第53話 ■■■
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──以下に、人工精霊創造および変異体X撲滅までの経過を記載する。
星暦1432年4月3日。エルフェドール公爵家令嬢レイシア・エルフェドールが、セルベルク王国第二王子アイザック・フォン・セルベルクへ、寄生魔法生物『変異体X』の存在および変異体Xが引き起こす深刻な精神疾患について提言。尚、レイシアの肉体には異世界人マユズミ・ミコトの魂が定着しており、彼女らが幾度も時間を遡ることにより蓄積した変異体Xの膨大な研究資料がアイザック第二王子へと提示された。
星暦1432年4月11日。王立魔法士養成学園地下研究所所長マルファン・モドラートが、国王直命の下変異体Xに関する研究および実験に携わっていたことを認める。また、レイシア・ミコトらが提示した資料の正当性を確認。
同日、変異体Xの発生元凶であるダルトン国王の身柄を拘束。捕縛に際し、国王は激しく抵抗を示したものの、レイシア・ミコトらが魔力欠乏症の治療法を保持している旨を知ると、即座に抵抗を破棄し、投降・拘禁に応じた。
国王の捕縛に伴い、国家の最高指揮権をアイザック第二王子へ全面譲渡。これ以降、人工精霊創造および変異体X撲滅に向けて、国全土の機関・資材の動員体制が確立される。
星暦1432年4月18日。国内に存在する特殊体質保有者『媒介体』を保護、および隔離措置を実施。これにより、該当者が変異体Xおよび被寄生者と接触することにより生じる早期暴走を阻止する。また、レイシア・ミコトらの指揮の下、変異体X対策研究班が発足。人工精霊の創造に向けた開発に着手する。尚、レイシア・ミコトらも前述した媒介体であるため、変異体X対策研究班は非魔力保有者を中心として構成された。
星暦1432年5月9日。ヴァージル侯爵らを国家転覆未遂罪で逮捕。
星暦1432年10月13日。レイシア・ミコトらの設計および指示の下、人工精霊創造に必要な特殊精密魔導器具の製造を完了。
星暦1434年6月22日。レイシア・ミコトらの提示した解析資料を基に、既存の微精霊の構成物質の編集に成功。人体に無害な人工精霊を創造。
星暦1434年9月1日。アイザック第二王子により、国民に向けて変異体Xの存在および寄生実態が公表される。
これにより、セルベルク王国内で一部勢力による暴動が発生したものの、ライアン・マクロガッド率いる特命部隊によりこれを鎮圧。更にアイザック第二王子らにより、国民に対する直接演説が挙行される。これにより民衆の説得・鎮静に成功。
星暦1434年11月。貴族を中心とする魔力保有者への人工精霊接種の実施を開始。その際、人工精霊投与時に発生する変異体Xの暴走を防ぐため、特殊な植物由来の麻酔薬により魔法神経の伝達を一時的に鈍らせた状態で人工精霊を投与する。
星暦1435年12月28日。全魔力保有者への人工精霊投与が完了。
星暦1436年4月。
レイシア・ミコトらが提示していた、変異体Xの再変異期を迎える。
発狂者、未確認。
星暦1437年。
変異体Xの完全消滅を確認。アイザック第二王子により、終息宣言が行われる。
本作戦の立案および完遂に寄与したレイシア・ミコトらの時間遡行は、自らの死を起因として発現する現象であり、本史に至るまでに実行された遡行回数は■■■回に及んでいる。
尚、一連の現象を引き起こしていた魔法は、現在セオドア・イリアスにより解除されている。
人工精霊の創造をはじめとする先進的な技術は、本来であれば本世界の文明が数千年の時を費やしてようやく到達しうる領域のものであったが、レイシア・ミコトらの助力により、規格外の速度をもって技術革新が果たされた。
この人類史の理に逆らう技術的跳躍が、今後の世界にどのような影響を及ぼすかは不明である。
しかしその懸念を加味したとしても尚、滅びの運命から多くの者を救った彼女らの功績は、永遠に称えられるべきものに違いない。
こうして長き旅の果てに、遂に偉業を成し遂げた彼女たちの名は、『聖女』として歴史に刻み込まれることとなる。




