77.グレードアップ
白い牙を見送った後、酒場に向かった。
ゴンザナシ達も一緒に来るかと思ったが食事は自分達で済ませるらしい。
やっぱりマトンが脱ぐのが嫌なんだろうな…
酒場に向かっている最中、ラナに提案してみる。
「そういえばラナはヌーの肉が好きなんだし、
魔子も考えて鹿牛からヌーに切り替えたらどうだ?」
「おっちゃんの手間が増えちゃうじゃない。
それに鞍でお金を使っちゃったから貯めたいのよ。」
「金銭面はしょうがないけどヌーに切り替えるのはやってくれると思うぞ。」
「何でそう言い切れるのよ?」
「祝宴ごとに気前良く払ってたらおっちゃんに言われたんだよ。
材料持ちこみなら調理は鹿牛と同じ値段で構わないってな。」
「それはポノだけの話じゃないの?」
「おっちゃんはそんなに狭量じゃないだろう。」
「それはそうだけど…」
「一日中ヌーを狩ってるなら肉は大量に持ってるんじゃないのか?
例え1日で1個食ったとしても大して変わらないと思うんだが。」
「私はそんなに大食いじゃないわよ!…でも確かにそうね。」
「魔子も考えてとは言ったがそもそも一日中狩るなら食事の分なんて誤差か。」
「そういうこと。…でもヌーを普段から食べるのは悪くないわね。」
そうこう話しているうちに酒場に到着した。
「おっちゃん、今日からこれを食べたいんだけど…お願いできる?」
ラナはそう言って図鑑からヌーの肉を取り出した。
「おう、構わないぞ。何せポノとヨルムは…いつものでいいか?。」
キリン肉のことを言いそうになったんだな…うまく誤魔化したようだが。
「ああ、頼むよ。」
「じゃあ先にビールな。」
「「『乾杯!』」」
「いやー、白い牙の戦いは見事だったな。
ラナも連れて行った方がよかったかもしれない。」
「動きが見えないんじゃ凄さもわからないでしょ?」
『素早ク動イテイル時間ガ長カッタノハモノノフダケダッタガナ。』
「そうなの?」
「ああ、コノフは最初の突進だけは速かったが
あとは地竜と力比べみたいな状態でほとんど動きはなかったんだ。
チノワの方はマトンみたいに補助専門だったしな。」
「それなら見に行けばよかったかな…」
「雷魔法を盾で受け流したのも凄かったぞ。
コノフの盾はアダマンタイト製なんだとさ。」
「さすがに地竜を狩ろうってなったら装備もいい物を持たないとなのね。」
「そうだな。ラナは次こそドンイ鋼の剣か?」
「そうね…今はいいけどCランクの相手に鉄の剣じゃ心許ないわね。」
「まぁDランクを抜けるには結構かかるようだし
挑む頃には手に入ってるんじゃないか?」
「そうね。それにしても地竜と力比べだなんてとんでもないわね。」
「それもチノワの補助あってのものだろうけどな。」
「補助かぁ…どんな感じなのかしらね?」
「それは俺もわからん…が
それぞれの役割を存分に果たしての勝利だった。」
「ゴンザナシさん達も盾役を探そうか考えてるみたいだし、
上を目指すなら私も誰かと組むべきかしら…」
「まぁそれは人それぞれだろう。一人で倒せるならそれが一番楽だしな。」
「簡単に言ってくれるわね…まったく。」
「そうは言っても組めばその分、強くなるのに狩る数が増えるわけだろう?」
「それもそうね…難しいところだわ。」
「鹿牛2つとヌーと白米2つ、お待ちどう!」
「来た来た!考えるよりまずは腹ごしらえね!いただきます!」
「いただきます。」
『イタダキマス。』
「んー!やっぱり美味しい!鹿牛との腐れ縁も終わりね。」
「美味い…さすがはおっちゃんだ。」
『美味イナ。』
「ポノ達はよく飽きないわね。他の何かを食べないの?」
「…これが好みなんだからこれでいいんだよ。なあヨルム。」
『ウム、ポノノ言ウ通リダ。』
「それならしょうがないわね。
ああ、ヌーは美味しいわ…もっと早く頼めばよかった。」
「言ってくれればやったんだが…こっちから提案するのも違うと思ってな。」
「ヌーの肉はおっちゃんに預けてた方がいい?」
「その方がこっちとしては楽だが…」
「じゃあそうするわ。とりあえず5個ほど…最後の1つになったら教えて。」
「あいよ。ラナちゃんも出世したな。」
「まだまだこれからよ。と言っても次までは時間がかかりそうだけど。」
「地道が一番だよ。なあ、ポノ。」
「そうだな。」
「ポノは地道から一番遠そうだけどね…」
代金を支払って宿に戻る。狼人族達が帰ったので明日からラナは
ナワツボ平原まで移動しなくていい分、狩りの時間が増えるだろうな。
こっちは何をするか…




