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71.進化と真価

込み入った話をしていたせいか地竜が消えるまでが短く感じたな。

ミスリルの剣を拾って同じように次の首長地竜の尻に刺して草むらに寝転がる。

さっきよりもスムーズに剣が刺さっていったように思えたが…


「トコロデ、パンジャノ知識ガアッタノハ何故ダ?」


「どう説明したものか…神になる前にいた世界がこことそっくりなんだよ。

 というのも神になる前のアカネも俺と同じ国の出身なんだが…

 それがこの世界でいうところのパンジャだったわけだ。」


「アカネ様ガ出身ノ世界ヲ元ニコノ世界ヲ創造シタトイウコトカ?」


「そうなるな。元いた世界は退屈だったがここは楽しくていいな。」


「我ニ会イニキタトイウコトハ元ノ世界ニモ我ガイタノカ?」


「本当にいたわけじゃなくて元の世界だと神話として伝わってただけだな。」


「神話…フフ。」

ヨルムは神話とか伝説という響きに弱いな。


ふと見ると地竜が随分と小さくなっていた。少し早くないか?


「魔子を吸収すればするほど吸収速度が上がるのか…?」


「ソウダロウナ。地竜トアノ剣ノ魔子量ハ逆転シテイルシナ。」


なんだ、ヨルムは気付いてたのか。剣を抜こうと近づく前に地竜は絶命した。

ミスリルの剣を拾って一度図鑑に収納してみた。


ミスリルの剣:A~

 魔法金属ミスリルで作られた剣が大量の魔子を吸収した状態の物。

 元々Aランクの金属と比べても切れ味も頑丈さも遜色がない。

 ただし非常に重いため、扱える者は限られてくる。


ページが新たに追加され、ランクも説明文もBランクの物と違う。

表記を見る限りまだ上を狙えそうだな。


「ただの実験のつもりだったが楽しくなってきたな。」


「ドコマデ強靭ニナルノカ楽シミダナ。」



その後何度か地竜に剣を刺して雑談という流れを繰り返したが

そのうち剣の重さだけで地竜を斬るようになってしまった。


刃を地面に対して平行にすることで対応したが

それも何度か繰り返すうちに地竜の肉が裂けるようになってしまった。


仕方がないので自分で剣を持って地竜の腹を刺して待機することにした。

…が、首長地竜は腹の位置が高いので柄まで埋めることができない。


「いちいち飛ぶのも面倒だし三角地竜に切り替えるか。」


「ソノ方ガイイカモシレナイナ。場所ハワカッテイルカラ乗セテイクゾ。」

ヨルムはそう言って巨大化する。


図鑑にかなり黒くなったミスリルの剣を片付けたが表記は変わっていなかった。



再び木々をなぎ倒しながら森を抜け、三角地竜の縄張りに到着した。


「思った通りちょうどいい高さだな。」


ミスリルの剣を出そうとして図鑑を出現させたところでヨルムから声がかかる。


「最初ハ普通ニ倒シタラドウダ?ドロップガ欲シイノダロウ?」


そうだった…危ない危ない。


角を2本掴んでコキャッとしてやった。この世界に来てから

長い期間が過ぎたというわけでもないのに随分と久々な感じがするな。


三角地竜の巨体が消え、豆、角、皮、マントがドロップした。


「これでマントの確保はできたな。ヨルムがいてくれてよかった。」


「照レルナ…」

女性の一面もあるとなるとこっちも少し照れるな…意識しないようにしないと。


ちょうど近場に再出現したので今度こそはと図鑑からミスリルの剣を取り出して

三角地竜の腹からやや斜め上に背骨を避けて刺す。

当然三角地竜の反撃は受けるが無視してヨルムと談笑した。



幾度となくそれを繰り返す内に会話をする時間もなくなってきた。


「地竜がこの早さで死ぬなんて相当だな…」


「…サスガニ我モコノ状態ノミスリルニハ触リタクナイナ。」

ヨルムも若干引いているようだ。



その後は地竜に近づいては刺して近づいては刺しての単純作業になってしまったが

夕暮れ時まで続けていると急に三角地竜が死ななくなった。

死ななくなった上に縮んでもいない。ミスリルの質が変化したようだ。


そのまま剣を滑らせ、三角地竜を真っ二つにした。

角がドロップしたのを見る限り、魔子は吸収していないようだな。


「ミスリルが最終段階に入ったのかな?」


「ソノヨウダナ。」


すっかり黒くなったミスリルの剣を見る。

ニシキヘビ化する前のヨルムのように光を全く反射しない黒色だ。

図鑑に片付けると新たなページが追加された。


ミスリルの剣:-

 魔法金属ミスリルで作られた剣が限界まで魔子を吸収した姿。

 魔子吸収はできなくなり、その身は漆黒に染まっている。

 切れ味、強度、重量のどれもが常軌を逸している。

 もし扱える者がいたらそれは人の枠を超えた何かであろう。


急に文章のテイストが変わっているように思えるな。

最後はひどい言われ様だが事実だししょうがないか。


「Aを超える表記がこれだったのか。ヨルムはこれに相当するんじゃないか?

 毒無効のスキル書もこの表記だったしな。」


「地竜ゴトキト一緒ノハズガナイカラソウダロウナ。

 ソレニシテモミスリルガココマデノ成長ヲ見セルトハ。」


「そうだな…でも剣としては凄いのかもしれないが

 魔子吸収効果が残ってた方が武器としては強そうな気もする。」


「冷静ニ考エルトソウカモシレナイナ。」


俺が持っても大して重さを感じなかったので

地面に置いたらどの程度めり込むのか試してみたくなった。


図鑑からミスリルの剣を取り出して適当に放り投げると角度が悪かったらしく、

刃の先が地面に当たったかと思うとズブズブという表現では足りないほどの速度で

ミスリルの剣は地中に姿を消してしまった。


「何ヲシテイルノダ!?」


「いや、どれくらい地面にめり込むかなと思ってな…予想以上だった。」


置換(リプレイス)でチキューの核方向に長い直方体型の土を空中に移動させて

空気牢獄(エアプリズン)でその土を支える。と、すぐにミスリルの剣が落ちてきた。

確認のため刃の部分を掴んでみると依代がわずかに切れている。


「アカネの力の片鱗を見た気がする。まさか切れるとは…」


「アカネ様ハヤハリ偉大ナ御方ダナ。」


思えば満遍なく土を空気牢獄(エアプリズン)で包んでいたのに突破してきたんだもんな。

うん?俺の魔法を突破してくるということは…


「ヨルム、その辺の空気を全力で凍らせてみてくれないか?大きさは任せる。」


「急ニドウシタノダ?」


ヨルムは困惑しながらも空気を凍らせて身の丈ほどの立方体の氷を作ってくれた。


「コレデイイカ?」


「ああ、見ていてくれ。」


刃をヨルム特製の氷?に少し当てただけで元の空気へと姿を変えた。


「コレハ…マサカソノ刃に魔法解除ノ効果ガ?」


「らしいな。魔子を吸収しなくなった代わりに

 魔法自体を斬れるようになったってことか…

 武器としての性能云々は訂正しないとだな。」


「何トイウ代物ダ…我デ試シ切リハオ断リダゾ。」


「そんなことをするわけがないだろう。これだけ試せたら満足だよ。」



こんな物騒な物は出番が来るまで図鑑の中だ。

その出番が来ることがあるのかはわからないが…

2020/03/25

文章の細部を修正&追加しました

話の流れは大きく変わっていません。

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