第百話 太陽の国 白い街
いつも『銀狼物語』をお読みいただき、ありがとうございます。
気づけば、第百話を越えていました。
森で出会った二人が、ずいぶん遠くまで来たものです。
第一部完結まで、あと少し。
どうか最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
結婚式を終えてから、離宮には、これまでとは違うやわらかな空気が流れるようになっていました。
朝、リリアが目を覚ますと、隣には、まだ眠っているラシードの寝顔がありました。
窓から差し込む朝の光が、彼の金の髪をやわらかく照らしています。
「……ラシード」
小さく名を呼ぶと、ラシードはゆっくりと瞼を開けました。
「おはよう」
寝起きの掠れた声でした。
それでも、リリアを見た瞬間、ラシードの目元にはすぐにやわらかな笑みが浮かびます。
「おはようございます」
リリアも、微笑み返しました。
こうして誰かと朝を迎えることが、まだ少し不思議でした。
けれど、その不思議さは、胸の奥をあたたかく満たしていきます。
ラシードは、リリアの髪を撫でました。
「よく眠れたか」
「はい、とても」
「それは、よかった」
そう言って、ラシードはリリアの額に、軽く口づけを落としました。
そのときでした。
扉が叩かれるより早く、勢いよく開きました。
「リリア」
銀の髪を揺らしながら、蒼月が部屋へ入ってきます。
「きゃ……っ」
リリアが小さく声を上げるより早く、ラシードが掛布を引き上げました。
「蒼月」
低い声が、部屋に落ちます。
蒼月は足を止めました。
「なんだ」
「ノックぐらいしろ」
「急ぎだ」
「急ぎでも少しは配慮しろ」
ラシードがため息をつくと、蒼月は少しだけ首を傾げました。
「人は面倒だな」
「おまえが面倒を省きすぎなんだよ」
リリアは掛布の端を握ったまま、頬を赤くしていました。
けれど、蒼月の顔を見て、少しだけ目を瞬かせます。
昨夜の涙の跡は、もうありませんでした。
けれど、蒼い瞳の奥には、泣き尽くしたあとの澄んだ色が残っていました。
何かを失った痛みを抱えながら、それでも何かを決めた者の強さがありました。
「リリア」
蒼月は、まっすぐリリアを見ました。
「海へ行こう」
「……海、ですか?」
リリアは、思わず聞き返しました。
「リリア、海が見たいと言っていただろう」
その言葉に、リリアの胸が小さく跳ねました。
いつか見てみたい。
そう言ったことを、蒼月は覚えていてくれたのでしょう。
けれど、ラシードはすぐに眉を寄せました。
「遠すぎる。リリアに負担がかかるだろ」
「何のための転送機だ」
「場所も分からない。起動してるかどうかも分からないだろ」
蒼月は、目を細めました。
「私を侮るな」
ラシードは、嫌な予感がしたように目を眇めました。
「……何をする気だ」
「転送機を起こす」
「簡単に言うな」
「簡単だ。私にとってはな」
蒼月はそう言うと、当然のように踵を返しました。
「とりあえず準備しておけ。人はいろいろ面倒だからな」
「おまえみたいにはいかないんだよ」
ラシードはそう言いながらも、リリアへ視線を戻しました。
「リリア、体はつらくないか」
「はい。大丈夫です」
「無理はするなよ」
「はい」
リリアが頷くと、蒼月は扉の向こうから声を投げました。
「早くしろ」
「だから、おまえは急ぎすぎなんだよ」
ラシードの声に、リリアは思わず小さく笑いました。
しばらくして、蒼月、ラシード、リリア、セシリア、ルークは、王宮地下の転送の間に立っていました。
見送りには、ナーディル、エレナ、ミラの姿もありました。
古い石造りの部屋に、壁に灯された魔法灯が、淡く床の魔法陣を照らしていました。
