赤ちゃんが欲しいの
クリスタが私を見て、言おうかどうか迷っている感じだ。
「クリスタ、何? 何か言いたいことがあるの?」
「クララ、赤ちゃんが欲しいの」
「赤ちゃん!?」
クリスタもそう言う時期か…
「そうねぇ… だとすると、安全な場所が必要ね」
タコは子孫を残すと死ぬと言っていたけど、私は二度出産しているが生き残っている。
クリスは出産直後の私に、餌を食べさせようと必死だった。
だとすると、クリスタの出産では私が食べ物を探さないと…
ん? 相手は?
「クリスタ、相手はケンタ?」
「そうなるわね…」
「じゃ、ケンタには安全な石の家を作ってもらいましょう。そして、食べ物の調達も頑張ってもらう必要があるわね」
私たちがケンタを探してみると、岩場に手を突っ込んだり、イソギンチャクにちょっかいをだして急に動いたイソギンチャクに驚いて手を引いている。
「うーん」
「クリスタ、ケンタでいいの? 優しいところはあるけど… バカじゃない? 私たちから離れた奴らよりマシだけど… よく考えなさい」
「わかったわ」
「赤ちゃんを作る作らないに関わらず、安全な石の家は必要ね。私がケンタに作らせるわ。あんたなはちゃんと食べて栄養をつけておきなさい」
クリスタは岩場に向かい、小魚を捕り始めた。
私はケンタを呼ぶと、不服そうにやって来た。
「ケンタ、安全な石の家を作って。岩場を利用してもいいけど、人間が来ないように深めの場所にしてね。それに海水は入れ替わる程度に穴は必要よ。出口は2箇所以上。大きさは5人で生活しても余裕になるように… 水槽ぐらいの大きさね」
「えー! ものすごく面倒じゃん! そんな大きさは必要ないだろ? あの岩場でいいじゃん。出口はいっぱいあるし、広いだろ?」
「あそこは人間が来たら隠れないといけないし、海水が少なくなるときは移動しなきゃいけないじゃない。”安全な場所”が必要なの。候補の場所が見つかったら報告してね」
ケンタは乗り気じゃなさそうだ。
これじゃダメだ。
「ケンタのためでもあるんだから、頑張りなさい」
「え? どういうこと?」
私はクリスタが小魚に集中していることを確認した。
「クリスタが赤ちゃんが欲しいって言っているの。わかった?」
「ん? 本当!? わかった! 俺頑張るよ!」
ケンタが大急ぎで候補の場所を探しに行った。
クリスタがお腹いっぱいになったのか私のところに戻って来た。
「はい。クララ」と小魚をくれる。
「ありがとう」
「水槽だと、クリスが食べ物をくれたけど、ここじゃ捕まえるのが面倒ね。朝方は比較的簡単なような気がするわ」
時間によって変わるか… 食べ物が取りにくい時期?
私は水槽でも海水が冷たくなると食べ物が減ることを思い出した。
海水が冷たくなる頃はクリスの体がモコモコになり、水槽にヒーターというものを設置していた。
ヒーターがないとエビは冬眠してエビが増えないと言っていた…
もしかして、クリスの体がモコモコになる海水が冷たくなる時期は食べ物が減る?
「クララ、どうしたの?」
「水槽では、海水が冷たい時期は食べ物が少なくなったわよね?」
「そうね。クリスはあまりエビをくれなかったわ」
「冷たい時期は食べ物が減るんじゃない?」
「うーん。でも、岩場の魚は減らないわよ」
「岩場が複雑で広いから魚が減っていないと勘違いしているだけだったら?」
「冷たい時期に食べ物が減らないようにあまり食べない方がいいのね」
「クリスタは栄養をつけなきゃダメ」
「じゃ、どうするの? 水槽も食べ物をくれるクリスもここにはいないわ」
「クリスは海藻とエビを育てていたわね… 海藻を増やせばいいんじゃない?」
「海藻? 海藻の場所には小魚が多いような気がする。でもさ、このあたりってあの黒いトゲトゲがいっぱいいて、海藻を食べているよね?」
「そうね… 変な形のが海藻を食べているわね」
「あの黒いトゲトゲを退治しないと海藻が増えないわね。攻撃していい?」
「いいけど、トゲトゲに気をつけて」
クリスタが指サックで黒いトゲトゲを刺す。
黒いトゲトゲは動きが超鈍いので、綺麗に刺さる。
黒いトゲトゲは割れ、黄色い中身が出てくる。
指サックがあれば、トゲトゲなんて敵じゃなかった。
「なんかいい匂いしない?」
「クリスタ、食べる気!?」
「小魚も寄って来ているから、美味しいと思うわ」と言うと、クリスタは黄色の身を掴んで食べた。
「大丈夫?」
「クララも食べなよ! 美味しいわ。小魚も寄ってくるから二度美味しいよねこれ」
私は恐る恐る黄色い身を食べた。
これは、いけるわね。海藻を守ることもできるて、美味しいなんて…
しかも、他の魚はトゲトゲで襲えないからいっぱいいるし、動きは鈍い。
これ、海藻を与えたら、飼育できるんじゃない?




