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糸を求めて

 あの後シュマと共にエンジュの槍の指導をした。

 基本的な構えや突き方はシュマが教えただけあってなかなかだった。

 俺が指導したのは勢いよく突きたいがあまり、前傾姿勢になりがちなのを少し直した。


 前傾姿勢が過ぎると少し巧い者には槍を奪われる可能性が出てくる。しっかりリーチと安定性を活かして堅実にエンジュには攻めて欲しい。

 三人でわいわいやってるとエンジュがヘトヘトになったので解散となった。


 俺は家に帰り、片付けたエラー個体の角を眺めながら次は何を作ろうか考えていた。

 剣や刀など面白そうな武器がカタログには記載されていた。が、

「スケイルメイルを作るまでは余計なことはしないほうがいいな」

 これだけあればまず間違いなく量は足りてるが、俺が失敗するだろうことも考慮に入れなければならない。


 角を睨みながらうんうん考えていると、アームデバイスが震えた。

「ん、ウルカからか」

 通話を選択。ホログラムのウルカが淡い緑の光で浮かび上がる。


「急に悪いね、今平気かい?」

「問題ない」

 漢らしく申し訳なさそうにするウルカの姉御。俺は大抵暇だから問題はない。


「待たせて悪かったね、こっちは準備できたからあんたが行けるならいつでも行けるよ!」

 長かった準備は無事終わったようだ。丁度いいからエンジュも同行していいか聞くか。


「俺もいつでも行ける。⋯⋯一つ聞きたいんだが、同行者を一人増やすのは可能か? 無理なら無理でいいんだ。一応聞いておきたくてな」

「ん〜? あまり知られたくない場所だけど、連れて行きたいのはあんたの相棒かい?」

「そうだ。俺にばかり負担をかけるのは嫌だと言われてな。可能なら連れていってやりたい」

 エンジュが拾い手の経験が豊富とはいえ、どれほど動けるのか実戦で確かめるのもありだと思うしな。ウルカの話だと危険は少なそうだし。


 返事を待っているとホログラムのウルカがプルプル震えていた。少し無遠慮が過ぎたか?怒らせてないといいが。

「⋯⋯いい子じゃないか! 相棒に負担をかけたくないその心意気買ったよ!! いいよ連れてきな! あんたの連れなら信用できるしね」


 怒らせたわけじゃなかったようで安心した。

「では相棒に同行許可が出たと伝えておく。何時くらいに集合すればいい?」

「そうだね、朝の七時に店に来てくれればいいよ。日にちは急がなくていいよ! いい女は準備に時間が掛かるんだから」

「わかった。探索は日帰りか?」

「距離はそう遠くないし、朝に出て夜には帰れるんじゃないかね。⋯⋯んじゃ、待ってるよ!」


 ウルカとの通話を切り、エンジュに繋ぐ。

 ぐったりとした様子のエンジュが浮かび上がる。

「今日はよく頑張ったな。初日であれだけ動ければ上出来だぞ」

「イオドもありがとね⋯⋯。シュマの奴全然遠慮しないんだもん。もうヘトヘトよ」


 うがーっと突っ伏すエンジュ。

「いい話を持ってきたんだ。これで元気を出せ。防具屋の店主、ウルカと言うんだが同行を許可してくれたぞ」

「お、やったね! ならこれがイオドとの初探索になるね!」


 確かにそうなるな。村への滞在許可が出てからエンジュと探索はしてない。やる事があったのもあるが、少し過保護になってた部分がある。


「安全第一で行こうな。俺が付いてれば大体のことは何とかしてやるが、ヤバい奴は幾らでもいるからな」

 幻覚体とか。まぁ、あれは特殊過ぎるか。


「流石に同行させてもらう身で無茶はしないよ! ただ私の拾い手としての嗅覚には期待してて欲しいかな」

 ドヤ顔のエンジュ。自身の培ってきた能力に自信を持つのはいいことだ。


「いつ行ける? ウルカはもう準備できてるらしいが」

「わたしはシュマとの槍の稽古以外やる事は今はないから、いつでもいいよ」

 ウルカもいつでもいいと言っていたな。


「では明日にするか。ウルカの店の位置情報を送っておく。朝の七時に集合だ」

 エンジュに位置情報を送り、ウルカにも明日探索に出ると連絡。快く了承の返事。


「⋯⋯そういえばエンジュの丸薬はもうできてるだろうか?」

 まだ時間はあるし薬師の店に行ってみるか。

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