中央には、転送機が据えられています。
その奥深くに嵌め込まれた魔石は、長い眠りについているように、鈍い光を宿していました。
蒼月は、転送機の前へ進み、魔石へ手をかざしました。
魔石が淡く輝き、その表面に、古代文字が一つ、また一つと浮かび上がっていきます。
蒼月はゆっくりと目を伏せました。
空気が変わりました。
地下の石壁が、低く震えます。
床の魔法陣に光が走りました。
蒼月の声が、響きます。
「大地の理よ。我が前に眠る道を拓け。根源より力を送り、今、この場を満たせ」
古代文字が、蒼月の手の下でゆっくりと回り始めました。
一瞬、転送機全体がまばゆく輝きました。
セシリアが思わずリリアの前へ半歩出ます。
ルークは息を呑み、ナーディルは目を細めてその光を見つめました。
やがて光が落ち着いた時、転送機の魔法陣には、先ほどまでとは違う澄んだ輝きが宿っていました。
蒼月は手を下ろしました。
「これで、すべての転送機が使える」
ラシードは、しばらく黙って蒼月を見ていました。
「……すべて?」
「そうだ」
「今、各地の転送機をまとめて起こしたのか」
「もともと、そういうふうにできていたのだ」
蒼月は当然のように言いました。
「いちいち一つずつ魔力を込めてなどいられぬからな」
ルークが小さく息を吐きました。
「規模がおかしいです……」
「古い時代には、それが当たり前だった。今の世界の魔法技術ではない」
蒼月は、淡く光る転送機を見下ろしました。
それから、リリアへ視線を向けます。
「だが、今日はリリアへの特別な祝いだ」
リリアは目を瞬かせました。
「私への……?」
「そうだ」
ラシードが横から小さく笑いました。
「特別が多いな」
蒼月は、当然だと言わんばかりに胸を張りました。
「当たり前だ」
その言い方があまりに真っ直ぐで、リリアは思わず笑みをこぼしました。
蒼月は満足そうに頷き、それから急に真顔になりました。
「リリア。水に入る支度はしたか」
「えっ」
リリアは目を丸くしました。
「水に入るのですか?」
セシリアの表情も、すぐに変わりました。
「ですが、まだ春でございます。お体が冷えてしまいます」
「行くのは太陽の国だ」
蒼月は平然と言いました。
「……太陽の国?」
ラシードの目が据わりました。
「おまえ、それを早く言えよ。服も支度も全然違うだろ」
セシリアがはっと息を呑みました。
「リリア様のお召し物を替えなくてはなりません。日差し除けも必要です。薄手の外套と、履き物も……」
ルークも慌てて頷きました。
「飲み水と薬も用意します。念のため、疲労回復の薬湯も」
ナーディルは、そば仕えに指示を出しました。
「ラシード様の、服や荷物を変更するように」
控えていた者たちが、一斉に動き出しました。
その慌ただしさが少し落ち着き、いよいよ転送機へ足を踏み入れようとした、その時でした。
「お待ちなさい」
廊下の奥から、聞き慣れた声が響きました。
振り返ると、アステルが側仕えに荷を持たせたまま、こちらへ早足で近づいてきます。
普段は決して急がないその人が、衣の裾を乱して近づいてくるだけで、ルークは嫌な予感がしました。
「アステル様……?」
アステルは、息を整える間も惜しむように、リリアを一目見ました。
それから、当然のようにルークへ視線を移します。
「ルーク、代わりなさい」
「ええ……っ」
ルークの声が、転送の間に情けなく響きました。
「リリア殿が海へ行くのでしょう。水辺、日差し、気温差、転送後の負担。どれを取っても、私が同行する方が確実です」
「ですが、私も準備を……」
「あなたは王宮に残り、必要なものを追加で整えておきなさい」
ルークは口を開きかけました。
けれど、アステルの顔を見て、すぐに閉じます。
