幽霊?
結果から言うとダメだった。セレンは少年に首を振られて拒否されたみたいだ。真打登場と、自信満々にメギスが出撃したが何故? という感じで首を傾げられたらしく悲しそうな顔で帰ってきた。
「⋯⋯二人がダメだったなら現時点で打つ手はないな。消すのは嫌なんだろう?」
「ちゃんと意思はあるみたいだから、何とか解決してあげたいな」
セレンに尋ねると安易な解決は望まないとのこと。
「そのゴーグル越しなら写真に写るんじゃねぇか? 一旦村に帰ってコイツを調べてから出直すのも手だと思うぜ」
ふむ。シュマの言う通り情報が少なすぎるな。写ればいいんだがな。
「やるだけやってみるか。写らなければ似顔絵でも描いて一旦帰ろう」
ちなみに俺に絵心は無い。
アームデバイスの写真モードを起動して、ゴーグル越しに少年を映す。
「お、取り敢えず画面には映ってる。データにも残るといいんだが⋯⋯」
⋯⋯何だか少年の姿がチラつくというか、コマ抜けした風に感じるが気のせいか?
試しにゴーグルだけで見れば変わらず透けた少年が佇んでいる。チラつきもない。
まぁ、今気にしてもわからないな。取り敢えず撮影。
「どうだ?」
アームデバイスに記録された写真データを見てみる。
「あぁ、ちゃんと写ってるな。皆にも共有しておく。村に帰ったらそれぞれ伝手をあたるなり調べてくれ」
◇
という訳で一旦村に帰ってきた。
「俺はできればテミス様に聞いてみようと思う。無理だったら知ってそうな奴を探してみる」
シュマはテミス様が何か知ってると考えてるのか。まぁ、永く生きてるだろうし可能性は高いか。
「私は他の拾い手クランの子にも聞いてみる」
「ウチも少し調べてみる。何か見覚えがある気がしてきたんだよね。何だったかな⋯⋯」
「俺も動いてみる。情報が集まったら連絡する」
もしかしたら知ってるのではという心当たりが一人いる。あのゴーグル越しの映像のチラつき。カギはここにあると思う。
◇
「それであたしのところに来たんだ。色んな記録媒体は集めてるけど、期待に応えられるかわかんないよ?」
俺は次の日、エンジュの家に来ていた。
「かまわない。もしかしたら知ってるかもしれないと思ってきたんだ」
俺はあの透けた少年は霊などではないんじゃないかと考えている。
事前に言われていた情報との食い違いが多い。嫌な気配もしなければ、ゴーグルを介さなければ誰も彼の姿が見えなかった。
確かに見える奴と見えない奴がいるという話だったが、四人いて全員見えないのはおかしい気がした。
そしてデバイスで写真を撮ろうとした際のコマ抜けのようなチラつき。
俺はあの少年は何かの機械のインターフェイスが壊れてあんな状態になっているのではと考えたのだ。
嫌な気配がするという話は、その場の雰囲気にでも当てられたんじゃないだろうか。
「この写真を見て欲しいんだ。幽霊らしき少年だ」
エンジュのデバイスに写真を共有する。
「⋯⋯ふーん。なるほどね。イオドはこの子を幽霊だと思う?」
「⋯⋯正直思わない。幽霊の存在を疑う訳ではないが、コイツは違うと思ってる」
「イオドは何だと思ってるの?」
少年の写真を確かめるような眼差しでじっくり眺めながらエンジュが質問を投げてくる。
「壊れた機械のインターフェイスか何かだと思っている。写真を撮るときに、コマ抜けのように少年の姿がチラついたんだ」
「———イオドの推測で正解だよ。この子はある特定の時期の機械のインターフェイスによく使われてた型だよ」
やはり推測は間違ってなかったか。というかエンジュは調べるまでもなく知っていたようだな。
「知ってて俺の考えを聞こうとしたのか? エンジュがいつの間にか意地悪になってしまったな。⋯⋯シュマの影響か?」
「意地悪じゃないよ! ⋯⋯ただちょっとビックリしちゃってね。質問が上の空だったかも」
「ビックリとは? 余程特殊な機械なのか?」
うん。と少し緊張した面持ちで頷くエンジュ。
「⋯⋯私が探し求めてる『魂の転写装置』が造られた時代によく使われてたんだよ」




