表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言の葉の家へようこそ ~異世界の言葉がわかる転生令嬢、各国を巡る~  作者: 菖蒲月
第一章 幼少期編 ー芽吹くことば ー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/57

26.パオロ様はやれば出来る子です!

主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。


主人公が幼いことを表現するために、主人公の発言を全て「ひらがな」で表記しています。長い台詞などは読みづらいことを考慮し、本来は区切らない部分にも句読点をいれて細かく文章を区切っています。主人公が成長するまで、どうかお付き合い下さいませ。

 はい、フラン従姉様にチクチク言われて、少し悄れ気味のパオロ様の先導で、フェレーリ侯爵家の商船の甲板にやってきました。


 そんなパオロ様をカルロが一生懸命慰めているのが、何とも言えない気持ちにさせるよね。

まあ、それがフェレーリ侯爵家の兄弟なんだし、バランスは取れてるみたいだから問題ないでしょう!




<父から説明があったと思うが、我が家を含めて貴族家3家が共同で事業の立ち上げをすることになる。その各家の責任者と補佐として、我々がメインで動くことになったため、現場の話を聞きたいと思って今日は来ている。>


 お~、パオロ様が貴族家の嫡男っぽい!!(嫡男で間違いないんだけどね。普段が緩いのでいまいち信用がないのよね[笑])

フラン従姉様からもボソッと<出来るなら普段からちゃんとしなさいよ。>の一言が聞こえたので、みんなの気持ちは一緒だったのだろう。


 パオロ様から各家の責任者と、その補佐として紹介され、それぞれが船長と一言挨拶したところで、


<さてと~、それじゃあ下級船員への聴き取りをするのに、船内の食堂に下級船員を集めて貰ってるから、そちらに移動しようか~。>


 あ~あ、もういつもの感じに戻っちゃった。フラン従姉様が怒るかもな~と、みんながチラッとフラン従姉様の方を見ると、あっという間に戻ってしまったパオロ様の様子に、特に怒った様子も無かったので、みんなあれ?と思いつつも、切り替えて食堂へ移動する事になった。


 あんなに怒ってたのにと気になって、移動しながらこっそりフラン従姉様に聞いてみたら、『まぁ、普段はチャラチャラしていても、相手によって貴族令息としての顔が使い分け出来ているって分かったし、カルロに無理をさせている様子が無ければ、ある程度は良いんじゃない?あれもあの人なりの処世術の一つなのでしょうし、言いたいことは言ったから後は知らないわ。本人達でどうにかするわよ、フンッ。』ですって。


 流石、フラン従姉様だわ。一見突き放しているようでも、ちゃんと安心材料を見つけて、本人達に任せても大丈夫だと見極めたからこその言葉なので、フラン従姉様なりにパオロ様を認めたという事なのだと思う。

フラン従姉様らしい認め方だな~。これまでの辛い経験からか、元々持っていた性質かは分からないけど、フラン従姉様は人の機微にとても敏感なのだ。

だから人一倍、家族や他の人から向けられる負の感情で心を痛めて、棘で身を守るしかなかったんだろうけどね。


 パオロ様の事もカルロの事も分かった上で、自分のように兄弟での仲違いや溝にならないようにしたかったのだと思う。

本当に優しいんだから・・・これはヴォルフ兄様に頑張って貰って、嫁に来て貰うしか無いよね。


 相変わらずギル兄様に抱っこされての移動だったので、いまの話は当然ギル兄様にも筒抜けで、私が何を考えているのかも何となく分かっている様子だったので、兄様の耳元で「フランねえさまが、ヴォルフにいさまのおよめさんに、なったらうれしいな。ギルにいさまもてつだってね♪」と秘密の協力を要請しておく。


 ギル兄様は内緒話でのお願いが嬉しかったのか「任せておくれ。お姫様♪」と、蕩けそうな笑顔と声で囁き返してくれました・・・うん、妹にそのフェロモン攻撃はやめて!耳が・・・耳がぁぁぁぁ!!!

謎にダメージを受けつつも、無事に?食堂に辿り着きました。



◇◇◇



 食堂は、船の中なのでそこまで広いわけでは無いけど、それでも20人くらいは一度に食事が出来そうなスペースがある。


 そこに、10名ほどの簡素な服装の男性達が緊張した様子で立っている。


<業務中や休息中にすまない。船長には許可を貰っているので安心してほしい。みんな知っていると思うが、直接顔を合わせる機会はほとんど無いので、改めて名乗らせてもらう。フェレーリ侯爵家嫡男のパオロだ。他のメンバーは、我が家と一緒に事業を始める予定のバイエルン伯爵家とアイヒベルク侯爵家の代表者達だ。>


 船長の時とは違って、一人ずつ個別に紹介することはなく、貴族家の令息令嬢であることと、家の代表として来ている事だけを伝えている。


 確かに、カルロから聞いた下級船員の実情を考えると、あまり多くの情報は萎縮させるだけだと判断したのだと思う。こういう判断がすぐに出来るバランス感覚は、パオロ様らしいよね。