「……はい」
ラシードが、横で小さく笑いました。
「残念だったな、ルーク」
「ラシード様、笑わないでください……」
アステルはそのやり取りを聞き流し、側仕えから荷を受け取りました。
「薬、日差し除け、体を冷やした時の処置道具、疲労回復の薬湯。最低限は持ってきました」
蒼月は、少しだけ目を細めました。
「用意がいいな」
「あなたが急すぎるのです」
アステルは言い返しました。
蒼月は、少し考えました。
「そうか」
「そうです」
その短いやり取りに、リリアは思わず笑みをこぼしました。
ラシードは、蒼月をじろりと見ました。
「こういうところだぞ」
「何がだ」
「人は準備がいるって、さっき自分で言っただろ」
蒼月は少し考えました。
それから、まったく悪びれずに言いました。
「だから、今している」
ラシードは額に手を当てました。
リリアはそのやり取りを見て、とうとう小さく笑ってしまいました。
二人で迎えた朝のやわらかな空気は、いつの間にか、慌ただしく明るいものへ変わっていました。
海へ行く。
その言葉だけで、胸の奥がふわりと弾みます。
まだ見たことのない青い水面。
遠くまで続く空。
潮の香り。
リリアは、転送機の淡い光を見つめながら、胸に手を当てました。
新しい一日が、そこから始まろうとしていました。
蒼月、ラシード、リリア、セシリア、アステルは、互いの腕や肩へ触れながら転送機の中央に集まりました。
魔石が光を帯び、五人の姿が転送の間から消えました。
次の瞬間、肌を包んだのは、むっとするような熱気でした。
リリアは、思わず息を呑みました。
王都の春とは、まるで違う空気でした。
陽射しの匂いを含んだ、乾いた熱が、薄衣の袖を撫でていきます。
目の前にあったのは、小さな祠のような神殿でした。
古い石で造られたその場所は、長い時を越えて、ひっそりと海辺の光を受けていました。
「着いたぞ」
蒼月が短く言いました。
リリアは、まだ少しぼんやりとしたまま、辺りを見回しました。
「ここが……」
祠の周囲には、人の手があまり入っていない森が広がっていました。
王都の森とは違い、葉は大きく厚く、陽の光を受けて濃い緑に艶めいています。
絡み合う蔓の間には、鮮やかな赤や黄色の花が咲き、甘い香りと、熱を含んだ土の匂いが風に混じっていました。
「すごい……」
リリアは、思わず小さく笑いました。
アステルは、少し下った先に広がる海辺の街へ視線を向けました。
「まずは、滞在先を探しましょう」
そう言うと、持ってきた荷をその場に置き、白い石畳の道へ向かって歩きだしました。
その背中は、眩しい陽射しの中へ溶けるように、ゆるやかな坂道を下っていきます。
リリアは、アステルを見送ったあと、あらためて目の前の景色を見つめました。
海辺の街は、白い光に包まれていました。
石灰を塗ったような白い壁の家々が、丘の斜面に寄り添うように建ち並んでいます。
屋根には青い瓦が連なり、窓辺には薄い布が風を受けて揺れていました。
細い石畳の道は、ゆるやかな坂になって海の方へ続いています。
壁沿いには赤紫や橙色の花がこぼれるように咲き、強い陽射しの中で、鮮やかな色を放っていました。
どこか遠くから、鐘の音に似た澄んだ響きが聞こえます。
王都の整った街並みとは違いました。
ここはもっと明るく、もっと近くに空と海がありました。
白い壁に跳ね返る光も、潮を含んだ風も、人々の声も、すべてがまぶしくて、リリアはしばらく言葉を忘れました。
「綺麗……」
小さくこぼれた声に、ラシードが隣で目を細めました。
「ああ。思ったより、いい街だな」
蒼月は、当然だと言うように頷きました。
「海があるからな」
「理由が雑なんだよ」
ラシードが呆れたように言うと、蒼月は不思議そうに首を傾げました。
