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殻の都  作者: 鐘雪 華
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13/21

閑話:再会

 私はお母さんと倉田さん達に連れられて、村の食料の採集のために岩場に来ていた。

「足元に気をつけて。遠くに行っちゃダメよ。それに、岩場に手を入れちゃダメ」

「わかったわ」


 足元を確かめながら、クララは海に逃げて、今はどこにいるんだろう? 元気にしているかな?と考えながら歩いた。


 倉田さんはモリを持っており、岩場を覗き込んで突き刺しては魚を獲っている。

「いいなぁ。私もモリで突いてみたい…」と呟いた。

 暇なので、空を見るとカモメが何羽も飛んでいる。

 倉田さん達がモリで引き上げた魚をカモメが狙って低空に降りてくるのを倉田さん達が追い払っている。

「カモメは凶暴で怖いのよねぇ」


 1羽のカモメが地上の魚を見つけたのか降りて獲物をとろうとしたように見えたら、急にドサっと音を立てて倒れた。

 その音を聞いて、何人かがカモメの方を見る。

 一番近くにいたのが私だったので、倉田さんが「クリス、何かあったか?」と大声を出す。


「カモメが倒れたみたい」と大声で返す。

「そこを動くな! 今行く」と言いながら、私たちの声に気づいて、倉田さん達が駆け寄ってくる。


 私はこっそり動き、カモメが倒れている場所に近づいた。

 そこには、左目から血を流しているカモメが倒れていた。

「左目を突かれたようだ。一撃で仕留めたようだが…」

「銃声は聞こえなかったぞ」


「見ていたものはいるか? あの女の子が近くにいたようだが…」

「クリス、見ていたか?」と倉田さんが言う。


 私は前に出て、「はい。カモメが何か獲物を見つけたように岩場に降りました。そして、嘴で何か突いたように見えましたが、その後すぐにカモメが倒れました」と言った。

「ということは、獲物に反撃されたということか…」


「カモメの獲物って海にいる生物だろ? 岩場にいる海の生物が、これほどの攻撃力を持っているか?」

「クリス、どんな攻撃をしたか見ていたか?」


「いいえ、見ていません」

「そうか」


「今まで、こんなことは起こったことないよな? 攻撃したのはどんな生物か想像がつくか?」

 大人達は話し合っているが、どんな生物の攻撃か想像もつかないようだ。

 私はもしかしてクララ?

 クララだったら、同じ場所にはいないよね。

 少し離れた場所から観察すると思う。

 たぶん、陸に近い方は逃げられないから、海に近い方の岩場の穴のどこかにいると思うけど…


 タコって岩の色に近いから見分けにくいのよねぇ…

 岩が動いたような気がした。

 あっ! いた! 目があったような気がする。

 人間と目を合わすタコって、クララだよね?

 近づいたら、逃げるかな… どうしようと思っていたら、タコが手を少し上に挙げた。

 その手には指サックが見えた。


 指サックは滑らかな貝殻の先に尖った石が付いていた。

 私はクララがカモメに攻撃されたから反撃したと思う。

 近づいたら、逃げるかな?

 それとも攻撃してくる?

 ちょっとぐらい近づいても大丈夫だよね?


 私は少し近づきしゃがんで石を掴んで、モールス信号を送った。

「クララよね? 元気にしてた?」

「元気だわ。クリスはどう?」

 やっぱり、クララだ! 怒ってないみたい。よかった…

 私はクララと話をしようとモールス信号を送ろうとしたら、急にクララが海水に潜った。

 え? 逃げちゃった… 嫌われたかな?


「クリス、カモメを攻撃した危険な生物がここにいるわ。危険だから帰るわよ」

「え? でも…」


「いいから、帰るわよ」と私をお母さんが引っ張る。

 倉田さんがカモメを抱き上げているのが見えた。


「カモメをどうするの?」

「傷口を切開してどういう攻撃だったのか調べるのよ」

 私も一緒に立ち会ってもいい?


「珍しいわね… ま、勉強になるか… いいわよ」

 私たちは倉田さんの後ろをついて歩いて研究室に向かった。


 倉田さんはステンレスの検査台にカモメを置き、カモメの目の切り開いた。

「鋭いもので突かれているが、複数の傷が入っている。刃物じゃない。それに、傷は脳まで達している。だから、一瞬で倒れたんだろう… ん?何だこれは?」

 倉田さんがピンセットで血がついた黒いものを取り出して、ステンレスのそら豆型の皿に置くと、カツンと音が鳴った。


「石のようね…」

「キャサリン、蒸留水で洗ってくれ」


「わかったわ」

 お母さんが蒸留水で洗うと、尖った黒い石だった。

「なぜ石が? 誰かが近くで岩を砕いていてそれが飛んで脳に刺さった?」

「誰も岩なんて砕いてなかったわ」


「じゃ、どうして脳に刺さってた?」

 私はクララが指サックで突いたと確信した。

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