シュマに相談
今回の探索で起こった事を報告したいとシュマにメッセージを送ったところ、今日は門番をしているから用があるなら来いとの事。
早速荷物をまとめて門まで急ぐ。
「よぉ、色々とあったみてぇじゃねぇか」
門に着くとシュマが槍を片手に立っていた。
「勤務中に悪いな。忙しいなら後日でもよかったんだが」
「門番は形式的なもんだから気にすんな。ぶっちゃけテミス様が村の外の監視は全て執り行ってる。俺みたいに門番が立ってるのはやってる感を出すのが重要なんだとよ」
確かに誰も門のそばに居ないのに守ってますと言われても守られてる感じはしないか。
「それで? 見て欲しいものってのはその弓か? うちの村の作じゃねぇな」
俺の肩に担がれた奴らから鹵獲した機械弓を指差す。
「これも見て欲しいがこれだけじゃない。エンジュを襲った奴らの装備を見て欲しい」
腰のポーチに無理矢理詰め込んだ機械の付いた服を取り出し、シュマの前で広げる。
「何人かいたが、全員こんな感じの服を身に纏っていた。話を聞かない奴らでな。いきなり襲ってきたんだ。何か知ってるか?」
あんな好戦的な連中にそう何度もエンジュとの探索で出会いたくない。集落があるなら教えてもらいたい。
「——その服! よく見たら弓も⋯⋯。そいつら何人いたんだ?」
装備を見たシュマが驚きの顔で問う。知ってる奴らだったのだろうか。
「最初に襲いかかってきたのは六人の男女だ。いきなりエンジュを狙われたから一人残して他は処分した」
まぁ、残したというより逃げられたのだが。
「六人⋯⋯。最初と言ったな。また襲われたと言うことか?」
「エンジュには言わないで欲しいんだが」
「あん? どういうことだよ」
三つ目のドームでの出来事を、俺の方はある程度ぼかしながらシュマに説明する。
「少なくとも十人以上待ち伏せてたのか。まぁ、テメェなら何とかなるか。⋯⋯前にテミス様とテメェの村での滞在許可の話し合いをしたのを覚えてるだろ? その話で村から出張ってた連中が追ってたのが、お前等を襲った奴らだ」
一瞬何の事かわからなかったが思い出した。俺がエラー個体を討伐したのは本来その業務にあたる役職が村に居ないからだったな。何かを追っているという話だったがあいつ等だったのか。
「この村と敵対してる連中か?」
真っ先にエンジュが狙われたのもそれで合点がいく。俺とウルカは服装がこの村の者と違いすぎる。
「さぁな、何をしたかったんだか分からねぇが遠出した拾い手が連中に殺されたんだ。だから報復で集落を潰しに行ってる。探すのは骨が折れたそうだぜ?」
うちの村もなかなか好戦的だった。まぁ、集落の場所を聞いたら俺も襲撃をかけようと考えていたから、どっちもどっちだな。
「なら、俺たちが出会ったのは残党だったのかもな」
再起をはかろうとしていたところに俺たちがのこのこ出向いてしまったと。
全滅させた事は微塵も後悔はないな。遅かれ早かれこの村の者に滅ぼされていただろう。
「かもしれねぇな。取り敢えずこの事は上に報告しとく。⋯⋯エンジュには伝わらないようにしておく。あいつは何だかんだ甘いからな。テメェの判断は間違ってなかったと俺は思うぜ」
「そうしてくれると助かる。それで、この弓なんだがかなりの性能でな。数さえ確保できればエラー個体の力場も抜けるとおもうぞ」
事の顛末の報告は終わったので、個人的に気になっていた機械弓についての所感をシュマに伝える。
「⋯⋯へぇ、そいつはテミス様も喜ぶ報告だな。狩り手の装備はそろそろ更新したいと言っておられたんだ」
「ちょっと疑問なんだが、奴らの装備はうちの村より充実してるように思えたがその討伐に向かった連中で勝てるのか?」
狩り手の者たちの装備はぶっちゃけ質がいいわけではない。少数が遺物だろう上質な装備を身に纏ってるが。
「あー、分かりやすく言えば隊長みたいなのが徒党を組んで討伐に向かったって訳だ。テメェが戦った連中は隊長に勝てると思ったか?」
思わない。俺も本気ではなかったがミゼーアは相当な実力者だ。俺と同様奴らを単騎で殲滅できるだろう。
「戦力比が極端すぎないか? 狩り手にも何か訓練なり何なりさせればいいんじゃないか?」
「狩り手は趣味みたいなもんだからな。俺等とは違う。テミス様は意志のない者に強制はしたくないんだ。お優しいからな」
俺はほぼ強制でエラー個体の討伐に向かわされたがな。
「まぁ、村の者がそれで納得してるなら俺が口出しする事じゃない。報告はこんな所だ。時間をとったな」
「気にすんな。暇だったんだ」
本当に暇そうに欠伸するシュマに礼を言い、俺は家に戻ることにした。鹵獲した装備はシュマに預けた。俺が持っていても意味がないからな。




