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殻の都  作者: 鐘雪 華
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2/22

クリス

 嵐が来た… クララは大丈夫だろうか?

 私はクララを最初に認識したころを思い出していた。


 昔、私はやることがないので、ここにある水槽の生物を見続けてきた。

 人間が魚やエビを飼育し、大きくなった魚やエビを我々の水槽に入れ、我々はそれを食べる。

 人間は我々の足を定期的に切る。

 当初、人間は4本足の生物であり、我々の8本足であることが羨ましくて4本に切っていると思っていた。


 人間は何やら口らしき場所を動かし、水槽を叩いて、魚やエビを水槽に入れる動作を繰り返しているのに気づいた。

 水槽を叩かれると、水が不自然に揺れるため、それが不快だった。

 私はこちらから水槽を叩き返せば、人間に我々が不愉快に感じていることを伝えることができると思い、水槽を叩いたが我々の柔軟で柔らかい私の手では音が出せない。

 だから、水槽の石を掴み、石で音を出そうとするが失敗する。


 エビのように硬い殻が作れたら…と思い、試すと、意外と簡単に殻を作れる。

 叩きやすいように、手の先にぴったりはまる殻を作った。

 これで、人間が水槽を叩いた時に叩き返せば、不快であることが伝わるだろう。


 次の日、人間が水槽をトントンと叩いた時に、同じように水槽をトントンと叩き返した。

 すると、人間はしばらくこちらをじっと見ている。

 ふふ。水槽を叩くと不快であると思い知ったか!


 しかし、人間はまたトントンと水槽を叩く。

 私も負けじとトントンと叩き返す。


 人間は首を少し曲げ、こちらを見る。

 こんどこそ、思い知ったであろうと思っていたが、トン、トトンと叩く。

 よし、とことんつきやってやる! トン、トトンを叩き返す。


 すると、人間は慌てて逃げていった。

 ふっ。水槽を叩くという蛮行を成敗できた。

 これでゆっくりエビを食べることができると思い、食事をしていると、さっきの人間がもう一人を連れて戻って来た。

 我々に復讐しようと、仲間を連れて来たようだ。


 人間は手を我々のほうに向け、口らしきものをさかんに動かしていた思うと、また、水槽をトン、トトンと叩く。

 同じ攻撃か… ほれ、トン、トトンを叩き返す。


 すると、もう一人の人間が近づき、トトトン、トトトンと水槽を叩く。

 おっ、別の攻撃か。負けん! トトトン、トトトンと叩き返す。

 やっと、人間は退散した。


 私の実力がわかっただろうから、人間は水槽を叩くのを辞めると思っていたが、何かを見せてはトントン叩くことを繰り返すようになった。

 何度か繰り返しているうちに、見せたものと叩くリズムに関連性があること気づいた。


 だから私は人間が何かを見せたら、水槽を叩かれる前に私から水槽を叩いてやった。

 ふっ。攻撃を未然に防いだ。

 参ったか人間! と思っていると、人間は懲りずにいろんなものを私に見せた。

 もう、その攻撃は効かん! 私は水槽を叩かれる前に水槽を叩いた。


 毎日、毎日このやりとりを繰り返していると、私は人間は私に何か伝えようとしているのではないか?と思い始めた。

 私は人間が来たので、エビと叩いてみた。

 すると、人間は何度か小さなジャンプをしながら口を動かし、いつもより少し大きいエビを私の水槽に入れた。

 私はエビを食べながら、仮説は合っていたようだと考えた。


 毎日来る人間はクリスという名前で、クリスは私のことをクララと呼んだ。

 私たちは毎日会話をするようになった。

 クリスは私にいろいろなことを教えた。


 クリスと私は親友というものになったと思うが、定期的に足を切るのは辞めない…

 私が『やめろ』と文句を言うと、目から水を流し『ごめん』と言うだけだ。

 これだけは理解できないと考えていると、大きく揺れた。


 その揺れで上から落ちて来たものに当たり、いくつかの水槽が壊れたかと思ったら、水が押し寄せて来た。

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