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65.通販番組

「おお、まさかこれを選ぶとは…さすがはラナだな。」

できるだけ自然に褒めようとするがなかなか難しい。


「コレガ鞍…?椅子デハナイノカ?」

ヨルムは容赦なく切り込んでいった。


「ふふん、いいでしょ!私ってばお買い物上手!」

ラナはドヤ顔を披露しているが正直羨ましくはない…更にラナは続ける。


「ゾウ革でこんなに立派な鞍は見たことがないわ!

 ダチョウの動きを阻害しない造りになっているし、

 乗っている人の魔子を回復させる効果がついてる上に

 ダチョウの魔子まで回復してくれるのよ!

 更にこれだけ高機能でお値段驚きの50万円!」

性能をこれでもかと説明した上でお買い得をアピールする様は通販番組のようだ。


いや、確かに性能面で見ると素晴らしいし値段も安い。

というか売れなさ過ぎて皮の買取り価格より安くなってそうなのが悲惨だな…


「確かに随分と高機能だな。しかも安い。」


「でしょでしょ!?鞍を見せてもらった瞬間に一目惚れしちゃった!

 それで武具屋のお兄ちゃんに色々聞いてたら嬉しそうにしてたわ。

 最後に値段を聞いてびっくりしたわよ。」

絶対に売れないと思っていた商品が売れるならと安くしたんだろうな…

値引きしすぎて後でおばちゃんにどやされていないといいが。


「しかし50万あったらドンイ鋼の剣が買えたんじゃないか?」


「あー…実はそのつもりで無駄使いもせずに貯めてたのよね。

 でもこれだけの物がちょうど買える値段なのは運命ってことかなと思って。」


「…そうかもしれないな。現状は鉄の剣で何とかなっているし、

 Cランクに上がる頃には買えるようになってるかもしれない。」


「そうね、前向きでいくことにしましょう。

 何でこれが買われなかったのか不思議だわ。

 それで実際に使ってみると乗り心地も最高で…」

ラナが止まらない。この辺で切り上げることにしよう。


「じゃあ今日もヌー狩りを頑張ってくれ。俺達もダンジョンに向かうよ。」


「…そうね、行ってくるわ。」

話し足りない様子のラナだったが、狩りも重要なので喋るのをやめて出発した。

椅子…じゃない、鞍の背もたれで姿は見えないが

聖帝様のポーズを決めたラナを勝手に想像して勝手に心の中で笑った。


「それじゃダンジョンに向かうか。」


「ソウダナ。」


町に戻ってダンジョンに向かう。


『まさかあれを買うその人がラナだったとは…』


『人ノ好ミモ様々ダカラナ。』


『そうだな。ラナの笑顔とはしゃぎようを見てたら段々いい物に見えてきたよ。』


『実際イイ物デハアルンダガナ…』


ちょうど武具屋の前を通りかかったので中を窺うと

若い男がおばちゃんに向かって嬉しそうに語っているのが見えた。

あれが武具屋の兄ちゃんか。先程のラナの表情と酷似している。


おばちゃんの方は怒るでもなく呆れたような、

しかしどこか嬉しそうな顔で男の話を聞いていた。

息子の話を聞いている表情には見えないな…ひょっとして年の差夫婦か?