「綺麗だろう」
「そこは否定してない」
そのやり取りに、リリアはまた少し笑いました。
セシリアは、リリアの肩に掛けた日差し除けの薄布を整えながら、街の入口の方へ視線を向けました。
「では、私たちはこちらで待ちましょう」
「待つなら、少し市場を見てみるか」
ラシードが言いました。
白い街の入口には、色とりどりの布の庇が並んでいました。
青、白、淡い黄、深い赤。
強い陽射しを避けるように張られた布が、海風を受けてゆるやかに揺れています。
その下には、たくさんの店が並んでいました。
人々の声が明るく行き交い、魚を売る声、果物をすすめる声、笑い声が、潮の匂いと一緒に風に乗って届いてきます。
「市場……」
リリアの瞳が、少しだけ輝きました。
「珍しいものが、たくさんありそうです」
「見てみるか」
「はい」
リリアが頷くと、ラシードは自然にその手を取りました。
石畳は陽射しを受けて白く光り、歩くたびに、薄い靴底越しにもほのかな熱が伝わってきます。
市場へ近づくほど、海の匂いはいっそう濃くなりました。
店先には、銀色に光る魚が木箱いっぱいに並べられています。
見たことのない形の貝が籠に積まれ、その殻は桃色や乳白色、淡い青を帯びていました。
果物の店には、赤や黄色の実が山のように盛られていました。
丸いもの。
細長いもの。
表面に小さな棘のあるもの。
熟した甘い香りが、熱を含んだ風に溶けています。
リリアは、目に映るものすべてが珍しくて、何度も足を止めました。
「すごい……」
声にすると、胸の中の驚きまで一緒にこぼれてしまいそうでした。
セシリアが、やわらかく微笑みました。
「王都の市場とは、ずいぶん違いますね」
「はい。本当に」
さらに少し進むと、貝殻や珊瑚を使った飾りを並べた店がありました。
白い布の上には、磨かれた貝殻の髪飾りや、小さな巻き貝をつないだ腕輪、珊瑚を細かく削って作られた耳飾りが並んでいます。
どれも、海の光を閉じ込めたように淡く輝いていました。
陽射しが差すたび、貝の内側が真珠のように色を変え、珊瑚の赤がやわらかく浮かび上がります。
リリアは、その前で足を止めました。
「きれい……」
その中に、小さな星の形をした貝殻をあしらった、金色の腕輪がありました。
細い金の輪に、淡い白の貝殻が一つ、揺れています。
陽の光を受けるたび、星の形をした貝殻は、真珠のような淡い光を返しました。
リリアは、しばらくその腕輪を見つめていました。
「これを、三ついただけますか」
ラシードが、少し意外そうにリリアを見ました。
「三つ?」
「はい」
リリアは、少しだけ頬を染めました。
店の者が笑顔で頷き、同じ腕輪を三つ、丁寧に包んでくれました。
リリアはそれを受け取ると、まず一つをラシードへ差し出しました。
「ラシードに」
「俺に?」
「はい。今日の記念に」
ラシードは、差し出された腕輪を見つめました。
細い金色の輪に、小さな星の貝殻が揺れています。
それから、ふっとやわらかく笑いました。
「ありがとう、リリア」
そう言って、ラシードは腕輪を受け取りました。
次に、リリアはもう一つを蒼月へ差し出しました。
「蒼月にも」
蒼月は、黙ってその腕輪を見つめました。
「私にか」
「はい」
リリアは、まっすぐ蒼月を見上げました。
「海に連れてきてくれた、お礼です」
蒼月の蒼い瞳が、かすかに揺れました。
小さな星の貝殻が、リリアの手のひらの上で淡く光っています。
蒼月は、ゆっくりと手を伸ばしました。
「……そうか」
短くそう言って、腕輪を受け取ります。
ラシードは、その様子を横目で見て、小さく笑いました。
「よかったな、蒼月」
「うるさい」
