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言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第一章 幼少期編 ー芽吹くことば ー

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26.お話を聞きます。【下船許可組 Side パオロ】

主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。

【下船許可組 Side パオロ】


 食堂内は入口から左右に部屋が展開していて、右側と左側にそれぞれ10名が座れる大きなテーブルがあり、さらに左奥には厨房と、厨房から料理を出すためのカウンターが見える。


 先ほど指定した左側のテーブルの近くに、6名が緊張した様子で直立不動のまま待っていた。


 そのままでは話を聴けないので、<座って。>と着席を促したのだが・・・。


 何やら揉めていて、なかなか席が決まらない。(一体何が問題なんだ!?)



<お前が一番経歴浅いんだから、あっちに座れ!>


<それで言うなら、あんたが一番経歴長いんだから、あっちでも大丈夫だろう!>



 うーん、どうやら・・・。


 ここにあるテーブルは、テーブルの両サイドに5名分の椅子がそれぞれ置かれているのだが、彼らは6名なので片側に5名座ると、残りの1名が僕たちと同じ側に座ることになるのが問題らしい[苦笑]。



 確かに、僕は雇い主の息子だし、他のメンバーも貴族の令息令嬢だと言ってあるので、一人だけこちら側に座ることに抵抗があるのは仕方ないよね~。


 ギルとフランは呆れた顔で状況を見ているが、何とかしろという目でこちらを見てくる。


 はいはい、何とかしますよ~。



<とりあえず、そちら側に椅子を追加して6名で座ってくれ。少し狭いかもしれないが我慢してくれ。>


 そう指示をすると、とても素早い動きで椅子を6個と4個に整えてしまった。


 あまりにも素早い動きに苦笑いが出てしまうが、僕たちが座らないと彼らも座れないので、ギルとフランを促して4個の椅子の方に座ることにした。


 僕たちが座ると、ようやく彼らも席について、話が聴ける体勢が整ったようだ。



<まず最初に、ここで話を聞いたことで君たちに何か悪いことがあったり、下船の許可が取り消されることは無いと約束しよう。なので、聞いた事には正確に答えて欲しい。>


 下船許可が取り消されることはないと聞いて、全員がホッとした表情をしたので、やはりそこを気にしていたか~・・・。


 ギルとフランも頷いて同意を示してくれたので、まだ緊張感はあるものの、最初のガチガチだった状態よりは話が聴きやすくなった。



<君たちは休息時間には下船して他国の港に降りる事があるだろうが、そこで困った出来事やどうやって解決したのかを教えて欲しい。>


 そういうと、船員達が互いに目を合わせて、どういうことなのか、やっぱり怒られるのでは?と小声で話し始めた。



<なにも難しく考える必要はない。今後、言葉が通じないことで起こるトラブルを解消したり、事前に回避したり出来るようにしたいという考えで動いているので、実際に困ったことがある者達の話が聞きたいだけで、それについて叱責したり、罰を与えることが目的ではない。安心して話して欲しい。>


<そうね。それに、むしろ困っている事がたくさん聞けるほど、今後同じような事で困る心配を減らせるわね。>


 フランが補足で、今後の安心材料にもなると言うと、船員達も落ち着きを取り戻したようだ。



<さて、ではそれぞれが一番最近あった他国で下船した際に困ったことを教えてくれ。>


 一人が話し始めると、<あ~それあったわ>と共感の声が続き、<あと、先輩に聞いたんだけどよ・・・>など芋づる式に出てきた。



■店で注文する時に外国人だと分かると、店員や客にコソコソと悪口を言われている気がする。

■食事や買い物の適正価格が分からないので、高く感じても他国だからかな・・・と思っている。

■言葉が分からないと入店自体を断られることがある。

■他国の者だと分かる服装や見た目をしていると、スリや強盗に遭いやすい(警備隊に訴えられにくい)



 まとめるとこんな感じだが、同じような話が数人から出るので、どれもあるあるな話って事だろうね。


 ギルとフランも初めて聴く内容なのか、興味深そうな表情で聞いている。



 言葉が分からないことで、周りでコソコソ話されると、悪口を言われているのでは無いかという不安があったり、ほとんどジェスチャーで遣り取りするので、食い違っていても訂正出来ないし、自分が払っている金額が正しいのかも分からない・・・けど払うしか無いんだね。


 これは、なかなか深刻な問題かもしれないなあ。



「ギル、これは結構マズイ状況だよね。外国人なら分からないだろうと、ボッタクリが行われてたり、スリや強盗の標的になるなんて、あってはならない事だ。恐らく、僕たちが知らなかっただけで、これまでにも慣習的に行われてきた事で、他の国の港も似たようなものだろうね。」


 あまりネガティブな発言を船員達に聞かせたくないので、メーア王国語に切り替えてそういうと、ギルも大きなため息をつきながら、



「そうだな。アンカーでそんな事が起こっていたなんて、知らなかったでは済ませられないな。もしかしたら、店とスリや強盗が結託している場合もあるかもしれない。店で言葉が通じないことを確認して、外でスリや強盗に及ぶ。これは、町の人間の他国の人間に対する対応についても調査しなくてはならないな。警備隊からもそんな報告がないということは黙認しているのか、言葉が分からないことで訴え自体がないか・・・いずれにしても、当主達の意見と判断が必要になるだろう。」


「その点は、アイヒベルク領でも調査が必要になりそうね。まさかとは思いたいけど、同じような状況はあると考えて間違いないわね。」


「じゃあ、この件はまとめて一旦持ち帰りってことでいいかな。」


「「ああ(ええ)」」



 一通り話し終えて、不安そうにこちらを見ていた船員達に、


<色々と話してくれて感謝する。この話を活かして、今後似たようなトラブルに対処出来るように考えるから、少し時間が掛かるかもしれないが、期待して待っていてくれ。もし、今日話したトラブル以外にも何かあれば教えてほしい。では、時間をとって貰った礼に、後で酒を届けよう。では、それぞれ持ち場に戻ってくれ。>


 酒が飲めると聞いて、船員達が歓声をあげながら、それぞれの持ち場に戻って行った。


 怒られるのかもしれないと緊張していた反動もあったのだろうね~。



 さて、思ったより深刻な問題が浮き彫りになってしまったけど、まだ大きな問題になっていない今の段階で知る事が出来て良かったよ。


 このまま放置してしまったら、そのうち取り返しのつかないトラブルに発展していた可能性があるからね。


 ギルとフランもその可能性を考えて深刻な表情をしているが、このメンバーで考えればきっと素晴らしい解決策が取れると、何となく思えてしまうのが面白いよね~。


 あとは、留守番組の方の聴取だけど、どうなってるかな?


 エル兄がいるから問題無いと思うけど、カルロは上手くやれてるかな~。

 

少し短いですが、区切りが良いのでここまでにします。

次は【留守番組】のお話になります!


最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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