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95.降りてこない敵達

「またこの風景か…代わり映えしないな。アカネの手抜きじゃないのか?」


「フォローシタイトコロダガ何モ思イツカナイ…」


「まずは入り口の横に壁があるか確認するか。」


石畳から移動して入り口真横の空間に手を伸ばすと予想通り壁になっていた。

これも一種の冒険者救済だろうし共通している部分なのかもしれない。


「とりあえずは敵が襲ってくるまで真っ直ぐ歩くか。」


「ソウダナ。」


入り口から真正面の方向に歩き出す。


「ところで、ヨルムの遠距離攻撃は氷魔法だけか?」


「毒モ届クゾ。並ノ敵デハ避ケラレマイ。」


「そうか、ちなみに射程距離はどれくらいなんだ?」


「毒モ魔法モ見エル所ニハ攻撃デキル。イザトイウ時ハ頼ルトイイ。」


「相当な範囲なんだな。そんな時が来るかはわからないがその時は頼むよ。」


しばらく歩き続けたが一向に敵が現れる気配がない。

門番の言葉を思い出して視線を空に向けると、ある動物の群れが飛来していた。

リスのような見た目に飛ぶための皮膜。モモンガかムササビだな。

ダンジョンの最初はかわいい動物に攻撃させないといけない決まりでもあるのか?


2種を見分けるための大まかな方法を聞いたことがある。

思ったより大きければムササビ、小さければモモンガだ!

俺のイメージより大きかったのでこいつらはムササビだと思うことにした。


ムササビの群れは俺達の上空を飛びまわるだけで攻撃してくる気配はなかった。

というかムササビもモモンガも滑空はしても飛行はできないはずだが…

既に攻撃をしてきているのかもしれないので可視魔子(カシマシ)を発動してみると、

顔の周りに渦のようなものが巻いているのが見えた。


風魔法で呼吸を乱そうとしているのだろうか…ムササビの方を見てみると

高度が下がらないように体の下に風を発生させているようだった。

なるほど、風魔法で飛行が可能になっているんだな。


ずっと待っていればそのうち魔子が尽きて地面に落ちてきそうだが、

さすがにそこまで暇ではないので置換(リプレイス)で手元に1匹を引き寄せて抱きかかえた。

腕の中で逃げようと暴れる様もかわいいが3秒後にはフッと消えた。


デスモモンガ:B

カリファミナミのダンジョンに生息する齧歯類。

呼吸を乱すための風魔法で執拗に顔を狙ってくる。

飛行のための風魔法は防御にも働いており、遠距離攻撃も当てにくい。

群れに出会った冒険者の多くが死を覚悟するという逸話が名前の由来。

 ドロップ

 ・モモンガ巾着


ムササビじゃないのかよ!いや、元いた世界とは違うこともあるか…

それにしても思ったより凶悪な敵だったらしい。


モモンガ巾着:B

 デスモモンガの皮膜で作られた巾着。見た目よりも沢山の物を

 入れることができる。図鑑があるので不要という人も多いが、

 意外と図鑑を持たない主義のオサレな婦人に人気があったりする。


皮肉がたっぷり込められている気がするな…


デスモモンガは呼吸を乱す攻撃しかして来ないのか、動きに変化が見られない。

放っておいても問題はなさそうだがドロップを確保するためにも狩ることにした。

群れで飛んでいる範囲に温度反転(インヴァージョン)を使うと、

モモンガたちは一斉に落ちてきて地面に落下する前に巾着へと姿を変えた。

ドロップを全て回収し、再び歩き始める。


「いきなりBランクが群れで襲ってくるなんて

 ここのダンジョンは冒険者を殺しにきてるかもしれないな。」


「ソウカモシレナイナ。シカシ図鑑ノ文面カラスルト

 今ノハタマタマナノデハナイカ?」


「…その可能性はあるな。」



しばらく歩いているとヨルムから声がかかった。


「ポノ、イツマデ無視スルツモリダ?」


「何のことだ?ヨルムを無視したつもりはないぞ。」


「ソウデハナク、後ロダ。」


振り返ると上空から飛んでくる火の玉とそれの原因と思しき鳥がいた。


「いつからいたんだこいつ?」


「先程ノ会話ノ最中カラダ。気付イテイナカッタノカ?」


「気付いてたら倒してたさ。少し背中が温かい気がしたのはこいつのせいか…」


「防御力ガ高スギルノモ問題ダナ…」


とりあえずその鳥を置換(リプレイス)で引き寄せて抱きかかえた。

羽と頭を固定したので足をバタつかせることしかできず、3秒後に消えた。


ファイアフラミンゴ:D

カリファミナミのダンジョンに生息する鳥。

火の玉を吐いてくるが直線的な攻撃なので倒すことは容易。

 ドロップ

 ・フラミンゴの羽根


確かに弱そうだが気付かずに攻撃を受けまくってたので複雑な気分だ…


フラミンゴの羽根:D

 ファイアフラミンゴの羽根で作られた羽飾り。

 身に付けると僅かだが火に耐性を得ることができる。


ダチョウの羽根の火耐性バージョンってところか。


「ところで、この羽根を沢山身に付けたら

 火が全く効かなくなったりするんだろうか?」


「同ジ装備品ニヨル効果ハ重複シナイモノダ。

 デナケレバダチョウハモット素早イダロウ。」


「ダチョウは羽根を装備してる扱いなのか…?」


「装備トイウカ生エテイルカラナ。」


「確かに装備するより生えてる方が効果はありそうだが…

 いや、そういう問題か?」


「ソウイウ問題ダ。」


何だか腑に落ちないが…気にしないことにしよう。


それにしてもファイアフラミンゴはピンク色だったが、

あれはエサの色とか成分によるものだったはずだ。

ダンジョン内で何かを食べているわけでもないのに

ピンク色だったのは何か理由があるのだろうか?


…単にアカネがそれを知らなかっただけのような気もするな。

こっちも気にしないようにしよう。



その後は不意打ちを受けないように定期的に左右と後方を確認しながら進んだ。

ファイアフラミンゴには結構な頻度で襲われた…じゃないな、

襲われる前に倒したがデスモモンガは見当たらなかった。

最初に群れに遭遇したのは運がよかったのかもしれない。


アビンザのダンジョンの時のように同じ相手ばかりで辟易していると、

遠くに森が見えてきた。まさか構造まで似てるんじゃないだろうな…

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