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幽霊騒ぎ

「幽霊か。信じるかと言われたら、エンジュが魂の転写装置を探してるわけだし居るんじゃないか? 見た事はないが。それにしても急に何の話なんだ?」

 獣挽きとかもあれは人工物に擬似的に魂が宿ってるものだろうしな。自然発生したものではない存在に魂を宿せるなら、魂だけがそこらを歩いてても疑問には思わんな。


「⋯⋯知り合いの拾い手から変な話を聞いてな。そいつが普段遺物拾いに行ってる場所で最近妙なのもが出没する様になったらしくてよ。それが幽霊じゃないかって何人かの拾い手がビビっちまって仕事にならないらしい。だから何とかしてくれと言われてよぉ」

 村で拾い手達が不安そうにしてたのはこれか。

「その妙なものが幽霊だと思った理由は何だ。はっきり見たのか? 原因について心当たりが有ったりはしないのか?」


「どうも見える奴と見えない奴が居るらしくてな。見える奴の話ではボヤッとした人型の何からしい。そんで見えない奴も、得体の知れない気配は感じるらしくてな。背筋がゾワっとするみてぇだ。原因なんだが、心当たりはないってよ。急に現れる様になったらしい。事故も死人も出てねぇとよ」


 それは確かに幽霊と思ってしまってもおかしくはないな。

「何人かみてるやつがいるという事は、存在するか確かめろという話ではなく討伐なり何なりして貰いたいとシュマに言ってるという事か」

「そうなんだがよぉ、俺は幽霊なんて専門外なんだ。信じてもいなかったしな。知り合いにも幽霊に詳しい奴はいねぇし。⋯⋯イオド、テメェ村に来て日は浅いが変な伝手があるだろ? 調べられる奴とか知らないか?」


「ふぅむ⋯⋯」

 俺にも流石に幽霊に詳しい知り合いはいない。

「そもそもそんな話はシュマが解決しなくてはならないのか? 衛兵の仕事ではないだろう?」

「本来なら俺の仕事じゃねぇ。拾い手達で何とかするもんだ。やらなけりゃ生きていけない訳でもねぇしな。⋯⋯ただなぁ、そいつからの話はあまり断りたくねぇんだ。同じ孤児院で育ったからよぉ、何もしないで突っぱねたくはねぇ」


 なるほど。恐らくは家族同然の知り合いが困ってるのを見過ごせないと。相変わらず口は悪いがやはり面倒見はいい奴だ。

「わかった。幽霊に詳しいかは分からないが、色々詳しい者が知り合いにいる。本当に幽霊なのかどうか調べてもらえるかも知れない。少し聞いてみる」

「⋯⋯悪ぃな。こんな巫山戯ふざけた相談できるのはテメェしか思いつかなくてな」

「シュマには色々世話になってるからな。エンジュの稽古も頼んでるし」


 仕事のない日に見てくれてる様だ。細かいことにうるさいとエンジュが愚痴っていた。そういう細かいことにうるさいからシュマを選んだんだ。

「あいつはよくやってるぜ。だいぶ様になってきてる。⋯⋯位置情報は送っておく。現地まで調べに行くなら俺を呼べよ。じゃ、何かわかったら連絡くれ」

 ブゥンと粒子になって消えるホログラム。


「⋯⋯さて、取り敢えず聞きに行ってみるか」


                   ◇


「で? 何を聞きたいって?」

 俺が訪ねたのはメギスだ。獣挽きの作製者な訳だし、今回の騒動が本当に幽霊の仕業なのかそうじゃないかくらいは分かるんじゃないかと思ったのだ。


「今、一部の拾い手達が幽霊騒動で活動が出来なくなってるのは知ってるか?」

「え、知らない。どういうこと? めっちゃ面白そうなことになってんじゃん! 詳しく!!」

 俺はシュマに相談された内容を話した。


「⋯⋯はぁん。見える奴と見えない奴が混在してるんだね。ふぅん⋯⋯まぁ、ぶっちゃけ情報が少ないね。これだけじゃその場所に居るかいないか判断できないな」

 何となくメギスの口ぶりだと今回の騒動が幽霊かどうかは情報が足りなくて分からないが、幽霊の存在は認めていそうな感じを受ける。


「⋯⋯幽霊はいるのか? 居るんじゃないかとは思ってるが、見た事はないんだ」

「君たちが俗に幽霊って呼称してる存在は実在するよ。細かくいうと少し違うけど大きくは違わないし、結局起きてる現象が同じだからさ。⋯⋯それにしても今までは普通に活動できてたんだろ? うちの知ってる範囲だとそういったものは突然現れるなら原因がある筈なんだけどそれもないと。ふぅん、⋯⋯⋯⋯行くか! 現地に!!」


 急にソワソワし始めたと思ったら、キラッキラした瞳で宣言された。手を差し出されてる以上、俺は強制参加だな。断る理由もないが。

 早速シュマに現地に観に行く旨を伝えた。

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