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90.怒りのラナ

「じゃあ全裸の代償にバカ王子に求めるものはなんだ?」


「言ってはみたもののすぐには思いつかないわね…ちょっと待って。」

「そうだな…」

「何がいいかなー…?」


こいつら…

俺が呆れているとカバドが真剣な表情で疑問を投げかけた。


「一つ聞きたい、王家秘伝の呪いをかけてやった貴様が

 どうしてヌーをまとめて倒せる程に成長しているのだ?」


ひょっとしてラナの魔袋の蓋もこいつの仕業だったのか?


「誰に言ってるのかしら?」


「おそらくラナの魔袋の蓋のことだろう。

 自らの所業を勝手に告白してくれたわけだ。」


自ら墓穴を掘ったことを悟ったカバドの顔が再び青ざめていく。


「…代償っていうか、もう少し痛めつける方法はない?」


ラナの顔がかつてないほど怒りに染まっている。


「あるにはあるが…痛みでショック死するかもしれないがそれでもいいか?」


「死んだら死んだで構わないわ。こいつは人の痛みを知るべきよ。」


怒りで随分過激になっているようだが…死んだら戻せばいいか。


可逆粉砕空間(インフィニティペイン)!」


ラナの前に空中に浮かぶテニスラケットのような形をした物を出現させる。


「何これ?」


「これは入った物を跡形もなく粉砕する空間でな、

 ラナに扱いやすいように工夫したらこの形になった。」


「この広い部分に入った物が壊れるってこと?」


「まあそうだな。見ているといい。」


図鑑から薬草を1つ取り出して空間に投げ入れる。

すると薬草は空間に入った部分から消えていった。


「こんな感じだな。人体を中に入れた場合は痛みを伴って粉砕される。」


「凄いじゃない!じゃあ早速。」


ラナは柄の部分を掴むと、何のためらいもなく空間内に王子の指先を入れ始めた。


「うっぎゃああああああああああ!」


うるさいのでカバドの声が周りに響かないように調整する。

首から上はそのまま動かせるので表情を観察することができる。


「これくらいでうるさいわね。どんどんいくわよ。」


ラナは更に空間を進めてついに腕の根元まで到達した。

カバドが叫んでいる様子が見えるがこちらに声は届いていない。

物足りない様子のラナが聞いてくる。


「これで終わり?」


「いや、全部入りきる前に取り出せば粉砕された部分は元に戻る。」


「えーっと、つまり?」


「空間を引けば腕は元に戻るから無限に痛みを与えられるわけだ。」


「本当に…?」


ラナが空間を引き戻すと戻した分だけ腕が生えていくように元に戻った。


「凄い凄い!これでまた最初から楽しめるわね!」


ラナはご機嫌でカバドの腕を入れていく。

その様子を見ていた俺、ゴンザナシ、マトンは完全に引いている。


カバドはというと股間から出た液体が空気牢獄(エアプリズン)内を首まで満たしていた。

口元まで来なくてよかったな…


『ラナハ怒ラセナイヨウニシタ方ガイイカモシレナイナ。』


『俺もそう思っていたところだ。

 力を持ったらやばいタイプだとしたら指導するのも考え物だが…』


『ソレハ何トモ言エナイナ。強クナル過程デ見テイクシカナイダロウ。』


『そうだな…今は恨みで抑えが利かなくなっている状態だと思いたい。』


腕を入れる速度に緩急をつけたりしながら数往復させた後、

ラナはハッと気がついたようにこちらを振り返った。


「私ばっかり楽しんじゃってごめんなさい。ゴンザナシさん達もどうぞ。」


「いや…ラナちゃんが充分楽しんだみたいだから俺は遠慮しておくよ。」

「あたしも同じー。もう充分じゃないかなー?」


「そうですか…?私もそろそろ飽きてきたしこれは返すわね。」


ラナがこちらに返してきたので可逆粉砕空間(インフィニティペイン)を解除する。

それと共にカバドの声がこちらに届くようにしてやった。


「どうだ?反省したか?」


「反省しました…もう勘弁してください…」


カバドは蚊の鳴くような声で答えた。


「だそうだ。もう許してやってもいいか?」


「今後はもう少し謙虚に生きることね。」


「ひいっ!」


ラナが言葉を発しただけでカバドは恐怖の表情を浮かべた。よほど堪えたらしい。


「わかったの?」


「わかりましたわかりました!」


動ける状態なら土下座でもしてそうな勢いだ。


「ゴンザナシとマトンはどうだ?」


「さすがにもういいかな…」

「あたしもー…」


「よかったな。許してもらえたぞ。ラナの言う通り今後は謙虚に生きるんだな。」


「はい…」


そこまで聞いたところで周りに兵士がいることを思い出した。

兵士が嫌々従っていたのかどうか確認するつもりだったんだが、

今聞いても恐怖でこちらに同意しかしなさそうだ…順番を間違えたな。


「悪いが解放するのはもう少し後だ。隣の部屋で待っててくれ。」


カバドにそう告げると置換(リプレイス)で隣の部屋に移動させて扉を閉めた。

ついでに周りの音が聞こえない状態にしてある。


「兵士全員を今から解放するが襲ってこないでくれ。どうせ同じ事になるからな。

 王子にはこちらの声は聞こえないようにしてある。

 王子に嫌々従っていたという者は解放されたらこちらに来てくれ。

 来なかったからと言って罰があるわけでもないから正直に行動してほしい!」


兵士達の空気牢獄(エアプリズン)を解除すると

全員が両手を上げながら飛び上がって歓声を上げ始めた。


「やった!ついに王子に天罰が下ったぞ!」

「ざまあみやがれ!」

「王子付きになって以来、こんなに嬉しかったことはねえ!」

「ヒャッホー!」


門番の2人も中に入ってきたが、兵士から事情を聞くと一緒に喜び始めた。

こっちに来てくれという頼みは見事になかったことにされているようだが、

兵士の表情を見る限りは恐怖が原動力とは思えなかった。



騒ぎが落ち着いた後、やっとこちらに来てくれたので話を聞くと

やはり王子は全員から嫌われており、こんな日を待ちわびていたそうだ。

一人一人話を聞いて兵士達に嘘はないと判断した。


用も済んだので謙虚になるであろう王子を解放してやった。

もちろん王子には3人の装備を弁償させた。

図鑑に全部入っているとこういう時にも便利なんだな。

ついでに3人が来て帰るための服ももらったのでフリルは返してもらった。


宿を出たところでゴンザナシ達と別れ、酒場に向かう。

途中でラナが武具屋に寄って装備を新調していた。

…本当に元の装備の値段だけもらったんだろうか?


酒場について食事を済ませてから宿に向かう途中…


「借りてた20万円、返すわね。」


と、ラナが20万円を渡してきた。


「おいおい…王子に多めに請求したんじゃないだろうな?」


「あら、私が鹿牛を倒し続けた日々の苦痛を考えれば安い物よ。」


予感は当たっていたようだ…が、今回はカバドが悪いからな。

今後同じようなことがないよう願いつつ、今回は大目に見ることにした。

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