27.お話を聞きます② 【 留守番組 】
主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。
主人公が幼いことを表現するために、主人公の発言を全て「ひらがな」で表記しています。長い台詞などは読みづらいことを考慮し、本来は区切らない部分にも句読点をいれて細かく文章を区切っています。主人公が成長するまで、どうかお付き合い下さいませ。
【 留守番組 】
エル従兄様とヴォルフ兄様、カルロとエル従兄様に抱っこされた私が右側のテーブルへ移動すると、すでに留守番組の4名がテーブルの脇に立って待っていた。
かなり緊張した様子で、何ならちょっと顔色も悪いかな?(うん、私たちは恐くないからね~)
最年長はエル従兄様だけど、ここがフェレーリ侯爵家の商船で、相手も普段話す事のあるカルロの方が話しやすいだろうということで、カルロが中心になって話を進めることになった。
<みんな、仕事中にごめんね。少し話が聞きたいから、まずは座って欲しい。>
そう声を掛けて、まず自分たちが席についてから相手にも着席を促すと、彼らも怖ず怖ずと席に着いた。
(そして、私はエル従兄様の膝の上ですがナニカ・・・。仕方ないじゃ無い!!椅子が高くて足が届かないし、テーブルも高さがあって、一人で座るとテーブルの上に顔が出ないのよ![泣])
そんな私のちょっとクサクサとした気持ちは置き去りに、カルロが話し始める。
<みんなに聞きたいのは、普段僕たちは他国の港に停泊中には下船せずに船で待機しているんだけど、その時に現地の人と何か困ったことは無かったか、を教えて欲しいんだ。下船しないから直接の接触はあまり無いと思うけど、些細な事でも良いんだけど言葉が分からなくて困った事や、どうしたら良いか迷ったことを思い出して貰えたらと思う。>
カルロがそう言うと、彼らは困惑した表情で顔を見合わせており、誰も話し出せずにいる。
まぁ、カルロとは顔なじみとはいえ、雇い主の息子だし、他は初対面の貴族の令息令嬢だもの、気軽に話せる状況じゃないよね。
でも、切っ掛けがあれば、きっと色々と出てくると思うんだよね~。
じゃあ、さっさと切っ掛けを作っちゃいましょうかね!
<はじめまして、マリーナよ。みんなふねで、いろいろなくにに、いっているのでしょう?すごいわね!>
幼女に褒められて嬉しかったのか、彼らの表情が少し和らいだ。
(ふっふっふっ、幼女の無邪気さを装って色々と聞いちゃお~っと♪)
<でも、ことばがわからないと、こまるでしょう?なにかたりないものがあるときは、どうするの?>
そう質問をすると、彼らの中で一番年上と思われる男性が答えてくれた。
<お嬢様、俺は平民なんで、ちゃんとした話し方は出来やせんが、勘弁してくだせえ。お嬢様が言うように、船にずっと居ると、足りない物が出たりするんで、それは下船許可が出ている下級船員の奴らに、小遣い程度のお金と引き換えに頼むんでさぁ。他国で買うと高くつく上に、駄賃まで掛かるんで、あんまり頼むことはありやせんが、それでもどうしてもという時は長い航海なんでありやすから、仕方ないと思っとりますよ。>
そうだよね~。
頼まれる方も下船出来るとはいえ、下級船員だから言葉に不安があるだろうし、他国で買い物するのはリスクがある以上、お礼が必要だし、やっぱり分かりやすいのは金銭ってことになるよね。
まあ、前世でもそうだったけど、観光地って観光客向けの商品や飲食物は基本的に高かったし、他国で買うと高いって言うのはそういうことなのかな?
