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72.ラナの向上

「ミスリルの真価も知ることができたしナワツボ平原まで戻ろうか。」


「ソウダナ。少シ遅クナッテシマッタガラナハ狩リヲ続ケテイルダロウカ?」


ヨルムは巨大化を終えていた。すっかり乗せる気のようだ。

とは言ってもナワツボ平原までいつものペースで行くと

薄暗くなってそうなのでヨルムがラナを見つけてくれるなら楽でいいけど。


「地道にやるのが取り柄だしまだやってるんじゃないかな。」


「ソウカモシレナイナ。デハ行クゾ。」


そういえばとぐろを巻いた状態に乗ったのは一度だけだったな。あっちの方が

大きさ的には目立たない気もするが…体の長さに対して動かす部分が少ないので

あの形態で移動するのは本当は大変なのかもしれない。


ナワツボ平原に入った頃には太陽が半分ほど身を潜めていた。

ヨルムにだけラナを探すのを任せておくのも悪いので

左右を確認しながら進んでいくと、しばらく経った頃ヨルムから声がかかった。


「ラナヲ見ツケタガヌーノ群レニ追ワレテイルヨウダゾ。ドウスル?」


勝てると踏んで挑んだが読みが甘くて逃げ回っているのか

間違って手を出して追われているのかそれとも戦闘中なのか…


「どんな状況なのかわからないからとりあえず近づくだけにしてくれ。

 本当に危なそうだったら助けてやってほしい。」


「ワカッタ。」


どんな状況でも対応できるように策を練っていると再びヨルムから声がかかる。


「ソロソロ見エテクルト思ウ。降リルカ?」


「ああ、そうしよう。」


ヨルムから降りて並走し始めるとヨルムは縮んで俺の首まで移動した。

走っている最中に足から這い上がってくる感覚は初めてだな。


ヨルムの言った通りラナとダチョウらしき姿が見えてきた。

が、どうやらただ逃げ回っているわけではないようだ。

それに群れというにはヌーの数が随分少ないように思える。


更に距離を詰めていくとラナが槍で1頭ずつ仕留めているのがわかった。

鞍を買った時に一緒に槍も買ったのか。

ヌーの数が5頭まで減ったところで槍を片付けて剣を取り出し、

ダチョウから飛び降りた。一気に片を付けるつもりなのだろうが大丈夫か?


ラナは先頭のヌーの頭部を骨ごと両断すると、

続いているヌーの突進が当たらないぎりぎりを狙って斜め前方に回避した。


突進をかわされたヌー達は急角度の方向転換で勢いを殺され、

その隙を狙ってラナが更に1頭を仕留めた。


突進をああもヒラリヒラリとかわされるのではヌーに勝ち目はないだろう。

鹿牛の後蹴りの直撃をもらって吹っ飛んでいたラナからは想像できないほど

いつの間にか戦闘技術が向上していたようだ。


戦闘が終わって一息ついたラナに声をかける。


「見違える動きになったな。見事だった。」


「でしょ!?…でも疲れたわ。今日は随分遅かったわね?」


「ちょっとした実験をしてたんだが興が乗りすぎてな。」

「改メテアカネ様ノ偉大サヲ感ジルコトガデキタゾ。」


「一体何をしてたんだか…でもおかげでいい訓練ができたわ。」


「まさか群れを相手にしたのは初めてだったのか?」


「さすがに違うわよ。最後に5頭を相手にしたのは初めてだったけどね。」


「ヨルムからヌーの群れに追われていると聞かされた時は少しあせったぞ。」


「本当はいつもの時間くらいにやめて休憩してたんだけど

 帰りが遅いから魔子がある程度回復しちゃったのよ。

 そこにちょうどよく群れを見つけたものだからついね。」


ラナは疲れた様子ながらもダチョウを呼び寄せて鞍に座った。

そういえばダチョウだけじゃなくて乗っている人の魔子も回復させるんだったか。


「悪かったよ。そのまま魔子を回復しながら帰るか?」


「その前にドロップを拾わないと…って、あー!」


話している内に日は完全に沈み、辺りは暗くなってしまっていた。


「せっかくダチョウを円を描くように走らせてドロップが広範囲に

 散らばらないようにしてたのに…これじゃ探す方が大変じゃない…」


「すまん。見つけるのは手伝うからさ。」


「我モ手伝オウ。」



その後、2人で手伝って時間はかかったが無事にドロップ品の回収を終えた。

ラナの疲れも多少とれたようで俺のダチョウに乗り換えて町に向かうことにした。


途中、狼人族達が模擬戦をしているのが目に入った。

狩りは安定したので戦闘技術の向上を図っているのだろう。

それにしても凄い体力だな。



町に戻って食事を済ませていつもの夜を過ごす。

いよいよ明日は狼人族の3人による地竜討伐だ。

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