表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/122

ミゼーアの実力

 お返しだと今度は俺の方から動く。状況が違うが、あの幻覚体とミゼーアをどうしても比較してしまう。

 これは上手く捌いて欲しい一撃だ。


 袈裟懸けに斬りかかる。余裕の笑みを絶やさないまま、俺の剣を受け流しカウンターも入れてくる。流され崩された体勢。首を狙った一撃を膝を抜いてかわす。

 避け切れなかった髪が数本舞う。

 ほぉ、ただ捌くだけでなくカウンターも入れてくると。実戦慣れした動きだ。単純な鍛錬だけではこの反応はでないだろう。

「模擬戦にしては殺意の高い一撃だ」


 避けれなければ、常人なら模擬剣でも首が飛びかねない一撃だったな。

「このくらい余裕で対処してもらわないとね。流石、いい体術だよ」

 ミゼーアが褒めてくれるが、目は笑ってない。

 エンジュに頼ってもらえないのが相当堪えてるようだな。


 滑るように俺の横に回り込み、意識外から連撃を仕掛けてくる。

 何が気負わなくていいよだ。一撃一撃に怨念にも似た殺意が塗れているじゃないか!

「ぬぅ! 流石、テミス様の護衛を任されているだけあるな。凄まじい剣技だ⋯⋯!」


 全ての斬撃が俺の命を刈り取ろうと、容赦なく急所を狙って放たれる。模擬戦なのだから急所を狙うなと言いたい。

 だが急所狙いなのが見え見えなおかげで何とか捌けているのも事実。

 やはりこの男、あの幻覚体に近い技量を誇るようだな。

 妬みで眼が曇っていなければだが。


 首を狙った一撃を少し大袈裟に弾く。大振りになり隙を晒した腹をミゼーアが薙ごうとするのを待ち構える。

 が、罠と察したか剣を振らず距離を取るミゼーア。

「———全て防がれるか。しかも最後は私を誘導したね」

 

 ミゼーア程の実力者に、俺のフェイントは効かないか。そもそも俺はこういう戦い方は得意ではないんだ。

「以前門で君を見た時、獣のような男だと思った。力で押し通ってきた暴力の塊のような。⋯⋯だが今は違うな。武の匂いさえ感じる。この短期間で何かあったのかい?」


「⋯⋯知り合いから受けた依頼で少しな。詳しく話すほどミゼーア、お前との関係は深くないと思う」

 エンジュや薬師と謎の女について話すのは忌避感は無かったが、ミゼーアは違う。嫌いというわけじゃないが、話したいと思わない。


「っ! 結構ストレートに言うね⋯⋯。わりかし傷ついたよ。まぁ、それだけデリケートな話だったということにしておこう。⋯⋯このくらいにしておこうか。これ以上となると、お互い無事では済まなそうだ」


 ミゼーアからの圧が無くなり、冷たい雰囲気も元に戻った。

「それだけ動けるならエンジュを君に託すことにもう文句はないよ。ただこれだけは約束して欲しい。———何があってもエンジュを生きて返してくれ」


 ただただ家族を心配する純粋な眼差し。先ほどまでの妬みに濁った眼とは大違いだ。

 こうしてみると血は繋がってないらしいが、ミゼーアはエンジュのお兄ちゃんなんだと納得できるな。


「当然だ。そのための準備も手抜かりなく進めている」

「おぉ、そうなのかい? エンジュはあまりこういったことは話してくれなくてね。どんな感じに準備してるか聞いてもいいかい?」


「構わない。エラー個体の角を素材にした武具をエンジュに造ってやろうと思ってる。分析は済んだから、後は女性でも身に付けられる軽い防具の作り方を知ってる者をシュマに紹介して貰いたい」


 これが俺の防具なら、適当にそれっぽく削り出すだけで済ませるがエンジュの防具を雑に造るわけにはいかない。専門家の意見が欲しい。

「なるほど。話によるとエラー個体は力場を張って防御してたみたいだね。エンジュの防具も力場を張れるのかい?」


「一度力場を展開したらしばらく使えないが、充電すれば何度でも力場は張れるぞ」

「それは頼もしい。シュマ、防具造りに詳しい人間に目星はついてるのかい?」

 ミゼーアとの模擬戦が終わり、そばに戻ってきていたシュマに尋ねるミゼーア。

 観戦していた者たちも、どこか満足そうに立ち去っていくのが見える。


「えぇ。もう見つけてあります。この後丁度いいのでイオドを連れて行こうかと思っていたところです。⋯⋯どうせ暇だろ?」

 なるほど、だから隠れ気遣いのシュマが角を受け取りに来るのではなく俺を来させたのか。


「あぁ。用はない。すぐにでも行ける」

「では角のサンプルを研究班に渡し次第、イオドを紹介に行こうと思います」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