(本当は、言葉が分からない外国人だけをターゲットにしてボッタクリで高く買わせる。→お使いをした船員が更にお礼分を上乗せして金額を要求→お使いを頼んだ船員は内訳も分からず高額を支払う。という構図になっていたことを、後で下船組の話を聴いていた兄様から知り、激怒するマリーナでした。)
<そうなのね。おかいものができないのは、とってもふべんね・・・。>
一度話し始めると、芋づる式に色々と出てくる物で、興味深い話を聞くことが出来た。
■買い物が出来ない。(下船組にお使いを頼むが高くつく)
■上級船員が出払っている時に、荷物の事や船主などを訪ねてくる者への対応が出来ない。
■この船には船医が居るが、薬の補充や船主の予定について行く事も多いので、不在時に怪我や病気になっても、言葉が通じないので医者が呼べない。
■たまに船の上に居るだけで怒鳴られたりする場合がある。(メーア王国では無い)
カルロが知らない話もあったようで、驚いた表情で話を聞いていた。
<僕が聞いていた話は、買い物が出来ない・買ってきて貰うと高くつくっていう話が多くて、あとはたまに、船の上に居るだけで怒鳴られたことがあるっていうのも聞いた事があったよ。>
<うん、カルロからおしえてもらったのも、かいものができない、っていうおはなしだったよね。>
<うん、船の上に居るだけで怒鳴られたのは何でだろう?エル兄様は分かる?>
船員達から話を聞いて、少し考え込んでいた様子のエル従兄様でしたが、カルロからの問いに
<うーん、僕も心当たりはないなぁ。でもこの前マリーナも言っていたけど、他国には思いもよらない習慣や決まりがあったりするから、それかもしれないね。まあ、だからといって言葉も分からないのに、急に怒鳴りつけられたら嫌な気分になるよね。>
そうだよね、理由も分からずにまくし立てられたら恐いし嫌だよね。
エル従兄様の言葉に、船員達もウンウンと頷いている。
<ちなみに、どなられたときは、ふねのうえで、なにをしていたの?>
そういうと、一番若い船員が少し考えながら話し始めた。
<あ、それ最近俺もありました!そうっすね、二つ前に停泊した別な国の港で、その時は確か・・・。あ!やること無くて甲板でカモメに野菜くずなんかをやってたっすね。>
<あ~、たぶんそれだね~。>
若い船員を含む船員達全員と、エル従兄様やカルロ、ヴォルフ兄様まで『え!鳥の餌やりで怒鳴られたの!?』とビックリしている。
その反応に苦笑しつつ、一部前世での知識も含めて彼らに説明した。
カモメに関しては、国や地域によって考え方がかなり違い、
『海の神様の使いとして敬っている』
『漁で折角捕った魚を食い荒らそうとする害獣として扱う』
『人に病気を移す悪い物を外から運んでくる悪魔の使いと考えている』
などがあるので、カモメへの餌やりはその国、もしくは港では怒られる事だったのだろうと言うと、みんな更にビックリしたようだ。
うちの国もムリーノ王国も、特にそういったカモメへの強い信仰や考えは無さそうなので、言葉や文化を知らないと分からない部分なのだろうと思う。
でも、これもどの習慣が悪いということではなくて、それぞれの場所の歴史などが絡んでそうなっているので、本来であれば他国を訪れる際は、文化や風習の違いを理解した上で行くのが一番良いのだが、前世とは違って圧倒的に識字率が低い現状では、困難だと言っても良いと思う。
それでも、きっと船乗り達の長年の経験から、○○の国では××しちゃいけないとか、△△の港では□□すると現地の人間が怒鳴り込んでくるなど、口伝で伝わっているものもあるとは思うので、そういう情報は得難い物だから大事にしてほしいよね。
ここを、手助けできるように私たちのプロジェクトを考えたんだから、しっかりこの話も活かしていかないとね!
