表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/167

74.白い牙の挑戦

白い牙(ヤポンスキー)の3人は戦闘の準備を始めている。…ああ、気が重いな。

だからといって引き受けた以上は見届け人を全うするつもりだ。

可視魔子(カシマシ)を発動させて三角地竜と白い牙(ヤポンスキー)を見比べてみる。


パッと見で違いがわかるくらいには差があるが

3人が力を合わせてどれだけ戦力が増強できるか見物だな。


「準備はできた。ゴンザナシとマトンよ、

 私達の戦いをしかと目に焼き付けておけ。」

何だか確実な死を覚悟して戦に行く武士のようだ。

モノノフの名前は伊達じゃないな。死なせるつもりは微塵もないが。


モノノフは地竜の脇に、コノフは正面に、チノワは両者の中間に位置を取った。


筋力増強(ストレングスアップ)!」


チノワの魔法でモノノフとコノフの魔子が濃くなった。

それに伴いチノワの魔子が薄くなる。マトンの時と同じだが

付与した量はチノワの方が多いようだ。


「行くゾ。嫌われ者(イシキタカイケイ)!」


コノフが何かの技を使ったが魔子に変化は見られない。

最初に突撃していくということは敵を引き付ける効果があるんだろう。


コノフが突進し、地竜の鼻先に当たる直前、チノワが新たな魔法を唱えた。


要塞化(フォーティファイ)!」


普段コノフ背負っている大盾が地竜に直撃する。その衝撃で地竜の体が

少しだが後にずれた。当たる直前に唱えたのは重量を増強する魔法か?


ここでモノノフが動いた。地竜の脚を好き放題斬り付ける。

そんな状態でも地竜は完全にコノフを敵として認識し、助走をつけて突進する。

最初に使った技の効果がそれほど高いのだろう。


コノフはその様子を見て大盾を地面につけて待ち構えている。

受け止める気のようだが大丈夫だろうか?盾もあるし死なないとは思うが…


勢いをつけた地竜の角が大盾に直撃する。激しい金属音が辺りに響き渡った。

が、コノフと大盾は僅かに後に下がる程度だった。

驚きだがそれだけの力と重さが今のコノフにはあるのだろう。

大盾に目立った傷はない。随分いい金属でできているようだ。


と、地竜が急に頭を引いた。完全に動きを止めて何かに集中しているようだ。

それを見たコノフは少しだけ地竜に近づいて大盾を頭上に掲げ、

モノノフとチノワは地竜から距離をとってその場に伏せた。

次の瞬間、空から一筋の雷光が降りてコノフの大盾に直撃した。


うおっまぶしっ!辺りに轟音が響き渡る。

大盾に直撃したはずの雷光が地竜の巨体に流れていった。

前に見た通り地竜にはダメージはないようだが…

3人にも落雷によるダメージはなかったらしく、

地竜が動きを止める前と同じような位置取りに戻った。

ますます大盾の素材が気になるな。


当初は3人の方が魔子が減るスピードが早いようだったが、

今は四肢の傷と雷魔法を使用したせいか地竜の魔子の減りが早くなっていた。


コノフは地竜との力比べに興じている。

モノノフはひたすら四肢を切りつけている。

チノワは2人への補助が切れないようにかけ続けている。


3人の中で一番疲弊が激しいのはチノワのようで、

魔子の消費が激しくいわゆる肩で呼吸をしている状態だ。

いや、よく見ると息が荒くなっているのは全員か。


やがて地竜はコノフに押し負けるようになった。

モノノフから受けた傷で力が入らないようだ。

これをチャンスと見たのかモノノフが首の横に立ち剣を振り上げて集中し始めた。

コノフは地竜の位置をずらさないように力を加減しているようだ。

チノワがありったけの魔子を注いでモノノフ補助魔法をかけた。

そして集中を終えたモノノフが剣を振り下ろしながら叫んだ。


狼牙(ウルフファング)!!」


…モノノフが飛ばした斬撃は見事に三角地竜の首を落とすことに成功した。


地竜の姿が消えたことを確認した3人の前には図鑑が浮かんでいたが、

それを確認する余裕もなく膝を着いたり座り込んだりしている。

それほどの戦いだったのだろう。


「やったな!おめでとう!」

「オメデトウ。ナカナカヤルモノダナ。」

「おめでとう3人共。いい戦いを見せてもらったよ。」

「おめでとー。勝ててよかったー。」


「ありがとう。ギリギリだったが勝ててよかった…」

「疲れタ。ヘトヘトダ…」

「ありがとうございます。私も疲れました…」


「しかし暑い…もう少し体を動かして慣らしておくべきだった。」

「初心者達はサボッていたわけではなかったんだナ。」

「私も少しきつく当たってしまいました…後で謝らなくては…」


北の地から来てここであまり体を動かさなかったらそうなるか…

モノノフに関しては俺にも原因があるな。



死力を尽くした3人が呼吸を整えるのにはしばらく時間を要した。


「ドロップは皮と角か。」

「熱戦だったしガンバルゾーくらいくれてもいいのにナ。」

「勝てた上に出たは出たんですから高望みですよ。」


モノノフがドロップを回収し、こちらに向き直った。


「見届け人、勤め上げてくれて感謝する。」

「ありがとウ。」

「ありがとうございます。おかげで憂慮なく全力で戦うことができました。」


「結果的には見てただけだったけどな。

 ところで、コノフの盾は何でできているんだ?」


「これはアダマンタイト製の大盾ダ。」

コノフは誇らしげに盾を見せながら言った。

ミスリルがあるならアダマンタイトもあるか。オリハルコンもあるんだろうな…


「おお、これがそうか。いい盾だな。

 随分頑丈な上に魔法も弾いていたようだったから気になってたんだ。」


「今回のために買ったんダ。おかげで白い牙(ヤポンスキー)の財布は随分軽くなったんだゾ。」


「その盾がなかったら落雷を受けて無傷は難しそうだ。

 いい買い物だったんじゃないか?」


「ああ、全くその通りだ。」


「コノフが無事でいてもらわないと作戦が成り立ちませんからね。」


「俺達も盾役がいたらもっと楽かもな…」


「そうだねー、どこかにいい人いないかなー?」


「確かにあの引き付け方は凄かったな。しかしモノノフがいなくても

 チノワがいなくても成立しないんじゃないか?3人あっての勝利だと思う。」


「その通りダ。」


結構ギリギリだったようだし昨日ここでも実験をしておいてよかったな。

ドロップに関しては謝った方がいいのかもしれないが…


「気になったと言えば魔子を限界まで吸収させたというミスリルの剣だ。

 厚かましい頼みだとは思うが見せてくれないか?」


覚えてたか…まぁここにいる面々なら喧伝するでもないだろうしいいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