと、


<マリーナ、しばらく会えないのは凄く寂しいけど、昨日も言った通り、次までに成長した自分でマリーナに会えるように頑張るよ!それまで毎日マリーナの事を思うから、一番の友達は僕だってことを忘れないでね。(マリーナの一番の友達はずっと僕だからね)>


 と、マリーナの目を見つめながら祈るような眼差しで告げた。


 カルロも毎日遊んだ友達と離れるのは寂しいんだね。

うんうん、分かるよ~。私ももっとカルロと遊びたかった!


<うん、わたしもつぎまでに、たくさんせいちょうしてみせるよ!カルロもがんばってるかな~って、おもいながらがんばるね!カルロもわたしのことわすれないでね。>


<うん、もちろん忘れないよ!(毎日毎日毎日マリーナの事考えるからね)>


 この会話を聞いた兄達と大人達は、微笑ましい会話のはずなのに、何故か寒気を覚えるという現象に困ったような表情をうかべて、とりあえず物理的な距離が出来る事で、何かが緩和されるのを期待するという遠回しな解決方法に頼ることにするのであった。


 ギル兄様達と大人達の微妙な反応に???と首を傾げるマリーナだったが、ハッ!とカルロにお土産を渡して居なかったことを思い出した。


 慌てて、側に居たメアリーに馬車内に持ち込んだ包みを取ってきてくれるよう頼んだ。

急いでいることが伝わったのか、メアリーがシュバッとあの忍者の様な動きで、移動してあっと言う間に馬車から包みを持ってきてくれた。


 うん、いつかあの動き教えてくれないかな。私もやってみたい♪

ってそうじゃなくて、出港の時間になっちゃうから早く渡さなくちゃ!!

 

<カルロ、はじめてのおともだちの、きねんにコレあげる!>


<僕にくれるの?開けても良い?>


 キョトンとした顔で受け取ったカルロは、次第に満面の笑顔になって開けても良いか聞いたきたので、


<いいよ~って。すこしこわれやすいからきをつけてね。>と念のため注意する。


侍従に手伝って貰って、慎重に包みを開けたカルロはビックリした表情をして、中から貝殻で出来たサンキャッチャーを取り出した。


<マリーナ、これって一緒に拾った貝殻?>


<うん、おともだちのきねんに、おそろいのものがほしいとおもって。>


 そして、これは『サンキャッチャー』と呼ばれる物で、本来はガラスやビーズなどキラキラとした飾りを、紐やチェーンなどで繋ぎ、窓辺などの日差しが当たる場所に吊すものであり、光が反射してとても綺麗であること、そしてこれは幸運の象徴でもあることを説明した。


 今回は、一緒に拾ったファンタジー貝殻の中に、色ガラスの様に透明度の高い貝殻がたくさんあったので、カルロのは青や緑などの色を集めて、私のは黄色やオレンジなどの色を集めて作ってみたんだ~。なかなか可愛いのが出来て大満足♪


 貝殻に穴を開けたり、紐でバランス良く吊したりといった作業は、メアリー達にも手伝って貰ったが、使う貝殻の選定と配色は全てマリーナが行ったと伝えた。


<マリーナとお揃いなんて凄く嬉しい♪でも、これは僕とだけお揃いだよね?他の人ともお揃いにしちゃったら悲しいから、僕だけにしてくれる?(他の人もお揃いなのは許せないよね。マリーナなら僕が泣きそうな顔で頼めば僕とだけお揃いで居てくれるはず。)>


 サンキャッチャーを見てちょっと欲しそうにしてた女性陣を始めとした大人達は、カルロの発言に「うわぁ~思いっきり牽制してる。しかも、泣きそうな顔で頼めば聞いてくれるって分かっててやってるなアレ。」とドン引きしていた。


<かわいくできたから、よろこんでくれてうれしい♪たいようがよくあたるところにかざってね。わたしもかざってるの!キラキラするたびに、カルロにがんばれって、おうえんしてもらってる、きもちになるもの。ほかのひとにも、こううんをわけてあげたいから、ちがうデザインのなら、つくってあげてもいい?>


 そっかそっか、友達とのお揃いはカルロも初めてだろうし、他の人と被るのは嫌だよね!

それならデザイン違いにして、カルロと同じデザインはもう作らないってことで納得してくれるかな?


<うん、僕も太陽がよく当たって、起きたら一番最初に目に入る場所に飾るね。いつもマリーナの事を考えて居られるようにね。幸運のお裾分けか・・・(それなら仕方ないね[小声])。僕とマリーナと同じデザインじゃなければ良いよ。>


 大人達はマリーナの『相手を持ち上げた上で、要求を上手く逸らす』手腕に感心した。


 しかも、それが計算ではなく自然にやっていることなのだから、これは『カルロの手綱を握れるのはマリーナだけなのでは?』という考えを抱かせるには十分な出来事となった。


 今後、幸運の象徴としてバイエルン領の定番のお土産となる『サンキャッチャー』は、領内のお土産屋さんでは様々な材質やデザインなどで特色を出した物が制作されて、収集物としても人気を博すことになるが、マリーナとカルロが持っているサンキャッチャーと同じデザインの物を作ることだけは、領主の命令で()()()()禁じられているのは、領民には有名な話となるのであった・・・。


次回からは、本格的に始動したプロジェクトによって運命が変わった人達の物語が少し続きます。


最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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