そう返しながらも、蒼月は手の中の腕輪から目を離しませんでした。
最後の一つを、リリアは自分の手元に残しました。
三つ同じ、小さな星の貝殻の腕輪。
リリアはそれを見つめて、微笑みました。
「おそろいです」
その言葉に、ラシードは少し照れたように目を逸らしました。
蒼月は、何を言えばいいのか分からないように、しばらく黙っていました。
潮風が吹き、三つの小さな星が、陽の光の中でかすかに揺れました。
市場の向こうでは、白い壁の間から青い海が見えていました。
布の庇が風に揺れ、果物の甘い香りと、魚の匂いと、潮の匂いが混じり合っています。
まぶしい街でした。
光も、色も、声も、香りも、すべてがリリアの知らないもので満ちていました。
リリアは胸の前で手を重ね、もう一度、遠くに広がる海を見ました。
透き通った青い水面が、太陽の光を受けて、細かな宝石を散らしたように輝いていました。
しばらくすると、アステルが市場の方へ戻ってきました。
「海辺の別荘を借りることができました」
その言葉に、リリアは目を瞬かせました。
「別荘、ですか?」
「ええ。しばらく滞在するには、その方が落ち着けるでしょう。食事や身の回りの支度も必要ですから、現地の者にも来てもらうことにしました」
アステルは、そう言って頷きました。
「では、行くか」
ラシードが荷に目を向けると、蒼月も当然のように頷きました。
「運べばよいのだろう」
「分かってるなら頼む」
ラシードと蒼月は、転送機のあった祠と別荘を何度か往復し、必要な荷を運び込みました。
アステルが借りた別荘には、すでに現地の侍女たちが入り、食事や生活の準備を整えはじめています。
セシリアはリリアの荷をほどき、薄手の衣や日差し除けの布、薬や水を一つずつ確認していました。
「リリア様、こちらでしばらくお休みいただけます」
案内された別荘は、白い石で造られた美しい建物でした。
目の前には、白い砂浜が広がっています。
その先には、透き通った海が、太陽の光を受けて揺れていました。
部屋と外を隔てるものは、重い扉ではありませんでした。
暑い国ならではなのでしょう。
外との境には薄い布が掛けられ、海から吹く風を受けて、何枚もの布がゆるやかに揺れています。
白い布は光を含み、風にふくらんでは、重なり合うように垂れていきました。
その向こうに、青い海が見えました。
風が通るたび、潮の匂いと、あたたかな空気が部屋の中へ流れ込んできました。
砂浜の端には、夜に焚き火ができるよう、石で囲まれた場所もありました。
昼の陽射しの中ではまだ静かでしたが、そこに夜の火が灯る様子を思うだけで、リリアの胸は少しだけ弾みました。
「綺麗……」
リリアは、思わず呟きました。
靴を脱ぎ、裸足で外へ出ます。
白い砂は、思っていたよりも細かく、やわらかく、足の裏にさらさらと触れました。
「リリア、熱くないか」
ラシードがすぐに声をかけました。
「大丈夫です」
リリアは振り返り、嬉しそうに微笑みました。
「とても、気持ちいいです」
その笑顔を見て、ラシードの表情が少しだけやわらぎました。
蒼月は、少し離れたところで海を見ていました。
強い陽射しの下、銀の髪が白く光っています。
その手首には、先ほどリリアが渡した小さな星の貝殻の腕輪が揺れていました。
リリアの手首にも、ラシードの手首にも、同じ星が揺れていました。
潮風が吹き、三つの小さな星が、それぞれの手首で陽の光を返しました。
リリアは、裸足のまま白い砂浜に立ち、目の前いっぱいに広がる海を見つめました。
初めて見る海。
初めて訪れる、太陽の国。
そして、隣にはラシードがいて、少し先には蒼月がいる。
眩しいほどの光の中で、リリアは胸の奥があたたかく満たされていくのを感じていました。




