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殻の都  作者: 鐘雪 華
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12/19

鳥

「鳥は飛ぶから、上から襲ってくるわ。だから、周りの注意は必須よ。いい?」

 私たちはそーっと岩場から外を観察した。

 外はまだ明るいが夕方だった。


「クララ、飛んでいるのはいないみたいだな」

「そうね…」

 私は人間を見つけたので、ハンドサインで潜るように指示をする。


「何かいたのか?」

「人間よ」


「どうしてハンドサインなんだ? 水槽にいた時、岩を叩いても反応しなかったから、聞こえないんじゃないか? ここは岩だぜ」

「多分だけど、私たちが頭を水面から出したら、海水の中の音は聞こえにくくなかった?」


「そう言われれば…」

「逆に、頭を水面から出したら、外の音がよく聞こえたじゃない?」


「うん」

「ということは、人間は外にいるから外の音は聞こえるけど、海水の中の音は聞こえないのよ」


「確かに、これだけ石を叩いても、人間はこっちに気づいていないようだな」

「じゃあ、人間が海水に入ったら? 海水の中の音を聞かれると思うけど、大丈夫?」とクリスタが言う。

 クリスタは賢いわね。 相手も逆のことをするか…


「え? 人間は手を海水に入れることがあっても、海水に入っているところは見たことがないぜ。俺たちが外に少し出れるけど、長く出たくないのと同じで人間も海水に長く入りたくないんじゃないか?」

「うーん。でもさ、人間の先祖は魚なんでしょ? だったら、海水にも入れるじゃない?」

 人間が海水に入れるか… 考えたことがなかった。


「クリスタの言う通り、人間も海水に入れるかもしれないわね。気をつけた方がいいわね」

 私たちは人間が来ているか確認したが、近くにはいないようだ。

 ケンタが岩場から手と顔を少し出して周りを見渡したと思ったら、ケンタがいきなり海水に戻った。

 今度はケンタが外に引っ張られる。

 鳥だ! 鳥がケンタの頭を咥えている。

 私は指サックで鳥の目をめがけて腕を思いっきり伸ばした。

 腕は私が思うより速く、鋭く動き、鳥の目を刺した。

 鳥はケンタを離して倒れ込んだ。


「ケンタ! 大丈夫?」

「ちょっと痛いけど、大丈夫」

「クララ、ケンタ! 人間が来るわ」

 足音が響いてくる。人間が何人か来るようだ。

 私たちは岩場の中に隠れた。そして、別の場所から人間達を観察した。


 人間達は鳥の周りに集まって来た。

 その中にクリスもいた。

 私はクリスに話しかけたい衝動があったが、抑えた。


 人間は鳥の周りに集まっても、鳥に触らずに何やら話していたかと思うと、周りを警戒し始めた。

 何故だ? 人間は何を話している? クリスがモールス信号を使う時は口も動かすので口の動きで少しはわかるが、口が見える位置にいないとまったくわからない。


 クリスも周りを警戒して見渡していると、私と目があった。

 クリスは私がわからないようだ。


 私は指サックを海面に出した。

 クリスの表情が変わった。

 クリスは私に近づきしゃがんだと思ったら、近くの石を持って、モールス信号を送って来た。

「クララよね? 元気にしてた?」

「元気だわ。クリスはどう?」


 キャサリンが近づいて来たので、私は海水に逃げ、岩の隙間から様子を伺う。

 キャサリンはクリスを連れて行った。

 キャサリンは私に気づかなかったようだ。


 さっきまで鳥に触りもしなかったのに、死んだ鳥を抱えて人間は戻って行った。


「クララ、クリスと話せた?」とクリスタが言う。

「挨拶だけね」


「そう… さっきのクララの攻撃だけど、ものすごく速かったわ。どうして?」

「そうねぇ。外じゃ速く動かせるかもしれないわね…」

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