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分析結果

 エンジュと武器の相談をしてから数日。

 何もやる事がない俺は、獣挽きにエラー個体の角の欠片をあげたりして過ごしていた。

 まだ獣挽きに変化はない。美味そうにボリボリやっていたが、そのうち力場が使えるようになったりするだろうか。


 他には今まで興味もなかった武術に少々興味が出てきて、幻覚体との戦闘を思い起こしては似たように身体を動かすなどしていた。

 肘や体当たりを駆使し、俺の攻撃をほぼいなされた技の極致。

 無理矢理こじ開ける以外ほぼ何もできなかったのは、俺にとって衝撃だった。その無理矢理の一撃すらいなされたし。


 今日も今日とて脳裏にこびり付いた動きを反芻していたところ、アームデバイスに新着メッセージが届いた。

「む、メギスか。お、結果が出たと」

 早速向かうとするか。


 相変わらず怪しげな靄が漂うメギスの家。衛兵が来ないなら大丈夫らしいな。面倒で放っとかれてるだけじゃないだろうな?まぁ、俺が気にする事じゃないか。

 靄に構わず家に入る。


「メギス来たぞ。結果が出たんだろう」

 雑多に物が置かれた室内に来訪を告げると、奥からガサゴソとメギスが出てきた。

「よく来たな。早速だけど説明するな」


 あまり寝てないのか目に隈ができ、フワフワの桃髪もボサボサだ。

「疲れてるようなら改めて来るが、大丈夫なのか?」

「大丈夫。ちょっとエラー個体の素材の分析が楽しくてさ! 全然眠くないんだ!」

 正直大丈夫じゃなさそうなテンションだが、これ以上言っても無駄そうだから大人しく説明してもらおう。


「詳しく説明するのと簡単に説明するの、どっちがいい? おすすめはじっくり説明する方だけど」

「簡単で頼む」

 難しく言われても俺には理解できないだろう。簡潔にどう扱えばいい素材なのか知りたい。


「えぇ〜、めっちゃ楽しいのに。まぁ、いいか。超簡単に言うとこの角の力場は何度でも使える。ただ一度使ったら暫く使えなくなるね」

 何度でも使えるのは有り難い。

「暫くとはどれ位だ?」


「どれくらいの大きさで使うかにもよるけど、一般的な胸当てサイズなら三十分は充電がいるね」

 案外かかるが、一日一回とかではなくてよかった。

「充電と言ったが、どうすればいいんだ?」

 

「常温の環境に置いておけば勝手に発電するよ。あの角、中にナノマシンが組み込まれててさ。そいつが力場の発生と充電を両方やってる。自己修復もしてるみたいだし凄い素材だぜあれ!」

 と言うことは身に付けていれば、勝手に充電してくれるわけか。


 単発なら俺の打撃もある程度耐える力場を、何度も使えるのは有り難い。探索時のエンジュの安全性が飛躍的に上がるな。

「あとあんたの黒いナイフ、調べようとしたんだけど何の計器で見てみてもエラーとしか出なくてさ。正直お手上げだ。テミス様のラボなら調べられるかもだけど行きたくないしな」


 メギスが黒のナイフを俺に渡しながら言う。

 そうか。分析できなかったか。確かにかなり異質な道具だしな。

「まぁ、仕方ないさ。テミス様に頼るほどでもないしな」

「確実なことは何も言えないけど、金属ですらないかもしれないよ。なんか変だそのナイフ。エラー個体の角もサクサク切れるし、手応え的に切ってるかも怪しいよ」


 科学者としての矜持か、断言はしないメギス。モニョっとした顔で悔しそうに黒のナイフを眺めている。

 それにしても金属でないかもしれないと。一体何の素材でできてるんだろうか。探索していればこいつを調べる機器が見つかるかもな。


「何にしても今回は助かった。そんなにぼろぼろになるまで調べてくれて有難うな。礼は必ずする。何かあったら言ってくれ」

 俺が心の底から感謝すると、メギスが照れくさそうに笑いながら返す。

「うちは兎に角調べる事が好きなんだ。お礼と言うなら、色んな機獣の素材や遺物を持ってきて調べさせてくれよ!」


 子供の見た目で楽しそうな笑顔を見せられると、ありもしない庇護欲が湧いてくる感じがする。

 おっと、色んな機獣の素材で思い出した。前回の依頼の途中で手に入れた羽根犬の眼を渡しておくか。


「忘れないうちに渡しておくぞ。先日手に入れた機獣の素材だ。空を飛ぶ犬みたいな奴でな、眼が特殊な感じだったから持ってきた」

 腰のポーチから取り出してメギスの前に置くと、目を輝かせて興奮し出した。


「おぉ! 見たことない機獣の素材だ! 貰っちゃっていいのか?」

「もともとメギスに見てもらおうと思って取ってきたからな。好きにしてくれていい。量が必要ならいつでも獲ってきてやる」

 大して強くはなかったからな。俺の補足範囲外からでもこちらを視認してくる眼は興味深いが。


「有難う! 早速調べるよ!」

 そう言うと、もう俺の存在など忘れたように羽根犬の目を観察し出した。

 用も済んだので帰ることにする。


 

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