<へえ、そんな事があるんだね。知らないままでは、お互いに嫌な気分になるだけで終わってしまうことも、お互いを知る、もしくは知っている者が一緒に居ることで、回避できるトラブルがあるって改めてわかったよ!マリーナはやっぱり凄いね。僕も負けないようにたくさん勉強するね!(マリーナの友達として、何処に行くにもついて行けるように、頑張らないといけないからね。)>
ん?何だか最後の方に何か言っていたような気がするけど・・・。
カルロの方を見ると、<マリーナは本当に凄いね~>とニコニコしているので気のせいだろう。
<ありがとう!でも、このプロジェクトはカルロから、せんいんさんたちが、ことばがわからなくて、かいものできないって、おしえてもらったから、おもいついたんだもの、ほかのひとのおはなしを、ちゃんときくことのできる、カルロのおかげだわ♪>
【マリーナとカルロの会話の裏で】
「ちょっとエル従兄!カルロから何かヤバイ気配がするんだけど!?」
「あー・・・あれは結構拗らせそうだねぇ。真面目で一途な人間にありがちな、盲目的に一人に執着する感じ。カルロの場合、いまは『マリーナの友達』っていう立場に執着しているみたいだけど、これが恋愛的な意味での執着になったら、もうマリーナは逃げられないだろうね。」
「いやいや、5歳であれだけヤバイ気配漂わせてるんだし、しばらく引き離した方が良いんじゃ無いか!?」
「いや、あの様子だと無理に離されたと感じたら、色々な手を使ってマリーナの側に来ようとするだろうね。それなら、邪魔しないで自然な流れに任せた方が、マリーナもカルロも健全に過ごせるんじゃない?それに、カルロは5歳にしてかなりのポテンシャルを持ってるし、マリーナのために意地でも頑張るだろうから、将来は大物になると思うよ。それを考えたらマリーナの相手として有望じゃない。浮気の心配も無さそうだしね。」
「いや、まあ、エル従兄が言うならそうなんだろうけど、マリーナはまだ3歳なんだぜ?マリーナのそういう話はまだまだ聞きたく無かったよ・・・。でも、カルロが将来有望なのは間違いないだろうな。あの年でマリーナの話について来られる時点で優秀なのは間違い無いし、仕方ない・・・恋愛的な意味での執着に気付かせないように兄として頑張ろう!」
そう言って落ち込んだヴォルフを慰めていたが、そういうヴォルフも自分の恋愛感情に気付いていない一人なので、それが向けられているフランの兄としては、相手が恋愛感情にまだまだ気付かないで欲しいと思う気持ちも、分かりすぎるくらい分かってしまい、苦笑いが出てしまうのだった。
あら?ヴォルフ兄様が落ち込んでいて、エル従兄様が苦笑いしてる?
フラン従姉様関連のお話かな?あとでエル従兄様に聞いてみよ~っと♪
そんなそれぞれの思いが交錯しつつも、やっぱり言葉が通じないことでの弊害は意外と大きいと感じたので、大きなトラブルになっていない今、動き出すべきだと改めて感じたのでした。
そしたら、あとはここまでの話を持ち帰って、お父様達も交えてプロジェクトの方向性を決めないとね!
ちょうど、【下船許可組】のテーブルも終わったみたいで、パオロ様がお酒の差し入れを約束して、船員達が喜んでいる声が聞こえる。
こちらのメンバーにもちゃんと出るからね~ってカルロが伝えたので、留守番組の4名も凄く嬉しそうに仕事に戻っていった。
再び、エル従兄様の抱っこであちらのメンバーと合流して、ギル兄様に抱っこのまま渡され、そのまま足を付けること無く船から降りて、邸に帰る私なのでした・・・。
(ちょっと甲板とか歩いてみたかったなぁ。今度カルロにお願いしてみよ~っと、コッソリと野望を燃やしております☆)
すみません、少し遅れてしまいました!!
時間通りに来て下さったみなさま申し訳ありません><;
明日は予定通り20時の更新になります。
※カモメの話は完全に創作になります。ファンタジー上の設定とご理解くださいませ。
最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)




