浮力
私は朝から岩場に向かい、クリスをさがしたが、いなかった。
仕方がないので、岩場にいる生物の観察と調査を行った。
最初は石だと思ったが、ゆっくり動く変な生物を見つけた。
私は指サックで突くと、急に内臓?がドバッと出て来た。
え? 何? そんなに強く突いた?
うーん。よくわからない生き物がいるのねぇと思ったら、振動を感じた。
この振動は人間ね。
私は岩場に隠れて観察をすると、クリスだった。
他に人間はいないようなので、私は指サックで岩を叩いた。
クリスは音に気づいていつもの岩の上に座った。
「クリス、おはよう」
「おはよう、クララ。手は大丈夫?」
「大丈夫。それより、教えてほしいことがあるの」
「なに?」
「あっちの方に、表面は柔らかくて四角だけど、中に石が入っているものがいっぱいあるけど、あれは何?」
「中に石? なんだろう? 大きさは?」
私は手を広げて大きさを見せた。
「表面は私の服みたいだった?」とクリスは着ているもの動かした。
「もっとゴツゴツしていたけど、似ているかも…」
「麻袋かな? ということは、中身は鉄鋼スラブかな?」
「鉄鋼スラブ?」
「鉄鋼スラブは鉄… モリの先端も鉄ね。鉄を作る時にできる余り物ね」
クリスは私に解り易いように言ってくれているのはわかるが、難しい。
「あまりのも? いらないもの?」
「ま、そうね。でも、鉄鋼スラブから鉄が溶け出すことで海藻を増やすことができるのよ」
やっぱり、海藻と関係があるんだ…
「クリス、それをもらってもいいか?」
「クララ達が使うの? クララ達が使っても海の中にあるんだし… 問題ないからいいわよ。でも重いから運べないと思うけど…」
「一つ運んだ」
「え? 20Kgぐらいありそうだったけど、運べたの?」
「みんなで持ち上げて運んだ」
「力持ちだなぁ。ん? 浮力があるからできたのかな?」
「浮力?」
「うーん。どう説明しようかなぁ。ちょっと待っててね」とクリスが言うと。岩場に落ちている木片を拾って来た。
「クララ、この木片と同じぐらいの重さの石はある?」
私は木片を持ち上げ、近くの石で同じぐらいの重さのものを探してクリスに渡した。
「じゃ、その木片と石を海水に入れて」
石は沈むが、木片は沈まずに浮く。どうして?
「どうして?」
「木片を掴んで海水に沈めてみて」
沈ませることはできるけど、浮かぼうとする。
私は何度か木片を海水に沈めては手を離す。
「木片と石は同じぐらいの重さだったけど、違うでしょ?」
私は石を持ち上げて手を離すと沈む。確かに… 木片は浮くものなのか? でも海の中に沈んだ木もあった。何が違う?
「クリス、木は浮くのか? でも海に沈んだ木もあった。何が違う?」
「ふふ。クララはすごいわ。どうしてそうなるのか考えてみて。実は一人でここに来ちゃダメって言われているの。だから、今日は帰るね」
クララが帰った後もどうしてだろう?と考えながら拠点に戻った。
「クララ、魚があるわよ」
「ありがとう」
「どうして木を持っているの?」
「クララが浮力を教えてくれるために、渡されたの。力を入れ続けないと浮かぶわ」
「貸して。確かに上に上がろうとするわね… 水槽に入っていた木は浮かばなかったのに、どうしてなんだろう? これ、持ってると、なんか体が軽くなったみたい」
体が軽くなる? 確かにそんな気がする…
「俺にも貸して」とケンタは木片を受け取った。
ケンタは木片を沈めて、手を離して浮かび上がる木片を捕まえることを繰り返した。
そうだ! 私はケンタから木片を奪い去り、昨日運んだ四角いのの下に木片を入れた。
四角いのを少し持ち上げてみたが… 軽くなった? 気のせいかな…
クリスタは私がしようとしたことがわかったみたいで「もっと木片を入れてみたら?」とクリスタが言う。
「俺が採ってくる」とケンタが木片を探しに行った。
ケンタが四角いのの下に木片を2本ねじ込んだ。
「軽いかも… これを使えば動かせなかった岩も動かせるんじゃないか? だとすると、ここをもっと広く強くできるんじゃないか!?」




