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ウルカに納品

 無事にエンジュのスケイルメイルを作るための灰蚕の繭を手に入れ、村に帰った俺たちはいい時間だったので一旦各々の家に戻った。

 ウルカは明日は店を休業にして体を休めるようだが、繭は持ってきて欲しいとのこと。

 ドーム前で俺たちを急襲した奴らの報告は後日俺がすることに。

 今回の探索の報酬もウルカから受け取らないとな。採取した繭も俺が持ち帰っているのでウルカに渡しに行く時でいいな。


「⋯⋯それにしてもこの機械弓、いい性能をしていたな」

 住みやすい我が家の寝台に腰を下ろし、収集した奴らの装備を眺める。

 浅いとはいえ俺に傷を負わせるなんてな。傷は治癒促進剤を使うまでもなく、すぐ治った。これもシュマに見せるか。

 量産できればエラー個体の力場も抜けると確信している。数は絶対必要だ。


「獣挽きも今回も助かったぞ。今後も頼むな」

 今回の探索は獣挽きが八面六臂の大活躍だった。こいつがエンジュ達を必ず守ってくれると信じられたから、俺は単独行動できたのだ。

 特別に採取してきた灰蚕の繭を進呈する。中身が入っているようだが、スナックみたいなものだろう。

「———♪」

 だんだんこいつの感情表現がわかってきた気がする。触手をゆらゆらさせて眼玉もくねくねしている。


「⋯⋯さて寝るか」

 嬉しそうに繭を咀嚼する獣挽きをBGMに俺は目を閉じる。


                  ◇


 朝だ。さて、ウルカに繭を届けて報酬を貰いに行くか。

 背負子を背負い行くとするかねと、家を出ようとしてふと獣挽きが気になった。

「⋯⋯ん? お前、少し色が黒くなったか?」


 いつもは赤褐色の獣挽きが、黒というか灰色寄りの色が混じっているように見える。

「————?」

 獣挽きも眼玉を自身に向けて己を見つめるが、よく分かってないようだ。色の判別はつかないのか?


「まぁ、いい。そういう事もあるだろう。獣挽き、留守を任せたぞ」

 獣挽きに色以外は異常はないようだし。ウルカの店に向かう。


 店に入る。臨時休業と札が掛かっていたが、気にせず入るよう言われている。

「ウルカ、繭を持ってきたぞ」

 店内には居なかったが、俺が到着を告げるとカウンター裏の扉の奥からゴソゴソと音が響いてきた。


 しばらく待つと、化粧っ気もなく勇ましい赤髪もさらに勇ましさを増しているウルカが姿を表した。

「⋯⋯あんた早いねぇ。来いと言ったのはあたしだから文句はないけどね」

 そうは言うものの少し文句のありそうな眼差しを向けられる。


「行動は速いほいがいい。採れる行動の幅が増える」

「そうだけどさぁ⋯⋯。まぁいいさ。持ってきたんだろ? 見せてくれよ」

 漢らしい喋り方の普段と違い、しょぼしょぼと囁くような声ともっさりした動きに流石に朝早くに来すぎたかと、少し反省。


 カウンターに繭の入った背負子を下ろす。

「うんうん、凄い量だね。これだけあればしばらく採りに行かなくていいね」

 満足そうに繭を見ながら頷くウルカ。

「そうするといい。あいつらが何者なのか知ってそうな者に聞いてみるから、わかるまで近づかないほうがいい。どうしてもと言うなら俺も着いて行くさ」


 有無を言わさず弱者から狙うような卑劣な輩だ。今までみたいな単独行動は避けるべきだろう。

「⋯⋯秘密の場所だったけど、村に危険が及ぶかもしれないし。流石に黙ってるわけにはいかないね」


 まぁ、秘密のギミックを解いてまでこの村に来るとは思わないが報告は必要だろう。

「不用意に言いふらす奴ではないし、脅威無しと判断するかもしれないしそう気を落とすな」

「まぁ、繭だけ持ってたってここから糸にする技がないと宝の持ち腐れだからね。そう簡単にあたしの牙城は崩せないわ!」


 そうかこの繭から糸にしないといけないんだったな。

「糸にするのは任せてもいいか? その分ポイントは引いてもらって構わない」

 俺に繭を糸に加工する技術はない。ポイントで払ってでも加工してもらわないとならない。


「報酬には色をつけるって言ったろ。あんだけ活躍したんだ、しっかり必要分の糸は作っといてやるよ! 何日か掛かるから、できたら連絡するよ」


 繭をウルカに納品し、話もまとまった俺は店を出た。取り敢えず用は果たした。薬師からはまだ連絡は無い。もう報告に行ってしまうか。

「⋯⋯ついでにあの弓も見せてやろう」

 この村の弓とも違う独特な機構の機械弓だ。シュマも興味を持つだろう。

 我が家に一旦、機械弓や装備を取りに戻ってからシュマのもとに向かうとするか。

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