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57.ラーテルとジャッカル

足元には説明通り石畳が敷き詰められている。広さはだいたい6畳くらいか。

洞窟のようなタイプを想像していただけに少し残念だ。

が、それは他の地域のダンジョンに期待するとしよう。


「ここがダンジョンか…外と対して変わらないんだな。」


「出テクル動物ガ違ウノダロウガ今ノトコロハ違イガヨクワカラナイナ。」


振り返ると入り口の扉の奥にあった風景が見えている。

説明の通りここから外に出られるのだろう。


「ここにいると動物も襲ってこないらしいしとりあえず適当に散策するか。」


「ソウダナ。」


石畳から外に出て適当に歩き出す。


衛兵はボスを討伐したらそこに出口が出現すると言っていたが

ボスを討伐できない場合はわざわざここまで戻ってくる必要があるよな…

遠くまで狩りに行く時は【ハンスとグレーテ】みたいに

定期的に目印を置いていったりするんだろうか?


しばらく散策しているとヨルムが呟いた。

「何カ来テイルヨウダゾ。」


ヨルムの言う通り遠くから何やらかわいい生き物がこちらに近づいてきた。

スカンク…?いや、何か違う気がする。その生き物は有無を言わさず

こちらの足元に噛み付いてきた。本当に何もしなくても襲ってくるんだな。


ダメージには程遠いのでとりあえず持ち上げてみる。

動物は手足をバタつかせて暴れたが腕を少し引っ掻くことしかできない。

3秒経つとスッと消えて、目の前に図鑑が浮かんだ。


ラーテル:D

アビンザのダンジョンに生息する雑食動物。腹部が弱点。

背中の毛皮は分厚く耐久力があるため、同格以下の武器では

そこからダメージを与えることは難しく、毒も効きづらい。

損傷を負うと臭腺から強い悪臭を持つ液体を放つので一撃で倒すのが望ましい。

ドロップ

 ・ラーテルコート


これがラーテルか、鉄の剣だと背中から倒すのは難しいんだな。

少しハードルが高いかもしれない。

戦闘がグダグダになって悪臭塗れとか考えるのも嫌だ。


ラーテルコート:D

 ラーテルの毛皮で作られたコート。

 刃物を通さないほどの耐久性があり、とても暖かい。重いのが難点。


良さそうなコートだがここの気温じゃ無用だろうな。

狼人族には需要がありそうだが…


「早速ダンジョンの動物に遭えてよかった。ヨルムは首にいて暇じゃないか?」


「案外見テイルダケデモ楽シイモノダゾ。」


ヨルムに不満はないようだ。ゲームのプレイ動画を見てるだけで

充分に楽しめるタイプなのかもしれないな。



その後も草原を歩いていると何かの群れが向かってきているのが見えた。

大きさと形からすると猫科か犬科の動物っぽいな。

1匹は捕まえておきたいので残りを温度反転(インヴァージョン)でまとめて倒す。

恒温動物は大体これで倒せるだろうから本当に便利だ。


1匹だけになった動物がジャンプして腕に噛み付いてきた。

地から足が離れているのでこのまま放っておけば捕まえられそうだ。

気にせず出現した図鑑に目を通す。


ジャッカル:D

アビンザのダンジョンに生息する肉食動物。

少数の群れで行動するため、一度に複数を相手にしなければいけないことが多い。

加えてドロップ品を持たないことから多くの冒険者に嫌われている。

ドロップ

 ・なし


ドロップがない動物もいるのか。

一度に複数を相手取らないといけないし確かに嫌われても無理はないな…


ジャッカルのページに目を通し終わったところで

図鑑のページが所持品リストに切り替わった。

腕に噛み付いていたジャッカルを捕獲できたようだ。


図鑑を消して再び歩き出す。


「うん、我ながら無駄のない選択だった。」


「見事ダッタナ。」


ヨルムは基本的に俺を持ち上げてくれるので

全て真に受けているといつか痛い目を見そうだな。

今に限って言えば普通に褒めてくれただけだと思うが…



その後も移動を続けていると幾度となく

ラーテルとジャッカルが向かってきたので全て撃退した。

ジャッカルが群れごと真後ろに再出現したのには驚いたがそれくらいだ。


外の動物の再出現と変わらないようだな。

処理に時間をかけると背後から襲われることもあるだろう。

余程実力がないと一人で挑むのは無謀かもしれない。


「ラーテルトジャッカルバカリデハ飽キテシマウナ。」


「そうだな、そろそろ他の動物も…おっ!」


と、移動してきた甲斐あって遠くの方に森が見えてきた。


「さすがに森なら他の動物が出てくるんじゃないか?」


「面白イ動物ガイルトイイナ。」


見えてきた森を目指して更に進む。

森には別の動物がいそうだがそれまでに別の動物も出てくるといいな。

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