組合の前まで来たが今日もここに用事はないので裏手に回る。

衛兵と昨日と同じやりとりをしてダンジョンに踏み入った。


「マタ森マデ乗ルカ?」


「いや、このまま真横に飛行して森をグルッと回るつもりだ。

 終わりまで移動したらそこからボスまで頼むよ。」


「ワカッタ。後デ乗ッテクレルノダナ。」


森まで飛行を開始する。着くまでの間に可視魔子(カシマシ)を発動させて準備は万端だ。

到着したので半円を描くように森をなぞっていく。3分の1ほど進んだところで

クロヒョウらしき魔子を発見したので森の中に降り立った。


フィルターを調整していなかったので木の枝に当たりながらという形になったが…

クロヒョウを見つけやすくすると木々は見えないし、

木々を見えるようにするとクロヒョウは見つけにくい。何とも悩ましいところだ。


近くに降り立ったのでクロヒョウからは発見されているようだが

襲ってくる気配はない。配下のヒョウを呼び寄せているようだ。

集まってこられても面倒なので置換(リプレイス)でサクッと樹上のクロヒョウを倒すと

ビキニとブーツがドロップした。ただし木の枝に引っかかっている。

飛行を再開するついでにドロップを回収する。森は何かと面倒が多いな…


「手間ガカカルナ。面倒ナラ我ガ轢キ殺ソウカ?」


「倒すのが目的じゃなくてドロップが目的だからな。

 ヨルムが倒したらドロップは出ないだろう?」


「何!?ソウナノカ?」


「おそらくだがほぼ確実だろうな。

 地竜を倒しても何も落とさなかったのはそういう仕組みなんだと思う。」


「単ニ運ガ悪カッタダケトイウコトハ考エラレナイノカ?」


「俺が集中して地竜を狩っていた時は倒せば少なくとも角か皮のどちらかが

 必ず出てたからな。出現から数秒~数分でその状態なんだから数日経っていて

 ドロップなしってのはさすがに運の問題ではないと思うんだ。」


「ソレヲ聞クト真実味ガ増スナ。

 ダガ我ガサメヲ倒シタ時ハ注意シタデハナイカ。」


「すまない、その時は知らなくてな。

 ヨルムが倒してもドロップすると思ってたんだ。」


「…ナルホドナ。」


「だからヨルムに倒してもらうのは人目につかなくて

 ドロップ品がいらない時になってしまう…限定的で申し訳ないが。」


「自由ニサセテモラッテイル身ダ。ソンナニ高望ミハシナイ。」


「暴れたくなったら言ってくれればダンジョンに連れて行くよ。」


「ポノ、アリガトウ。」



森の上を飛び続けてまた3分の1ほど進んだところで再びクロヒョウらしき

魔子を発見したので先程と同じように倒して同じようにドロップ品を回収した。


クロヒョウがいる場所には一定の法則があるのかもしれない。

ドロップ品が3組揃ったので依頼が入りでもしない限りは調べないと思うが。


とりあえず森を抜けて草原に着地した。


「じゃあここからの移動を頼めるか?」


俺の首から降りて巨大化しながらヨルムが嬉しそうに答える。

「任セテオケ。」


昨日と同じく猛烈な速度でヨルムが移動を開始した。

毎度ながら道中で巻き込まれる動物達にはご愁傷様と言っておこう。


ヨルムの背でのんびりする暇もなく岩山に到着した。

元の大きさに戻ったヨルムが巻きつくのを待って階段を上る。


「まずは牙を折って倒す…か。」


「ソノ予定ダッタナ。別ノ方法ヲ試スノカ?」


「いや、それを思いついてないから出なかった時どうしようかなと。」


「考エルノハ倒シテカラニシタラドウダ?杞憂ニ終ワルナラソレガ一番イイ。」


「そうだな…そうしよう。」


階段を上りきり白い岩の手前まで進んだ。

地竜を見ると口を開けていないのでまずは戦闘態勢をとらせることにしよう。

白い岩に足を踏み入れると咆哮と共に召喚体を呼び出したので

その瞬間を狙って置換(リプレイス)で牙を1本切断して手元に移動させた。


手元に移動させたはずの牙が徐々に形を変え、ダガーの姿となってフッと消えた。

目の前に図鑑が浮かんでいる。


ティラノダガー:A

 戦闘中に巨大肉食地竜の牙を奪うことで入手できるダガー。

 奪った牙の体積で刀身の長さが決まる。

 同ランクの金属でダガーを作っても似たような性能にしかならないため、

 高ランクの金属製のダガーが作られない原因となっている。

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