発掘
エンジュの同行は問題なく許可された。シュマは難しそうな感じを出していたが、あっさり許されたな。
「むしろずっとエンジュちゃんとは一緒に探索に行ってみたいなぁってクランメンバーとも話してたんだよ」
ついて行っていいとよと、シュマから連絡があった翌日。俺はエンジュとメギスと共に門まで来ていた。無論、今回も獣挽きは持って来ている。
セレンはエンジュと親しかった訳ではないが、エンジュの探索の成果などを以前から見聞きしていて気になる存在であったようだ。
「お互いシュマの幼馴染みと聞いていたから、知り合いなんだと思っていたぞ」
接点がないのが驚きだ。同じ拾い手でもあるのに。
「こいつは小ぃせえ頃は超人見知りだったんだよ。俺が無理矢理色々連れ回してたんだ」
「めちゃめちゃ嫌だったけどね⋯⋯!」
「おかげで人見知りが治ったんだからいいじゃねぇか」
エンジュがシュマに少し苦手意識があるのは幼少期の経験からか。ただそう悪い経験だった訳ではなさそうだ。軽口を交わし合う二人の笑顔は実に自然に見えた。
「私が話しかけてもシュマの後ろに隠れちゃってね。⋯⋯まぁ、そこも可愛かったんだけど。大きくなってからは少し話しかけづらくなっちゃったし」
「誘ってくれればいつでも歓迎だったのに⋯⋯。でも本当にいいの? クランの人しか行けない場所なのに」
セレンの言葉にエンジュが疑問する。
「もちろん誰でも連れて行っていい訳じゃないけどね。そこまで規則は厳しくしてなくてクランメンバーの主要な何人かが許可すれば割と同行は許される感じよ。何より昔から知ってるし、エンジュちゃんに憧れてるメンバーも何人かいるくらいだからね」
俺から見ればかなりドジをする印象だが、他が見ればエンジュは憧れの対象のようだ。
「な、なんだか照れちゃうなぁ! 今日は情けないとこは見せられないね!」
白磁の肌を赤く染めて照れるエンジュ。
「じゃ、出発するか。機械の本体を見つけてパーツを抜き取る。やる事は単純だな」
「結構繊細なんだからな。邪魔が入らないようちゃんと見張っとけよ」
言葉だけだと簡単そうだが、メギスの言う通りやる側は気を使う作業が待ってるのだろう。
俺もシュマと同じく簡単に終わって帰れると考えてしまっていた。反省。
◇
現場に到着。あれから新たにスクラップが幾つか投げ込まれているようで、少年のインターフェイスをどう探そうか迷ったがゴーグルを嵌めたらすぐ見つかった。
「おぉ、凄い! 拾い手からしたら宝の山だね!」
初めて訪れたエンジュが少女のようにはしゃいでいる。
「エンジュちゃんは記録媒体を集めてるんでしょ? 見つけたら何個か持って行っていいからね」
「いいの!」
セレンの太っ腹な言葉に目を輝かせるエンジュ。
「投げ込まれる遺物は日々入れ替わってるからね。一期一会みたいな感じだよ、ここは。それにうちのクランだともっと高ポイントな遺物を狙ってるから」
ありがとうと、満面の笑みで投棄されてる遺物をガサゴソし出す。そんなエンジュを尻目にメギスに指示を受けながら機械本体を発掘する俺とシュマ。
「⋯⋯あまり遠くに行くんじゃないぞ」
「わかった!」
いい返事だ。
「⋯⋯おかんかよ」
「はいはい、口より手を動かす! 機械見つけてからが本番なんだぞ!」
シュマの呟きにメギスがプンスカだ。早く機械を弄りたいのかソワソワと身体をゆすっている。
エンジュがガサゴソと遺物を漁って感嘆のため息を漏らしているのを後ろに聞きながら、暫くシュマと発掘作業に勤しんでいると画面の付いた操作端末らしき機械が出て来た。地面に据えつけて使うタイプの大きめの端末だ。
「⋯⋯む、メギスこれじゃないか? 位置的にもこれから少年が出力されてるように見えるが」
「どれどれ⋯⋯、おぉこの無駄に装飾されたボディ。筐体の素材も無駄に豪華、うん。カタログとも特徴が一致してるね。じゃ、うちはパーツ抜いちゃうから周りみといて」
機種を確認するとメギスは早速筐体をガチャガチャと解体し始めた。淀みなく動く手がすごい速さでバラしていく様は見ていて気持ち良さを覚える。
「シリアルナンバーを見つけたら教えてくれ」
そう念を押すとヒラヒラと手を振ってうるさがられた。
大人しく待つか。




