56.世界樹の葉
翌朝、ラナが目覚めたようなので移動する。
ヨルムで繋がっているので移動が阻害されるかと思ったが
俺が移動するとそれに合わせて伸びるようだ。無意識でやっているんだろうか?
ヨルムも縮んで俺の首に移動した。結果、ラナは全裸の状態になる。
「おはよう、いい朝だな。」
「オハヨウ。」
「おはよう…服を着るから出て行って。」
思ってたのと違うと言っていたラナだがその顔は満足気だ。
自室で待っていると服を着たラナが来たので一緒に宿を出る。
朝食のために酒場に向かいつつ今日の予定を確認する。
「今日もヌー狩りか?」
「そうね、しばらくはそうなると思うわ。」
「そうか、ナワツボ平原でやることもないし
ダチョウを貸した後に別行動でも構わないか?」
「いいわよ。ダチョウさえ貸してくれればやることは大体一緒だしね。」
「ところで、ダンジョンってどこにあるんだ?」
「え…冒険者組合のすぐ裏にあるでしょ?」
そうだったのか…確かに確認してなかったが…
「そうか、じゃあ今日はダンジョンに行ってみることにしよう。
いずれ一緒に入るだろうし下見ってことで。」
『ソレハ楽シミダナ。』
酒場に到着したので朝食を済ませ、町の外に出た。
図鑑からダチョウを出してラナに貸す。
「じゃあ行ってくるわね。」
「ああ、群れに手を出さないように気をつけてな。」
「行ッテラッシャイ。」
「群れはこの前ので懲りたわよ…
そっちは気をつける必要もないでしょうけど気をつけてね。」
そう言ってラナはダチョウに乗って出かけていった。
「さて、こっちも行くか…」
『ソウダナ。』
引き返して冒険者組合の方に向かう。ダンジョンに入るにあたって
許可が必要だったりするのかな?その辺も聞いておけばよかったな。
まぁアマンダに聞けばわかるだろう…ということで組合の建物に入った。
狼人族が狩りをしているので休日ということにしている
冒険者が多いのかテーブルの席は埋まっている。
アマンダの前まで移動して声をかける。
「忙しいところすまないが聞きたいことがある。
ダンジョンに入るにはDランク以上の他に許可が必要だったりするか?」
「ポノさん、おはようございます。いえ、許可は特に必要ありません。
初めての場合は入り口にいる衛兵から説明があると思いますが
自由に入っていただいて結構ですよ。」
「そうか、ありがとう。」
「あ、お待ちください。」
アマンダは受付から出てきて入り口左手の壁から依頼書を1枚持って戻ってきた。
何事かと思っていると小声で話し始めた。
「この依頼を何とかしていただけませんか?
組合長がポノさんなら達成できると言っていたものですから。」
依頼書に目を通すと
納品依頼:世界樹の葉1枚
達成報酬:100万円
依頼主:ローユ王国
とある。葉1枚に随分な値段がつくものだ。
世界樹が生えている地域はさぞかし潤うんだろうな。
「確かにやれそうだが…他国からの依頼が回ってきたってことでいいのかな?」
「ええ、世界樹があるルジラブ国が葉を外に出したがらないものですから…」
葉の1枚くらい出してやればとも思うが…まぁ考え方は国によっても違うだろう。
図鑑から世界中の葉を取り出した。
「なるほど、世界中の葉をお持ちだったんですね。
組合長がポノさんならと言っていた理由がわかりました。」
入手したことがなくても出せるんだよな…?
世界樹の葉…世界樹の葉…と念じながら中に入っている何かを引っ張り出す。
中から出てきたのは身の丈ほどもある青々とした立派な葉だった。
『…デカイ葉ダナ。』
『そうだな…まさかこれほどの大きさとは。』
「…これが世界樹の葉で合ってるか?」
「ええ、間違いありません。ありがとうございます。」
取り出した葉をアマンダに手渡した。
「申し訳ありませんが少々お待ちいただけますか?
すぐ依頼達成を通知しないといけませんので。」
「わかった。」
おそらくだが各国に依頼が回されている場合は
達成されたらすぐに通知して重複を防いでいるのだろう。
それにしても葉を手に取っても図鑑には入らなかったな。
ドロップ品とか購入済みとか直接手に入れた物とか条件があるのだろうか?
そんなことを考えていると通知を終えたらしいアマンダが戻ってきた。
「重複はなかったようなので依頼達成です。
こちらが報酬となります、お納めください。」
と、100万円の束を渡されたので図鑑に入れる。
「そうか、また何かあったら遠慮なく言ってくれ。」
「ありがとうございます。お気をつけて。」
組合を出て裏手に回るとでかい扉と衛兵が目に入った。
扉だけで奥には何もないように見えるが…とりあえず近づいて衛兵に声をかける。
「ダンジョンに入りたいんだがここで合ってるか?」
「はい。初めての方のようですね。簡単に説明と注意をさせていただきます。
扉を開けるとダンジョンに繋がって中に入ることができます。
一緒に入った方以外の冒険者と中で出会うことは
ありませんのでお好きなように行動してください。
町の外にいる動物と違い、向こうから襲い掛かってくるので注意してください。
入ってすぐの石畳の場所には動物が侵入してくることはありませんので
危なくなったらそこまで戻ることをおすすめします。
石畳から外の部分に向かって攻撃しても弾かれますので
囲まれている場合は一度出て再挑戦した方が安全です。
ダンジョンの入口と出口は共通です。
またはボスを討伐するとその近くに出口が出現します。
ダンジョンから出た場合は向こうにある枠の部分から出てきます。
以上となります。決して無理をせず、命を大事にしてください。」
ここまで言われても無理をして命を落とす冒険者もいるんだな。
「説明ありがとう。行ってくるよ。」
「ご武運を。」
扉を開けて中に入ると目の前に広がったのは町の外と同じような草原だった。




