ともだち
次の日、私は色々な魚を捕まえてクリスを待った。
魚は海水に浸けてある。
クリスは手に図鑑を持って岩場を跳ねるように軽やかに移動して、私のところに来た。
そして、私の近くに座った。
「おはよう、クララ。図鑑を持って来たわよ」
「おはよう。今日は魚を持って来たわ」
「いろいろいるわね… 触っていい?」
「いいわよ」
クリスは大きな魚を持ち上げた。
「大きいわね。この魚の傷… クララ、その指サックを使ったの?」
「そうよ」
クリスが何か考えているように見えるが、何を考えているのかわからない。
クリスが手を拭いて、図鑑を開いた。
「これ、クロダイじゃない? その平らなのは…アカエイね。この尻尾の付け根に毒針があるらしいわ」
尾の付け根? 私はアカエイを持ち上げて観察した。
ん? ギザギザのものがあった。
「これ?」
「そうみたい。刺されると、激痛や腫れができるみたい。酷い場合は血圧低下か呼吸困難になるみたい。タコだとどうなるかわからないけど…」
「アカエイは食べられない魚なんだな」と私が捨てようとすると、クリスが止めた。
「毒針を取れば食べられるわよ」
「ふーん」
「岩に見えたけど、それ魚よね?」とクリスが触ろうとしたので、今度は私が止めた。
「この背中を触ると、しびれた」
クリスが図鑑をめくった。
「これ、カサゴ? おこぜ?わからないわ。このページの魚は背びれ、腹びれ、しりびれに毒があるみたい」とクリスは図鑑を見せながら説明してくれた。
背中以外にも毒があるのか…
図鑑は色んなことが書いてあって、すごいな。
「クリス、危険な魚は他にいる? 教えて」
「わかったわ… キタマクラは15cmぐらいで黒い線が2本はいっていて皮に強い毒があるわ。肝臓と腸に弱い毒があるって。フグの仲間は皮と肝臓、卵巣に強い毒があるわ。このあたりは食べちゃダメよ」
「わかった」
「あっ。これには気をつけて」と図鑑を見せてくれた。
タコじゃん。
「ヒョウモンダコよ。刺激を受けると全身が青いリング模様が出るらしいわ。猛毒があるらしいわ。噛まれないようにね。仲間だと思って近づいちゃダメよ」
「わかった。透明のタコ… クラゲにも近づかない」
「それに、スベスベマンジュウガニも毒があるから食べちゃダメよ」
「カニにも危ないのがいるのね」
「他にも危険な生物はいっぱいいると思うわ。気をつけてね」
「気をつける。魚を持って帰って」
「昨日、貝を持って帰ってら、どこで採った?って聞かれたの。魚を持って帰って、この傷があればクララと会っていることがバレるわ」
「バレたらどうなる?」
「たぶん捕まえようとすると思う」
「クリスは捕まえないの?」
「クララは友達だから」
「ともだち?」
「そう、友達」
「…貝ならいいのね。ちょっと待ってて」
私は海に戻って貝を採って戻った。
「これなら、いいでしょ?」と貝を岩場に置いた。
「うん… ありがとう」
「まだ知りたいことがいっぱいあるの教えてくれる?」
「いいわよ」
私は毎日岩場に通い、クリスにいろいろ質問をするようになった。




