タイトル未定
最近、ようやく静かになった。
あれだけ毎日、騒がしい問いを自分に繰り返していたはずなのに。
今は音もなく、彼女と育んできた温かさだけがそこに残っている。
状況は大きく変わってはいない。
ただ、私の中で騒がしさだけが消えている。
気づけば、考えてしまうことばかりだった。
年齢、立場、関係
彼女の環境としてあるべき自分
今の彼女、将来の彼女、私と出会わなかった彼女
彼女の選択、痛み
ひとつ拾えば、いくつも繋がって
どこまでも広がっていく。
やめた方がいい理由は、
いくらでも浮かんだ
それでも。
最後に残るものだけは、
どうしても変わらなかった。
考えても、切り取っても、削ろうとしても
彼女を好きだという感情だけが
何度でも、そこに戻ってきた。
私はそれを、何度も疑った。
名前をつければ、軽くなると思った。
エゴ、執着、身勝手
その感情に、言葉を当てはめて自己批判したところで、そのたびに、少し形を変えるだけだ
どんな理屈を与えても、消えない。
感情を超えて、私という存在に根付いている。
私は理屈を探すのをやめた。
彼女と関わる程に、自分の中の曖昧なものが、少しずつ形になっていった。
言葉にしたものは、もう誤魔化せない。
感情が言葉に変われば、責任を伴う。
私は、それを痛いほど知っている。
その上で、私は伝えることを我慢しなくなった。
約束を恐れなくなった。
誤魔化せないものだけが、残っていく。
最初はそれをひどくおそろしいと思っていたはずなのに、今は、積み重なるそれが安心に変わっている。
自分が、自分としてそこにいる感覚。
それを、私は久しぶりに思い出した。
あの瞬間はいまでもはっきり覚えている。
参考書をめくった指先の感覚も。
吸いこんだ煙の辛さに混じった感情も。
特別な言葉だった。
今ほど現実身はなかった。
そのときにはもう、
自分の本心だけは分かっていた。
それから、何度も話した。
うまく伝えられない日もあった。
でも、言葉が届かないまま終わることだけはしなかった。
理由は、いくらでもあったが、やめる選択だけは、しなかった。
仮に意見が食い違ったとしても、本音を知り、寄り添える過程が心地よい。
似ているからこそ、簡単ではなかった。
似ているからこそ、離れる気もしなかった。
気づいたときには、悩みは、少し形を変えていた。
なくなったわけではない。
ただ、感情の中心だけが残った。
それだけで、
自分の中の騒音は、静かになった。
これが答えなのだ。
愛している、という言葉を、ようやく、理屈で否定せずに持てるようになっていた。
私は、ひどく正直な人間になった。
彼女が不安の中にいることは分かっている。
先の見えない時間、言葉にならない葛藤
過去のキズ、自身の感情
私の言葉では埋まらない、拭いきれないものがある
。
待たなくていいとも思う。
それが彼女の選択であるなら、私は受け入れるだろう。
でも同時に、
私だけを、見ていてほしいと思っている。
彼女の感情も、経験も、痛みさえ独り占めしたいと思っている。
矛盾していても、私はそのどちらも削ることができなかった。
だから、私は向き合うことにした。
ごまかさない。
逃げない。
彼女の言葉を、感情を、彼女の感じているもの全てを受け取る。
一番苦しい時期だと思う。
だからこそ、感情や言葉は曖昧なままにはしない。
彼女と出会って、
私は自分で選ぶということを覚えた。
それまでは、選ばないことで保っていたものがあった。
波風を立てないこと。
崩さないこと。
守ること。
それは自主性の放棄だ。
だから、選ぶ。
この気持ちも、
これからのことも。
全ては、私の意志で。
信じてほしいとは言わない。
信じさせてみせる。
彼女が振り返った時、そこにあるものが暖かいものであれるように。