<君たちには聞きたいことがある。君たちの中で下船の許可が下りている者は何人いる?>


 下船の許可?と不思議に思っていると、パオロ様のその言葉に6名が手を上げた。


<では、手を上げた6名はこちらに、残りの4名はそちらに移動してくれ。>


 それぞれが指示通りに移動を始めたところで、


<さて、ギルとヴォルフはもちろんだけど、エル兄とフランも分かってるみたいだね。さっき言っていた下船の許可というのは、身元を船が保証して、他国の港で下船することを許可されている事を言うんだ。他国で問題を起こされてしまうと、国際問題になるし、船の信用にも関わるから、身元を保証する方も慎重になるんだよ。だから、貴族の子弟や縁戚などがなる上級船員は全員許可が出るが、ほぼ平民で構成される下級船員については、ある程度の期間を問題無く勤めた者や、雇う段階でしっかりした保証人がいる場合に限られるんだ。>


と、分かっていない様子の私に向けて、下船の許可について説明してくれた。


 なるほど、確かに誰でも下船出来たら、港の治安が悪くなっちゃうだろうしね。

船が身元を保証して下船させるなら、問題が起こったときにその船や、船が帰属する国にまで問題が波及してしまう可能性を考えて、慎重に許可を出すはずだものね。


 パオロ様の話に納得していると、ギル兄様とエル従兄様がさらに補足してくれた。


うち(バイエルン家)の船も同じだね。それに加えて、うちの場合は上級船員・下級船員に関わらず、船の上で問題を起こした者は、下船許可を取り消したりもする。限られた空間である船上でお互いを尊重できない者は、外でも問題を起こす可能性が高いと見られるからね。そのくらい、選ぶ側も慎重になる部分なんだよ。さっきまで居た管理事務所が、船から下船許可が下りた者が下船する際のチェックと、承認の手続きも行っているよ。>


 ほほ~、うち(バイエルン家)の船はお祖父様やお父様が乗ることが多いから、その辺り厳しくしてるのかな。

長い船上生活でイライラしちゃうのかもしれないけど、それを誰かにぶつけることで解消する人は、きっとどこでも問題起こすと思われちゃうよね。


 そして、やっぱりさっきの管理事務所では、税関だけじゃなくて入国審査っぽいこともやってるんだね。

たまに、人から奪った許可証で下船しようとする『なりすまし』が出たりするのを取り締まるみたい。

前世ではTVで『空港税関密着特集』とか見るのが大好きだった私としては、管理事務所のお仕事には興味しか無いので、是非ともお仕事見学を希望します!!!


<そうだね。うち(アイヒベルク家)は船とは少し事情が違うけど、陸路で自国・他国の商団が行き交う国境の要所だし、うちの領からは王都に向かうルートになるから、人と物の出入りには特に気を遣ってるよ。ただ、船の様に許可が無ければ下船出来ないというのは、馬車や徒歩での移動に適用出来ないから、その分、例え荷下ろしのための下働きでも、商団主の保証の元で行動するように、雇用者のリストと誓約書を出して貰って管理しているよ。>


 そっか!陸路だと馬車から降りちゃダメは難しいよね[笑]

そもそも、馬車に乗ってない人も居るんだし、それに対応出来る内容じゃ無いとね。


 それにしても、国を跨ぐ取引においては、船でも陸でもお互いに気をつけあって、なるべくトラブル無く終えるために試行錯誤してるんだね。


<にいさまたち、おしえてくれてありがとう。みんなケンカにならないように、ちゃんとかんがえられていてすごいのね。わたしもことばのちがいで、ケンカがおきないように、プロジェクトがんばるわ!>


 決意も新たにフンスッと気合いを入れている様子を、年長組のみんなが微笑ましく見守っていたが、下船許可組と留守番組の船員達が、ちゃんと別れているのを確認したパオロ様が、


<さて、じゃあなんで下船許可組と留守番組に分けたかと言うと、下級船員が多国語を学んでいないという点は同じだけど、下船出来る者と留守番している者では、困っていることが違うんじゃないかと思ったんだ~。だから、とりあえず二つのグループに別けてみたんだけど、下船許可組の方は僕・ギル・フラン、留守番組はエル兄・ヴォルフ・マリーナ・カルロで聴取をお願いしようかな~。いいかい?>


 なるほどね~。確かに、言葉が分からない人という括りでは一緒でも、船から降りるか降りないかで、接する人も違うし、起こるトラブルも困り事も違って当たり前だよね~。

そういう所に気がつけるんだから、パオロ様ってばやれば出来る子!

ポテンシャルはあるんだから、やれば出来るのよ・・・うん、やれば・・・ね。


 私がパオロ様に対して少し失礼な事を考えている間に、みんなから肯定の返事が返ったことを確認したパオロ様の<では、始めようか!>の言葉で、それぞれが担当のグループの方へ移動した。


 私もギル兄様から、エル従兄様に抱っこのまま渡されて、そのまま移動です。

船に着いてから床に一度も足がついてないのよ・・・みんな過保護過ぎる⤵

 

 まあ、そこは幼女の内は仕方ないと割り切るとして、どんな話が聴けるのか楽しみだな~♪


とうとうストックが無くなってしまいました。なるべく毎日更新を続けたいと思いますが、20時の更新に間に合わずに、いつもとは違う時間での投稿になってしまったりするかもしれません。

3月中の1章完結を目標にしておりましたが、思っていたよりキャラクターが自由に動き出しており、当初の予定を超過しそうな勢いです。

それでも、完結までしっかり走りきりたいと思いますので、読みに来て頂けると嬉しいです♪

ブクマとポイントも凄く励みになっております。(初めてのブクマとポイントに狂喜乱舞しました☆)


最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